日経平均が再び急落。「二番底」トライか?
トウシル / 2020年4月2日 7時46分
日経平均が再び急落。「二番底」トライか?
日経平均株価が再び急落、4月1日は、前日比851円安の1万8,065円となりました。3月23~27日の週、1週間で+17%の急反発があり、ほっとできたのも、つかの間。再び、「二番底」を試す懸念が出ています。
日経平均日足:2020年1月4日~4月1日
コロナ・ショックが起こり、世界的な株の暴落が始まったのは、2月25日でした。2月25日から3月19日まで、わずか4週間で日経平均は6,834円(29%)下がりました。ただ、これは、あまりにも下落ピッチが速過ぎて、短期的に「下げ過ぎ」感が強まりました。
先週、3月23~27日に、日経平均は一転して1週間で2,836円(17%)の急反発となりました。日米欧主要国から、「何でもあり」の巨額の経済対策が次々と出てきたため、日経平均先物の売り建てを積み上げていた外国人投資家が、大慌てで先物を買い戻しました。
ただし、1週間で17%高は、どうみても「反発ピッチが速過ぎ」でした。スピード調整が必要とのムードが強まりました。
日経平均が急反発している間にも、新型コロナウイルスの感染拡大は一段と深刻となっています。欧米に加え、日本でも感染者の拡大が加速していることが、不安心理を高めています。日本は一時、感染急拡大を防止するのに成功しつつある国と見られていただけに、ここに来て、感染者の増加が加速していることが、重大な懸念材料となっています。
「反発ピッチが速過ぎた」日経平均は、感染悪化に対する懸念がより深刻になっている事態を受け、再び、急落しました。それが、4月1日の急落の背景です。
4月前半は、国内勢の買いがやや減少する可能性も
需給面で、4月前半は、やや国内勢の買いが減る可能性があります。3月に、日本株を買ったのは、個人投資家、日本銀行、事業法人(自社株買い)、信託銀行(公的年金など)でした。
この中で、今週、変わらずに巨額の買いを続けているのは、日本銀行だけと推定されます。個人投資家は、下がると買いが増えますが、急反発の局面では戻り売りが増える傾向が鮮明です。自社株買いと年金の買いは、3月の受け渡しベース最終売買日(3月27日)までで、当面予定されていた買いは終了していると推定されます。
年金基金は、3月末でリバランスの買いがいったん終了したと考えられます。自社株買いも、3月決算企業については、いったん終了していると考えられます。
3月期決算企業については、株主総会が開催される6~7月に新たに2020年度の自社株買付枠が設定される見込みです。それまで、一時的に自社株買いが減りそうです。12月決算企業は、2020年度の自社株買付枠を既に得ているので、自社株買いは続けられます。
日経平均はどこまで下げるか?当面の想定レンジは1万6,500~1万9,500円
それでは、日経平均はどこまで下がるのでしょうか? テクニカル分析で考えると、当面の想定レンジは、1万6,500円~1万9,500円です。1万6,500円は、コロナ・ショックが始まってからの急落で一気に下げた下値です。ここまで下げた時に「下げ過ぎ」感が出て、1週間で+17%の急反発につながりました。空売り筋は、ここから17%の急反発を見ているので、この水準まで売り込む勇気を当面持ちにくいところです。したがって、ここが目先の下値メドとなります。
一方、上値メドは、1万9,500円となります。ここまで反発した時、「反発ピッチが速過ぎる」とのムードが広がり、ここから急落したからです。
昨日のレポートに記載した通り、株式市場では、以下の強弱材料のせめぎ合いとなっています。
【強材料】
・世界各国が協調して、何でもありの巨額経済対策を出してきていること
・新型コロナの「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が進み始めていること
【弱材料】
・欧米および日本で、感染拡大止まらないこと
・感染を抑えるための経済封鎖により、日本および世界の景気・企業業績が急激に悪化していること
想定レンジの上半分(1万8,000円~1万9,500円)では、当面、戻り売り圧力が強くなりそうです。想定レンジの下半分(1万6,500円~1万8,000円)では、当面、押し目買い圧力が強くなると予想しています。
誰が売り、誰が買っているか?
日本株は、配当利回りや買収価値から見て、割安と判断しています。ところが、今のようなパニック相場では、割安であることは無視されます。パニックが収まるまで、売りが強く、どこまでも下げるということもあり得ます。
こういう相場で重要なのは、需給を読むことです。ここまで下がってなお、下値を叩いて売ってくるのは、外国人投資家です。国内投資家は大部分が、様子見か、押し目買いのタイミングをはかっていると考えられます。
外国人投資家は、昨年来、日本株をかなり売り越しています。日経平均先物の売り建ても積み上げてきていました。つまり、日本株に弱気で、既に日本株のポジションをかなり低くしていると考えられます。したがって、ここからさらに、どんどん売りを増やしていくとは考えにくいところです。
ただ、1つだけ気になる外国人投資家がいます。中東などのオイルマネーです。原油急落で、国家収入が減っているので、収入を補完するために、保有する日本株などの資産を売却する可能性がないとは言えません。今と同じように、原油が急落した2006年には、実際中東のオイルマネーが、日本株を売ってきました。
今回、オイルマネーの日本株売りが出るか出ないか、私には予想することはできません。もし出れば、日経平均の下値はさらに低くなりますが、それだけ、割安なところで日本株を買う機会が生じるとも言えます。
ここからは、少しずつ時間分散しながら、日本株を買っていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。大型の高配当株から買っていくべきと考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2020年4月1日:誰が売り、誰が買った?コロナ・ショックの日本株売買を徹底分析
2020年3月30日:急反発の日経平均、誰が買った?「二番底」に向かう不安は消えず
(窪田 真之)
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