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誰が売り、誰が買った?コロナ・ショックの日本株売買を徹底分析

トウシル / 2020年4月1日 7時57分

写真

誰が売り、誰が買った?コロナ・ショックの日本株売買を徹底分析

[お詫びと写真変更]
2020年4月1日公開時の当記事内の写真において、浅草寺のイメージを著しく損なう不適切な使用をしておりました。当該写真を変更するとともに、浅草寺様および被写体となった従業員様に対し、心よりお詫び申し上げます。

コロナ・ショック、日本株を売ったのは誰か?

 日経平均株価の激しい値動きが続いています。2月25日~3月19日まで、日経平均はわずか4週間で6,834円(29%)下がる「暴落」となりました。ところが、先週、3月23~27日には、1週間で2,836円(17%)の急反発となりました。今週は、1万9,000円をはさんで神経質な動きが続いています。

日経平均日足:2020年1月4日~3月30日

 これほどまで、大慌てで日本株を売ったり買ったりしているのは、誰でしょうか?答えは、外国人投資家です。

 まず、2月25日~3月19日までの暴落局面での売買手口を見てみましょう。

急落局面での投資主体別売買動向:2020年2月25日~3月19日

出所:東京証券取引所「主体別売買動向(売買差額)2市場1・2部」より作成、日本銀行の買越額は、出所、日本銀行。日銀は日本株ETFを購入しているが、株式を直接買い付けてはいない。日銀が購入するETFを組成するための日本株注文が出る

 ご覧いただくとわかる通り、日経平均を暴落させたのは、外国人投資家です。外国人の売りは、ここに出ているだけではありません。ここには株式現物の売りだけが出ています。外国人は、日経平均先物も1兆円超、売り越しています。

 一方、国内投資家は、この暴落局面で大量に買い越しています。最大の買い手は、個人投資家で、1兆円を超える買い越しとなっています。日本銀行も、同じく1兆円以上買っています。事業法人は、「自社株買い」で、近年安定的な買い越し主体となっていますが、この暴落局面でも5,922億円も買い付けています。

 信託銀行(信託勘定)も買い越し。信託勘定を通じて売買しているのは、年金基金です。特に、公的年金の影響力が大きくなりました。この暴落局面で、リバランスの買い【注】を出していたと考えられます。

 【注】リバランスの買い
公的年金は、年金資産を基準ポートフォリオ(日本株・外国株・国内債券・外国債券の標準組入比率を決めたモデル・ポートフォリオ)に従って長期運用しています。最近、日本株・外国株が急落したことで、時価ベースで評価した内外株式の組入比率が基準よりも、大幅に低くなっていたはずです。
3月末に決算期末を控え、公的年金は、基準ポートフォリオから大きく乖離した組入比率を、基準に近づけるリバランスを実行する必要があるはずです。そのための日本株買いが、3月末受渡ベースの最終売買日(3月27日)に向けて、出ていたと推測されます。

  この売買主体を見て思い出すのは、2008年9月のリーマン・ショック直後の暴落です。日経平均が暴落する中で、巨額の売りを出したのは外国人で、それに巨額の買いで立ち向かったのは、個人投資家と信託銀行(年金基金)でした。

 当時は、日銀の買いはなく、事業法人による自社株買いもまだあまり大きくありませんでした。ただし、「外国人が売って、個人と年金が買う」構図は、当時と今と全く同じです。

先週の急反発で、日本株を買ったのは誰か?

 先週、1週間(3月23~27日)で、日経平均は17%上昇しました。これは週間ベースで過去最大の上げ幅。これほどまで、大慌てで日本株を買ったのは誰でしょうか?

 まだ、主体別売買動向の統計が出ていないので推測するしかありませんが、過去何度も繰り返してきたパターンから、買い手が外国人であることは間違いありません。外国人は売る時は下値を叩いて売り、買う時は上値を追って買ってくるので、外国人が大量に売買する時は、短期的な値動きが荒くなります。国内投資家は、こんなに荒い値動きを起こすような売り方・買い方はしません。

 先週の買いの主体は外国人投資家による日経平均先物の買い戻しだったと考えられます。外国人は、コロナ・ショックによる世界景気の急激な冷え込みを受け、世界景気敏感株である日本株に、きわめてネガティブな投資判断をしてきました。外国人と見られる投資家による、日経平均先物の空売りが、過去最高に近いところまで積み上がっていました。

 そんな中、日米欧主要国から、「なんでもあり」の巨額「財政・金融政策」の発動が出てきたことから、外国人の一部が先物を大慌てで買い戻したと考えられます。

 日本銀行による、日本株ETFの大口買いは先週も続けられました。先週は、4,068億円買っています。

 公的年金による、日本株リバランス買いや、事業法人による自社株買いも、一部出ていた可能性があります。3月末受渡ベースの最終売買日(3月27日)に向けて、一定金額を買う必要があったと推定されます。

 それでは、先週、売ったのは誰でしょう?これも推測ですが、個人投資家は売り越しだったと考えられます。個人投資家は、下落局面で買い、上昇局面で売る傾向が顕著ですから、先週は売り越しだった可能性があります。

日本株の投資判断

 私は、日本株は買収価値や配当利回りから見て割安で、長期的に良い買い場を迎えていると判断しています。ただし、コロナショックによる恐怖が収束するまで、日本株が割安であるか否かは、無視されます。

 先週は、たまたま需給要因で、日経平均は急反発しました。ただし、コロナ・ショックによる恐怖の連鎖は、まだ収束していません。日経平均が、二番底を試すリスクはまだ残っています。

 ここから、もう一度、売り込んでくるとしたら、それはやはり外国人になるはずです。外国人が日本株を売るか買うか、以下の強弱材料の綱引きによって決まると考えています。

【強材料】
 ◆世界各国が協調して、何でもありの巨額経済対策を出してきていること
 ◆新型コロナの「治療薬、ワクチン、簡単な検査方法」の開発が進み始めていること

【弱材料】
 ◆欧米および日本で、感染拡大止まらないこと
 ◆感染を抑えるための経済封鎖により、日本および世界の景気・企業業績が急激に悪化していること。

 ただし、日本株が長期投資で良い買い場を迎えているとの判断は変わりません。短期的な下値リスクに注意しつつ、リスクを適切に管理しながら、日本株を時間分散しつつ買い増ししていくことは、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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(窪田 真之)

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