バブルを延命させるFRBの新たな政策が浮上!隠れQE4を画策か!?
トウシル / 2019年9月26日 15時50分
バブルを延命させるFRBの新たな政策が浮上!隠れQE4を画策か!?
方向感のない為替市場
米著名投資家のラリー・ウィリアムズは2019年9月21日に、「ドルインデックスは方向感を失い大きなレンジを形成しています。このような状態がすでに数カ月続いています。レンジをブレイクしてどちらかへ進むはずです。現地点では、●曜日の安値をブレイクしたところで売ります。アキュムレーションは弱いので、ユーロの買いになります。しかし、木曜の安値をブレイクして売りシグナルになり、その際、●曜日の高値にストップをおきますが、ドテンしてもよいでしょう。これだけ長く横ばいなので、シンプルにドテンするのがよいでしょう。ドルインデックスではブレイクアウトからトレンドに乗っていきます」と述べ、為替市場の戦略としては、もちあいを離れるまでは基本的に待ちの姿勢のようだ。
ドルインデックス(日足)
最近はポンド/ドル相場も日足では強いトレンドが発生していない。トレンドが発生しにくいユーロ/ドルやユーロ/円の逆張り(ストップロス注文必須)を継続しているが、筆者も現在の姿勢は基本的に様子見である。
ポンド/ドル(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル
ドル/円(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル
ユーロ/ドル(日足)逆張りのATRチャネルトレード
ユーロ/円(日足)逆張りのATRチャネルトレードモデル
米金融当局OMOをPOMOに変えて隠れQE4を画策か!?
イールドカーブのフラット化や逆イールドで長短金利差が縮小する中、金融機関のビジネスモデルは壊れてしまっている。グリーンスパン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長は米国がマイナス金利になるのも時間の問題と述べているが、今後も銀行の根源的収益は縮小していくだろう。その先にあるものは金融危機である。
自社の足元の暗さから、金融機関は同業他社の経営に不安を持っており、疑心暗鬼の中で銀行には融資をしたくないと思っている。程度は違うが、いわば日本の北海道拓殖銀行・山一證券倒産時に似た状況である。英フィナンシャルタイムズの記事を読むと、今回の米レポ市場への介入、すなわち、OMO(公開市場操作/Open Market Operations)は特別措置ということになっている。しかし、「この先、短期金利市場がまたおかしくなったら、連銀はOMOを既成事実化して長期にやるのではないか」という観測が浮上している。これはOMOではなく、POMO(恒久公開市場操作/Permanent open market operations)である。
OMOをPOMOに変えてQE(量的緩和)をやるというのは、いかにも連銀がやりそうなことだ。これは危機を防ぎバブルを延命させる「隠れQE政策」と言えるだろう。POMOは10月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)で検討、あるいは決定されるのではないかと噂になっている。
POMOという隠れQEはトランプ米大統領への対策にもなる。パウエルFRB議長はトランプ大統領に強烈に批判されており、さりとて、現状で大幅利下げやQE4(量的緩和第4弾)をやりたくない。しかし、POMOならQE4とは呼ばずに隠れQEとしてバブルを延命でき、株価が高値圏にあれば再選を狙うトランプ大統領もおとなしくなる可能性があるというのが、金融当局者の見立てであろう。
方向転換の9月の始まりと「28」の経済的な不吉の予兆
ゼロヘッジの2019年9月3日の記事に、「28 Signs of Economic Doom as Pivotal Month of September Begins(方向転換の9月の始まりと28の経済的な不吉の予兆)」というのが載っていた。9月以降、投資家は何に注視すべきかが書いてある。相場で大切なことは、目先の売り買いよりも長期的思考であろう。
以下は「28」の経済的な不吉の予兆である。
9月以降、投資家は何を注視すべきか?
