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平均利回り5%超!「増配」期待の高配当10銘柄。秋はデタント(緊張緩和)相場?

トウシル / 2019年9月13日 8時0分

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平均利回り5%超!「増配」期待の高配当10銘柄。秋はデタント(緊張緩和)相場?

米中貿易摩擦はデタント(緊張緩和)に向かう?

 9月初のショートカバー(空売りや先物売りの買い戻し)を発端に、日経平均は8日続伸を記録。TOPIXは7月高値を上回る水準まで戻しました(12日)。米ダウ平均は6日続伸となり、7月15日に付けた史上最高値(2万7,359ドル)まで約222ドルに迫りました。米国市場のリスクオフ(回避)姿勢が和らぎ米債券金利が反発。ドル/円も108円前後に反発しました。

 こうした背景に、米中貿易戦争が「デタント(緊張緩和)」に向かう兆しをみせていることが挙げられます。デタントとは「雪解け」を意味するフランス語(Détente)で、東西冷戦(1960年代の米ソ対立)時代における「関係悪化回避」を期待させます。

 10月初に米中閣僚級協議が設定され、中国が対米報復関税の対象商品から一部を除外。トランプ大統領は10月1日に予定していた対中関税率引き上げを10月15日に延期しました。中国は米農産物輸入再開を「協議前の善意の印」として検討中と報道されています。

 こうしたなか、同大統領は「外交面で最もタカ派」と呼ばれるボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を更迭しました。図表1は米ダウ平均とトランプ大統領の支持率を示したものです。株価が反発しても、大統領の支持率は低下したままです。来年の再選を目指し、中国やイランとの対立激化よりも「ディール(交渉による成果)」重視に転じた可能性もあり注目したいと思います。

図表1:トランプ大統領に焦りも?株価反発でも支持率は回復せず

*大統領支持率はReal Clear PoliticsのTrump Job Approval Poll(世論調査平均) 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018/4/1-2019/9/11)

国内株式は配当利回りスプレッドで「割安圏」にある

 8月は、米中貿易摩擦、中国の景気鈍化、BREXIT(英国のEU離脱)を巡る警戒感が市場や投資家のリスク許容度を押し下げました。日米欧の中央銀行高官やIMF(国際通貨基金)は、「設備投資の減退(景気の鈍化)リスク」を警戒し、一段の金融緩和や金融緩和継続を「次の一手」とする姿勢を示しています。

 こうしたなか、ドイツや日本の長期金利はマイナス圏で一段と低下。国内市場ではTOPIX(東証株価指数)ベースの「配当利回りスプレッド」(予想配当利回り-10年国債利回り)が、2016年当時の水準を上抜け、「過去10年で最高水準」に達しました。

 つまり、債券利回りと比較した株式配当利回りの水準は、「債券と比較して株式がかつてないほど割安感を強めている」ことを示しています(図表2)。

図表2:日本株式の配当利回りスプレッドは「歴史的な割安圏」を示唆

*TOPIXベースの配当利回りは市場予想平均DPS(1株当り配当額/Bloomberg集計)をもとに試算 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2009年1月1日~2019年9月11日)

 具体的にはTOPIXの配当利回りスプレッドは9月2日に2.92%(=配当利回り:2.65%-長期債金利:-0.27%)に上昇して、株式が「債券と比較した割安感」を強くしました。

 一方、図表3で見る通り、TOPIXベースの予想DPS(1株当り配当額)は増加基調を維持。TOPIXの12カ月累計DPS(39.08)から、今期(主に2020年3月期)のDPSは39.81、来期(主に2021年3月期)は42.10と総じて増配が見込まれています(Bloomberg集計による市場予想平均)。

 外部環境と市場心理の悪化で株価は8月に下落しましたが、米国株高と為替の反転円安を契機にして、9月の内外市場はバリュエーションの見直しを追い風にした「デタント相場」と言えそうです。

