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優待タダ取りはできない!?「つなぎ売り」なら低コスト・低リスクで優待がもらえる!

トウシル / 2019年9月10日 7時11分

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優待タダ取りはできない!?「つなぎ売り」なら低コスト・低リスクで優待がもらえる!

 今日は、「優待タダ取り」について解説します。ネットで「優待タダ取り」と紹介されることが多い手法ですが、正確に言うと、「株主優待を、低コスト・低リスクで得る方法」です。取引手数料・貸株料などのコストがかかります。

 今日、その概要を説明し、明日、「9月末基準の優待銘柄」で具体的にどうやればいいのか、解説します。

株主優待制度とは

 日本には、世界でも珍しい「株主優待」という制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。上場企業が株主に、お中元やお歳暮を贈るようなものです。

 株主への利益還元は、通常、「配当金」の支払いで行います。「株主優待品」は、配当金とは別に、株主に贈られるものです。魅力的な制度なので、積極的に活用したら良いと思います。

優待は欲しいが、株価が下がるリスクを負いたくない場合、「つなぎ売り」を使えばよい

「つなぎ売り」を利用して、株価下落リスクを回避しながら、株主優待を獲得する方法

 株主優待に魅力を感じて、株式投資を始める方が多いと聞いています。ただし、株式投資である以上、投資した後、株価が下落することもあります。

 優待は欲しいが、株価変動のリスクは負いたくない時、活用したらいいのが「つなぎ売り」です。「つなぎ売り」は信用取引の一種で、信用口座を開設しないとできません。

優待取り「つなぎ売り」のイメージ図

【参考1】「つなぎ売り」とは
 株を借りてきて売ることを、「信用売り」といいます。株を持っているが、持っている株を売らず、別途借りてきた株を売ることを「つなぎ売り」と言います。株を保有したまま、株が値下がりするリスクをヘッジする効果があります。この状態で、権利確定日を迎えると、優待をもらう権利が確定します。権利が確定したら、保有している株を、借りてきた株の返済に充てれば、取引が完結します。保有株を、返済に充てることを「現渡(げんわたし)」と言います。

【参考2】「から売り」とは
 保有している株を、借りてきて売るのが「つなぎ売り」でした。それに対し、保有していない株を借りてきて売ることを「から売り」といいます。から売りした株が、値下がりした後に買い戻せば、利益が得られます。たとえば、1,000円でから売りした株が、900円に値下がりしてから買い戻せば、1株につき、100円の利益が得られます。

 ただし、から売りした株が、値上がりしてから買い戻すと、損失が発生します。

「つなぎ売り」のやり方:現物買いと信用売りを同じ株数ずつ行い、優待の権利を得たら、現渡(げんわたし)で決済する

つなぎ売りのやり方を具体的にご説明します。

優待取り「つなぎ売り」のイメージ図

 まず、魅力的な優待を提供している銘柄について、株式現物の「買い」と、信用取引の「売り」を、同じ株数ずつ、同じ価格で行います。買ってから売っても、売ってから買っても、どちらでも問題ありません。同じ価格で行うのが理想ですが、同じ価格で行えないこともあります。

「買い」と「信用売り」を同じ株数(たとえば100株)ずつ同じ価格(たとえば1,000円)で行えば、株価が上がっても下がっても、損も得もしません。

 株価が1,000円から900円まで下落すると、買った株に1万円(値下がり100円×100株)の含み損が発生しますが、同時に、信用で売った100株には1万円の含み益が発生します。合わせると、損も得もしません(売買手数料は考慮しないベース)。

 逆に、株価が1,000円から1,100円まで上昇すると、買った株に1万円の含み益が発生しますが、同時に、信用で売った株に1万円の含み損が発生しますので、合わせると、損も得もしません。

「優待は欲しいが、株価下落リスクは負いたくない」時に、有効な方法です。優待の権利を得たら、速やかに、現渡で決済してください。それで、完結です。

つなぎ売りを使った優待取りにかかるコストが、優待で得られるメリットよりも、大きくならないように注意。制度信用でなく一般信用を使うのが望ましい

 最初に、お伝えしたように、「優待タダ取り」はできません。売買手数料や、貸株料などのコストがかかります。優待取りにかかるコストが、優待で得られるメリットより大きくならないように、注意する必要があります。

 具体的な、つなぎ売りのやり方、コストの計算方法については、明日、解説いたします。

 つなぎ売りを行うにあたってのご注意

●9月の「権利付き最終日」は9月26日(木)、権利落ち日は9月27日(金)

 今年の7月から、約定日から受渡日までの日数が2営業日に短縮されています。それまでは3営業日かかっていたのが、2営業日で済むようになりました。

 何を言っているか、意味がわからない方のために、簡単に言葉の説明をします。
(約定日)=株の売買をする日。
(受渡日)=株の買い手が株主になる日、株の売り手が株主でなくなる日。
(営業日)=証券取引所が開いている日。土曜日・日曜日・祭日は含まれない。

 株を買ったら、すぐに株主になれると思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。株の売買結果に基づいて株主名簿が書き換えられるまでに、6月以前は3営業日かかっていました。ただし、7月16日以降は、2営業日で済むようになっています。

 その結果、9月末に優待の権利が確定する銘柄の、権利付き最終売買日は、以下の通りとなります。従来よりも、1営業日だけ後ろになります。

2019年9月末基準の優待取りの権利付き最終売買日

(注:楽天証券が作成)

 2019年9月末(9月30日・月曜日)に配当金や優待の権利を得る銘柄を例に、上の表を説明します。9月30日に株主名簿に掲載されていないと、9月末基準の配当金や優待を得る権利は得られません。

 9月30日に株主名簿に掲載されるためには、その2営業日前の9月26日(木)までに株を買う必要があります。そうすると、9月末の株主に与えられる配当金や株主優待を得る権利が得られます。

 気をつけなければならないのは、9月27日(金)に買っても、9月末基準の配当金や株主優待を受け取る権利は得られないことです。9月27日を「権利落ち日」といいます。9月27日に株を買った場合、株主名簿に登載されるのは10月1日(火)となります。9月末にはまだ株主名簿に登載されていませんので、9月末基準の配当や株主優待は得られません。

 それでは、9月末基準の優待の権利を、低コスト低リスクで獲得する「つなぎ売り」のやり方を、明日、詳しく説明します。

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(窪田 真之)

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