#1 直近では米国と中国は痛みを伴う新しい関税で互いに平手打ちしあい、貿易戦争はまったく新しいレベルに引き上がった。
#2 JPモルガンチェースは、貿易戦争による「平均的な米国の家庭」への影響は年間1,000ドルと予測している。
#3 イールドカーブの反転は、1950年代以来、米国のあらゆる不況に先行しており、それが再び起こったという事実は、最近ウォールストリートが過剰に反応している大きな理由の一つだ。
#4 米国の消費者心理はこの7年間で最大の低下をした。
#5 米国住宅ローンのデフォルトは、前回の金融危機以来、最も速いペースで上昇している。
#6 150万ドル以上の価値がある高級住宅の売り上げは2019年第2四半期に5%減少した。
#7 2009年9月以来、米国の製造業セクターは初めて縮小した。
#8 Cass Freight Index(北米の物流量を示すインデックス)は何カ月も下落している。CNBCによると、「5月の6%の減少、6月の5.3%の減少に続いて、7月は5.9%減少した」とのこと。
#9 2019年第2四半期における米国の国内総投資額は5.5%減少した。
#10 米国の製油所での原油処理は、前回の不況以来、最も落ち込んだ。
#11 銅の価格は、多くの場合、経済の先行指標であり、過去6カ月で13%下落している。
#12 経済危機が来そうなときは、投資家はしばしば貴金属に群がる。5月以降、金の価格が20%以上上昇していることは注目に値し、非常に興味深い。
#13 婦人服小売店Forever 21は「破産保護申請間近」と報道されている。
#14 シアーズとKマートが今年末までに「さらに100店舗ほど」を閉鎖するようだ。
#15 RV車の米国内出荷は、2019年には驚くべきことだが20%減少している。
#16 米労働局は米国経済が自分たちの把握していた数よりも実際には50万1,000人の雇用が減少していたことを認めた。
#17 S&P500種構成銘柄の1株当たり利益は、年間を通して着実に減少している。
#18 モルガン・スタンレーは、世界的な景気後退が起こる可能性は「すでに高く、しかも増加している」と言っている。
#19 6月の世界貿易は前年より1.4%減少した。これは前回の不況以来、最大の減少だった。
#20 ドイツ経済は第2四半期に縮小し、ドイツの中央銀行は「第3四半期も下落すると予測している」。
#21 CNBCによると、S&P500は「悲鳴に近い売りシグナル」を米国の投資家に送った。
#22 高田将成(野村證券ストラテジスト)は、「リーマンのような」急落が株式市場で起こるかもしれないと警告している。
#23 企業のインサイダーは、10年以上見たことがないペースで(自身の保有する)株を投げ売りしている。
#24「Apple」のティム・クックCEOは、数百万ドル相当のApple株を投げ売った。
#25 ウォーレン・バフェットは、会社の資金を株式市場に投入する代わりに、1,220億ドルを現金保有することにした。これは、危機が来ていると彼が信じていることを明確に示している。
バークシャー・ハサウェイの手元現金
#26 投資家は、これまで見たことのないペースで新興市場ファンドの株式を売却している。
#27 経済政策不確実性指数は、6月に今までに見られたことがない最高レベルに達した。
#28 米国人は、2009年以来、最も頻繁に「不況」という用語をGoogleで検索している。
兆候は非常に明確であるが、残念ながら私たちは「正常性バイアス」が社会にまん延している時代に生きています。
「正常性バイアス(Normalcy bias)」になじみがない人はWikipediaによるとその定義は次のとおり…
[正常性バイアス(Normalcy BiasまたはNormality bias)は、災害の可能性を考慮するときに人々が信じること。人々は物事がいつも常に機能すると信じているため、人々は災害の可能性とその起こり得る影響の両方を過小評価する。これは、人々が災害に対する適切な準備を怠り、もっと大きなスケールでは政府が災害準備に民衆を含めることができないという状況につながる可能性のことを言う。伝えられるところでは、約70%の人々が災害時に正常性バイアスを示すとのこと。]
ほとんどの米国人にとって、2008年と2009年の危機は今や遠い記憶であり、大多数の人々は、短期的な経済不況があってもその先には明るい未来が来ると確信している。その結果、ほとんどの人は大きな経済危機に備えていないため、我々は危機に対して非常に脆弱である。
2008年と2009年、恐ろしい金融危機とその後の厳しい不況はほとんどの米国人を不意打ちした。警告サインは出ているのだが、今回も同じことが起こるであろう。
半導体市況の底打ち・ラリー・ウィリアムズの為替相場見通し・日経平均の行方
9月25日(水)のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』は、楽天証券経済研究所チーフアナリスト今中能夫氏、テクニカルアナリストの土信田雅之氏をお招きして、『半導体市況の底打ち・ラリー・ウィリアムズの為替相場見通し・日経平均の行方』をテーマに番組を進行しました。ぜひ、ご覧ください。
番組ホームページから今中能夫氏と筆者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。
9月25日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)
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