図表3:国内株式平均ベースの増配傾向は変わらず

*予想配当額=TOPIXベースの当期DPS(1株当り配当額)<市場予想平均> 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2009/1/1-2019/9/11)

主力銘柄から「高配当利回り&増配期待銘柄」を選抜

 本年の国内株式は総じて低調となっていますが、時価総額が比較的大きな主力銘柄のなかで配当利回りが比較的高く増配期待もある銘柄を「高配当利回り&増配期待銘柄」として注目したいと思います。

 銘柄選別のベースとなる母集団(ユニバース)としては、「TOPIX100指数」(東証1部上場で時価総額上位100社)を使用します。TOPIX100指数の構成銘柄は、文字通り「日本を代表する100社」と言えるでしょう。

 図表4は、(1)TOPIX100指数を構成する100銘柄のなかから、(2)来期(主に2021年3月期)も再来期(主に22年3月期)も増配傾向である銘柄群、(3)今期(主に20年3月期)の予想DPS(1株当り配当額)をもとに計算した「配当利回り」で降順に一覧した10銘柄を示しました。

 配当利回り水準の高低だけでなく、業績見通しを重視し、「減配リスク」は極力低減しました。例えば、日産自動車(7201)の予想配当利回りは約5.4%ですが、業績低迷で今期(2020年3月期)も来期(2021年3月)も減配見通しとなっています(9月12日時点の市場予想平均)。

 配当利回りが比較的高くても、利回りのベースになっているDPSが減配傾向となるなら、株価は一段と下落するリスクがあります。当面、再び不確実性が強まる場面もありそうですが、世界的な金利の低位安定環境に大きな変化はなさそうです。

 図表4に示した10銘柄の予想平均配当利回りは5.11%で、10銘柄は総額約234万円で購入できます。今後も長期の視野に立った「高配当利回り&増配期待銘柄」に注目したいと思います。


図表4:国内株式の「高配当利回りベスト10銘柄」は?

コード 銘柄名 業種 株価 今期配当予想 今期配当利回り 来期配当予想 再来期配当予想
2914 日本たばこ産業 食料品 2,333.00 154.00 6.60 158.13 163.73
9434 ソフトバンク 情報・通信業 1,508.00 85.51 5.67 90.03 92.47
7751 キヤノン 電気機器 2,935.00 160.00 5.45 160.63 162.50
8316 三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 3,769.00 187.00 4.96 197.89 209.75
4188 三菱ケミカルホールディングス 化学 814.90 40.00 4.91 40.62 42.00
4502 武田薬品工業 医薬品 3,719.00 180.00 4.84 180.58 186.11
8002 丸紅 卸売業 747.50 35.50 4.75 36.60 37.63
8591 オリックス その他金融業 1,710.50 79.93 4.67 84.30 87.85
7270 SUBARU 輸送用機器 3,097.00 144.00 4.65 144.53 146.88
8058 三菱商事 卸売業 2,800.50 130.00 4.64 138.00 145.50
10銘柄の最低投資総額(合計/円) 2,343,440 算術平均 5.11    
TOPIX(東証株価指数)<市場平均> 1,595.10 39.81 2.50 42.10 44.55
*単位 株価:円  今期配当予想:円  今期配当利回り:%  来期配当予想:円  再来期配当予想:円
*上記はTOPIX100指数(東証1部の時価総額上位100社)構成銘柄をユニバース(銘柄母集団)にしたものです。
*来期配当予想と再来期配当予想が「増配見通し」の銘柄群のうち「予想配当利回り上位10社」を示したものです。
*「今期」は主に20年3月期、「来期」は主に21年3月期、再来期は主に22年3月期を示します。
*今期、来期、再来期のDPS(1株当り配当額)は市場予想平均(Bloomberg集計)を示しています。
*DPSの市場予想平均は、業績見通し次第で上下に修正される可能性があります。
*上記は銘柄推奨を目的としたものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019年9月12日)

 

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(香川 睦)

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