金(ゴールド)輝く。NYは1,500ドル到達、東京は5,000円超で史上最高値更新

トウシル / 2019年8月8日 14時36分

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金(ゴールド)輝く。NYは1,500ドル到達、東京は5,000円超で史上最高値更新

NY金と上海はおよそ6年半ぶり高値水準。東京の3つの金は史上最高値更新

 世界の金価格の指標の一つであるNYの金先物価格、そして上海の金先物、東京の3つの金市場(標準、ミニ、ゴールドスポット100)の価格の推移を確認します。

 NY金先物は昨日(8月7日)、6年4カ月ぶりに1トロイオンスあたり1,500ドルを超え、上海金先物も上昇して6年5カ月ぶりに1グラムあたり340元を超えました。

単位:ドル/トロイオンス
出所:CME(シカゴ・カーマンタイル取引所)のデータより筆者作成
単位:元/グラム
出所:上海期貨交易所のデータより筆者作成

 以下は、東京の3つの金市場(標準、ミニ、ゴールドスポット100)、それぞれの価格の推移です。3ついずれも、昨日(8月7日)、上場来最高値をつけました。

 金先物(標準)と金先物(ミニ)は、1グラムあたり上場来初の5,120円、ゴールドスポット100は5,130円超えとなりました。

単位:円/グラム
出所:TOCOM(東京商品取引所)のデータより筆者作成

 上記5つの金の銘柄は、6年半ぶり高値水準まで上昇、上場来最高値更新など、記録的な値動きになっていることが分かります。

 また、変動要因を付したNY金と東京金のロングチャートは以下で確認できます。

>>NY金(ゴールド)、東京金ロングチャート

 では、このような状況の背景には、何があるのでしょうか?次からは、金相場の変動要因とその状況について書きます。

上昇要因のポイントは、【1】米利下げ、【2】株・通貨の世界的な不安、【3】リスクの多様化

 以前の「実は単純、分かりやすい!現在の金相場上昇の2大要因を分析」で述べましたが、金価格の上昇要因にはトランプ米大統領を発端としたものが複数あります。

 以前にも増してその傾向が強まっています。このトランプ大統領の間接的な金相場への関与の強まりが、金価格が記録的な水準まで上値を伸ばした原動力になっていると筆者は考えています。

 以下は、足元の金相場を取り巻く環境の筆者が考えるイメージ図です。

図:足元の金相場を取り巻く環境(イメージ)

出所:筆者作成

 

 世界の金相場の指標であるNY金先物価格は、「リーマン・ショックで激震!4年間の「金狂宴」の背景は?」で書いたとおり、米国の金融緩和策を主な変動要因として1トロイオンスあたり1,900ドルを超える水準まで上昇しました。簡単に言えば“ドル安・金高”という構図が鮮明だったのです。

 また、この米国の金融政策に端を発した“ドル安・金高”に加え、当時、米国の緩和的な措置に追随するように、主要国各国の金融当局がこぞって緩和的な措置を実施したことによって“通貨安戦争”が発生しました。自国通貨を他国通貨よりも安くすることで、輸出に有利になるためです。

 この“通貨安戦争”もまた、金相場を押し上げる大きな原動力となりました。米国を含め主要国が競うようにして行った自国通貨の切り下げ措置は、世界中の主要な通貨の価値が総じて目減りするムードを醸成しました。このような状況は、国の信用がなくても通貨として存在できる金(ゴールド)に注目が集まる要因となりました。

 しかしその後、2013年ごろから徐々に米国の金融政策の方向性に変化が生じ、2018年の終わりごろまで、金融緩和とは真逆の“金融引締め”色が強まりました。このため、“ドル高・金安”の構図が鮮明になり、金相場は上値が重い状態が続いていました。

 しかし、今年に入り本格的にFRBが利下げを検討していることが報じられるとともに、徐々に金相場は底堅く推移するようになりました。

 そして、2019年7月末のFOMC(連邦公開市場委員会)でおよそ10年ぶりに利下げが行われ、米国の金融政策が具体的に緩和的な姿勢に変化しました。ここでようやく、金相場の重石が取り除かれたと考えられます。

  現在は2009年以降の急騰時と同様、米国が金融緩和的な姿勢をとり、そして通貨安戦争が勃発しつつあります。さらに、北朝鮮や中東地域でのリスクが絶えず、有事のムードが高まった状態が続いていること、中国やロシア、インドなどの中央銀行がさまざまリスクを嫌気して金の保有高を増加させていることなども、金相場が底堅さを増す要因になっていると考えられます。

 このように、複数の材料が絡み合い、国内外の金価格は記録的な水準まで上昇したと筆者は考えています。

トランプ大統領は“金価格上昇要因製造器”!?今後も上昇要因を量産、金価格上昇!?

 では、それらの材料はなぜ発生したのでしょうか? 元をたどれば、川上にはトランプ大統領が存在しています。

 もちろん、中国の景気減速懸念や欧州の政治的な不安は、トランプ氏の大統領就任前から存在している材料です。しかし、中国と欧州にある懸念や不安を“さらに強めた”という意味でトランプ大統領が影響していると考えられます。

 このように考えれば、間接的ではあるにせよトランプ大統領は金価格の上昇要因を量産している面があり、その意味ではトランプ大統領は“金価格上昇要因製造器”と言っても過言でないと、筆者は思います。

 現在、残りの任期が1年数カ月となったトランプ大統領が再選を目論む策を含めて、さまざまな施策を強めれば強めるほど、有事色が強まり、新興国の中央銀行は金の保有高を増やし、米国では利下げが続き、世界では通貨安戦争が続く、つまり、金相場が上昇しやすい状況が続くと考えられます。

 また、仮に米国の利下げで株価が思ったように上昇しなければ、代替資産の物色という点からも金高が進む可能性があります。

 円建て金についても、ドル安を主因にドル建て金が上昇した場合は、ドル安と同時に発生する円高で上値が抑えられることになりますが、ドル建て金の上昇がドル安を主因としない場合、例えばドル以外の複数の主要国の通貨が不安定になる、主要国の株価指数が下落する、想定外の有事が発生するなどによってドル建て金が上昇した場合は、さらに上値を追う事が予想されます。

 同時に円安方向にドル/円が進行した場合はなおの事、上昇しやすくなると考えらえます。

 いずれにせよ、今後もトランプ大統領が米国の大統領であり続ける限り、同氏が金相場の材料の頂点である状況には変わりはなく、2020年の大統領選挙に向けて同氏が施策を強めれば強める程、金相場は強くなると筆者は思います。

 前提に大きな変化がなければ、2019年の年末ごろまで、国内外の金相場は大きな変動を伴いながらも底値を切り上げる展開となり、NY金は1,600ドル程度、東京金は5,300円程度を目指す展開になっても不思議ではないと、現状では考えています。

(吉田 哲)

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