相場下落で損切りに異議あり!iDeCoとつみたてNISAでやっちゃダメなワケ

トウシル / 2020年4月7日 5時10分

写真

相場下落で損切りに異議あり!iDeCoとつみたてNISAでやっちゃダメなワケ

投資指南書が言う損切りは当たり前じゃない!下落相場で積み立て投資の対処法がある

 あなたが、個別株式で投資スタート、あるいはそうした投資本を読んで育った個人投資家であれば、「損切り」という概念はご存じでしょう。

 取得価格より株価が下落した場合、どこかで見切りをつけて手放すことを「損切り」といいますが、これは、投資の基本テクニックとして説明されています。その理由を挙げてみます。

・値下がりをした銘柄が株価を回復するまでには長い時間を要することが多く、それまで評価損を抱えた状態が続く

・人は自分の失敗を素直に受け止められないので、「すぐに株価は戻る」などの非合理的な判断を下してしまい、株価はさらに下がりがちである

・塩漬け状態となった資金を他の株式購入資金に充てるほうが、資産運用の資金効率が良くなる

・値上がりを期待する理由が消滅しているため、保有する理由が失われており、手放したほうがいい

・損失には税金がかからず、また同一年で生じた利益と損益通算もできる(NISA[ニーサ:少額投資非課税制度]などは除く)

 これらは個別現物株式や信用取引で投資をしている場合には考慮してもよいのですが、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの積み立て投資に限っては、この損切りルールを採用しないほうがいいと思います。

 では、私があえて損切りという投資の「常識」について異議を唱える理由は何かお分かりでしょうか。

iDeCoでなぜ損切りが良くないのか

 まず、iDeCoや企業型DC(確定拠出年金)について考えてみましょう。損切りがうまくいかない理由としては、次が挙げられます。

・資金の出し入れを機動的に行えない(特に入金については毎月の少額の掛け金に限られる)

・投資信託が軸となっており、売買タイミングの機動性が低い(基準価額は1日に一度のみ変わり、売買は翌日以降に成立することが多い)

・投資信託がリスク運用の選択肢であり、インデックス運用が中心となっている(保有銘柄だけインデックスより突出して下がることはまずない)

・60歳まで原則として引き出せないため、損失確定したマイナスを取り戻すためには、「売った価格」より低い価格で再購入する必要がある(しかしそう簡単ではない)

 そしてこれらは手元資金で個別株を売買するのとは異なった投資条件です。

 投資の条件が異なるのなら、売買のルールも違っていいわけで、「持ち続けて市場の回復を待つ」という選択肢は「大いにあり」なのです。

 特に「60歳まで受け取れない」ということは、お金の使い道が老後ということですから、アラサー、アラフォーは十分に回復を待つ時間があります。55歳であっても、受け取りを65歳にすれば(継続雇用の間は受け取らない)、回復のための時間を10年持つことができるのです。

つみたてNISAでなぜ損切りが良くないのか

 同様に、つみたてNISAにおいても、あせって損切りして売るより、回復まで持ち続けたほうがいいと思われます。理由は以下のとおりです。

・年間の投資限度額が40万円と小さく、ドカンと高額の入金をして再投資を仕掛けるような力に欠ける

・売却はNISA枠からの出金となり、再投資した場合は同年の新規つみたてNISA枠を使ってしまう

・NISAの損失は一般口座や特定口座と損益通算することができない
<参考:少額投資非課税口座(NISA口座)内で生じた損失と他の口座(特定口座・一般口座)の利益とで通算することはできますか?

・iDeCoと同様、投資信託が商品の中心なので売買タイミングを計ることはできない

 つみたてNISAで大きい制約は、「毎年40万円」という枠は固定であって、新規入金は「毎月2万円+ボーナス月増額8万円」といった計画を、多くが設定済みであることです。この場合「損失確定はするが、値下がり時期にまた再エントリーする」というような枠は残されていません。基本的には「売って、NISA枠から出す」こととなり、その売却資金については投資が終了することになります。

 NISA枠については売却して損失確定しても、現状、損益通算できないこともあり、持ち続けてプラスにして終わらせたほうがベターだと思います。

 また、投資をした年から数えて20年目の年末まで非課税期間があるわけで、多くの場合、回復を待つ余裕があるでしょう。もちろん、投資期間が15年以上経過した枠については(投資年ごとに管理される)、利益確定をする選択はあり得ます。

結論:損切りだけが投資ではない!新しい投資スタイルとしての長期投資家になってみよう

 iDeCoやつみたてNISAのこうした制約を嫌っている人の多くは、損切りの戦術が活用できないことを嫌う理由としています。こうした投資家は投資資金も潤沢です(ゼロから始めるのではなく、すでに数百万円以上の資金を持っている)。また、売買回数ももともと多く設定しています。

 しかし、ゼロから始めるiDeCoやつみたてNISAの投資は、長期×積み立て×分散投資を前提としていて、おのずと売買戦略も違ってきていいはずです。

 投資指南本を読んでいて必ず出てくる「損切り」は、長期積立投資家があまり気にしなくていいことです。出口戦略(iDeCoなら60歳前、NISAなら非課税投資期限近くでの売り抜け)は意識するべきですが、短期的に「損切りして、再エントリー」という考え方はしなくてもいいのです。

 普通の会社員は、毎日のようにマーケットウォッチして、売買指図を出すことはできません。売買頻度は低いほど投資の負担は下がります。個人的には、仕事やプライベートの時間をしっかり充実させ、投資については年に数回くらいチェックするだけのほうがいいでしょう。

基本的に買い増し続けるだけ(ただし分散投資はする)」という新しい投資スタイルをぜひ試してみてください。

(山崎 俊輔)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング