2万円台割れの日経平均、「防衛ライン」はどこか。1万6,800円前後まで下落の可能性も?
トウシル / 2020年3月9日 13時5分
2万円台割れの日経平均、「防衛ライン」はどこか。1万6,800円前後まで下落の可能性も?
「2万1,000円辺りで底打ち」シナリオがお預けに
3月相場入りとなった先週の国内株市場ですが、週末6日(金)の日経平均終値は2万749円でした。前週末終値の2万1,142円からは393円安となりましたが、前日5日(木)時点では187円高の2万1,329円だったため、結果的に6日(金)の下落によって週足ベースの続落(4週連続)につながった格好です。
先週の株式市場も新型コロナウイルスをめぐる動向に左右されやすく、先行きの不透明感が強い状況が続きましたが、さらに今週は週末の13日(金)にいわゆる「メジャーSQ」が控えているため、値動きがますます不安定になってしまうことを想定しておく必要があります。
まずはいつもの通り、足元の状況から確認します。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年3月6日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、2万1,000円台をはさんだ攻防が続いていました。実際に、ローソク足が陽線をつけた2日(月)と4日(水)は、この2万1,000円の水準を下から上に抜ける形になっています。
ところが、週末の6日(金)に下落したことで、「ひとまず2万1,000円辺りで底打ち」というシナリオがお預けとなってしまいました。ちなみに、日経平均が終値ベースで2万1,000円台を下回るのは2019年9月4日以来です。
今週の相場を考える上でカギとなるのは、この「2万1,000円台割れをどう捉えるのか?」になります。2万1,000円台の節目を割れたことで、「新たな局面入りとなってさらに下落していく」のか、それとも「下げ過ぎのため、目先は反発していく」のかです。
というのも、いわゆる「PBR(株価純資産倍率)1倍」とされるのがちょうど2万1,000円ぐらいとされていたからです。PBRは株価をBPS(一株あたり純資産)で割ったもので計算されます。先週末6日(金)時点の日経平均採用銘柄のPBRは0.99倍でした(加重平均で計算した場合)。
一般的に、相場が上昇している時にはPER(株価収益率)が注目され、下落している時にはPBRが注目される傾向があります。株価が上値を追っていく局面では株価を企業の事業価値(稼ぐチカラ)で計算したPERを参考に、「まだ買える」というような見方をしますが、株価が下落している局面では企業の資産価値で計算したPBRを参考に、「そろそろ割安か」という見方をするからです。
確かに、企業の資産価値と株価を比べれば、現在の株価水準はそろそろ底打ちしてもおかしくはありませんが、先週末の先物取引市場が大阪取引所で2万320円、CME(シカゴ)が2万405円と一段安になっていることや、すでに株価が200日移動平均線からかなり下放れてしまっていること、為替市場でも円高が進行していることなどを踏まえると、株価は下振れの方に意識が傾きやすいと判断した方が良さそうです。
中長期トレンドも底割れに警戒が必要
また、中長期のトレンドの状況についても見ていきます。
■(図2)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2020年3月6日取引終了時点)
上の図2は週足の日経平均に、2016年6月24日を起点とした線形回帰トレンドですが、先週末時点の日経平均は▲2σ(シグマ)のところに位置しており、中長期的なトレンドを見ても底割れに警戒が必要な状況です。
過去にさかのぼってみると、この▲2σのところで2度株価が反発している場面がありましたが、今回も同様に踏みとどまることができるかが焦点になります。踏みとどまることができれば、▲1σまで値を戻す展開が考えられます。
なお、この線形回帰トレンドについては、2019年12月30日のレポートで紹介した経緯があります。当時は2020年の値動きの目安として、中心線を挟んだ+1σ~▲1σの範囲内でのもみ合いを想定していましたが、これが崩れてしまう格好になっています。そのため、さらなる下値の「防衛ライン」を想定しておく必要があります。
1万6,800円前後までの下落シナリオが浮上する可能性も
■(図3)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年3月6日取引終了時点)
上の図3は日経平均の日足チャートに、2018年12月26日安値と、直近1月17日高値を基準としてギャン・アングルを描いたものです。
日経平均は200日移動平均線という長期のサポートラインを下抜けてからは、ギャン・アングルの2×1ライン、3×1ラインを目安として株価の上げ下げを見せてきましたが、先ほども触れた先週末の先物取引終値の株価水準(2万300~2万400円)は、ちょうど4×1ラインと一致しています。
さらに一段安となってしまった場合には、8×1ラインまで切り下がる可能性があります。株価水準的には1万9,600~1万9,700円辺りになりますので、日経平均が2万円を下抜けした際の最初の防衛ラインとして注目されることになりそうです。
そして同様に、週足のギャン・アングルも見ていきます。
■(図4)日経平均(週足)とギャン・アングル(2020年3月6日取引終了時点)
週足では、先ほどの図2と同じ2016年6月24日を起点とし、バブル後最高値をつけた時期である2018年10月5日までの設定期間で描いています。2018年10月以降の日経平均は高値を更新していないため、この設定期間で上昇トレンドが一段落しているという考え方です。
足元の株価はギャン・アングルの3×1ラインのところに位置しています。チャートを過去にさかのぼると、2018年の年末にも同じ3×1ラインまで株価が下落する場面がありました。
何とか踏みとどまってほしいところですが、相場が崩れてしまった場合には、4×1ラインの1万8,700円前後、8×1ラインの1万6,800円前後までの下落シナリオが浮上してしまう可能性があることを頭の片隅に入れておく必要があるかもしれません。
(土信田 雅之)
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