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連続増配株は買い安心感が強い?今月の高配当株ランキング

トウシル / 2020年6月9日 5時10分

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連続増配株は買い安心感が強い?今月の高配当株ランキング

★業績堅調・大型株 配当利回りランキング一覧表は3ページにあります

5月の日経平均:懸念材料への反応は限定的。月後半にかけ上げ幅広げる

 5月の日経平均株価は8.3%の上昇と前月に続いての続伸となり、上昇率は前月を上回りました。25日移動平均線水準が下値支持となる形になり、月後半にかけて上げ幅を広げる動きとなりました。

 5月19日には75日線、28日には200日線も突破する状況となっています。月末時点では、コロナ・ショックによる急落が始まる直前の2月21日から3月19日安値までの下げ幅に対して、78.5%の戻りとなっています。

 月前半には2万円の大台達成に伴う達成感から利食い売りも先行しましたが、その後は、世界的な経済活動再開に向けた動きを評価する動きが続きました。

 米国雇用統計が大幅に悪化しましたが、最悪期は通過としてネガティブに捉えられませんでした。国内でも、緊急事態宣言が全面的に解除された他、第2次補正予算への期待感なども高まりました。

 折に触れて米中摩擦の激化が意識されましたが、大きな株安要因にはつながりませんでした。5月末は決算期末のヘッジファンドが多いともみられており、月後半の上昇は売り方の買い戻しの勢いが強まったことも一因と考えられます。

 個別銘柄については、2020年3月期の決算発表に関心が集まりました。通常では月中には発表が一巡しますが、今年は新型コロナの影響で月末にかけて発表がばらける形となりました。

 注目された新年度の業績見通しは大半の企業が非開示とし、不透明感を残す形になっていますが、全般的に嫌気する動きは限られました。前期実績値の上振れなどは素直に評価材料へとつながった印象です。

 トヨタ(7203)が決算で四半期別の販売見通しを示したことなどは話題になりました。観光関連や飲食関連など、コロナ・ショックで売り込まれた銘柄に、一斉に買い戻しの動きが向かう場面も見られました。

買い戻し一巡後は調整場面も想定を

 5月後半にかけての株価一段高は、上昇率が高かった業種をみても、売り方の買い戻しが主導したものと考えられます。ネットの裁定残高が過去最大のマイナス幅になった反動で、目先のさらなる買い戻し余地も残りますが、今後こうした需給要因が一巡した際には、調整場面が訪れる可能性は高いと考えます。

 現在の株価水準は中期的な経済・業績の回復をある程度織り込んだものとなっているため、今後は経済活動再開の動きに対するポジティブな反応は弱くなってくるでしょう。

 4-6月期の業績は、非製造業では観光・運輸、飲食など、製造業では自動車関連を中心に、かなり厳しいものとなるでしょう。業績見通しが厳しめの企業ほど業績予想を開示していないものも多く、これから第1四半期決算の発表に向けては業績リスクが高まる状況となってきそうです。

 アジアや南アメリカなどを中心に、世界的にウイルスの新規感染者数は高止まりしていること、米中摩擦の激化による世界貿易停滞リスクが再燃していることなども株価を抑える要因となりそうです。

 これからは、短期的な業績安心感のある業種などに関心を絞っておく必要がありそうです。情報通信や医薬品、食料品、建設などの他、半導体関連なども足元での新型コロナの影響は限定的だと思われます。

 いち早く景気の回復ペースが強まっている中国関連では、米中摩擦の影響は警戒されますが、インフラ分野、現地でのEC(電子商取引)需要には期待も持てるでしょう。また、コロナの影響によるリストラの動きにおいては、オフィスの縮小に伴う移転需要、退店店舗からの入れ替えに伴う需要増などでメリットを受ける銘柄にも注目です。

 その他、全体相場の一段高要因になり得るのはウイルス開発の進展とみられ、この分野の関連銘柄は今後も人気化しやすいとみられます。

バリュー株物色では配当計画発表済みの高利回り銘柄に注目

 足元では再度バリュー株の相対パフォーマンスが高まりつつあります。ただし、それはあくまでも買い戻しの対象になっている面が強く、買い戻し一巡以降の継続性には疑問も残ります。

 とりわけ、現在は業績予想が多くの企業で非開示のため、今後の業績悪化の表面化に伴うPER(株価収益率)水準の割高感の台頭、減配や無配転落に伴う利回り妙味の消滅といった懸念が残ります。

 配当利回りに注目をする上でも、前期の配当をベースとするのでなく、すでに配当計画を発表した銘柄に注目するべきと考えます。金融株などは、総じて配当計画を公表していますので、当面はバリュー株のなかでも買い安心感が強いといえます。

業績堅調・大型株 配当利回りランキング

 下表は、ここまでの業績が堅調推移で、かつ、高利回りの大型株をスクリーニングしたものになります。前述したような金融関連株は業績の面でランキングからは外れています。

 会社側の配当計画を基にした利回りも併せて載せていますが、配当未定の企業の中でも、豊田通商(8015)清水建設(1803)などはコンセンサスに近い水準を想定しても良さそうです。また、大和ハウスに関しても、今後会社計画の引き上げ余地は残されているでしょう。以下では、配当計画発表企業を取り上げます。

2020年6月2日時点の業績堅調・大型株 配当利回りランキング

コード 銘柄名 配当利回り 6月2日終値 時価総額 実績ROE 経常利益3年変化率 会社予想配当利回り
9434 ソフトバンク 6.59 1,365 65,320 37.9 35.75 6.30
4004 昭和電工 4.18 2,572 3,850 15.5 86.83 -
8015 豊田通商 4.17 2,813 9,959 11.3 7.18 -
1928 積水ハウス 4.16 2,038 13,953 11.5 5.02 4.22
1925 大和ハウス工業 4.15 2,652 17,665 14.1 6.70 3.39
1803 清水建設 3.93 924 7,285 13.6 11.16 -
9433 KDDI 3.85 3,159 72,789 14.9 6.86 3.80
8001 伊藤忠商事 3.76 2,376 37,649 17.0 30.41 3.70
5929 三和HLDG 3.75 964 2,226 13.3 19.97 3.53
配当利回り平均(%) 4.28
注:配当利回り、実績ROE、経常利益3年変化率の単位は%、時価総額の単位は億円、株価の単位は円。
注:連続増配期間には2020年3月期(予)含む、決算期が2020年3月期の実績配当金は予想ベース。
注:配当利回りは実績配当金(2020年3月期は予想配当金)ベース。

銘柄選定の要件

(1)予想配当利回りが3.5%以上(2020年6月2日終値ベース)
(2)時価総額が2,000億円以上(同)
(3)実績ROE(自己資本利益率)が10%以上
(4)3年間での経常利益変化率がプラス5%以上

1 積水ハウス(1928・東証1部)

▼どんな銘柄?
 住宅メーカーのトップ企業です。戸建・賃貸住宅事業が主力で、リフォームや不動産フィーなどストック型事業、マンションや都市開発事業なども手掛けています。

 住宅事業は中期的な市場規模縮小が見込まれる中、ストック型事業や開発事業、国際事業などが今後の成長のカギを握ります。中期的な配当性向40%以上を目標としています。昨年10月に鴻池組を連結化しました。

▼業績見通し
 2020年1月期営業利益は2,053億円で前期比8.5%増益となりました。戸建住宅、マンション、リフォーム事業などが好調でした。一方、2021年1月期見通しは2,060億円で同0.4%増と伸び率が縮小する計画です。

 前期に受注が減少した戸建住宅の営業利益が大きく減少する見通しで、市場予想も下回る水準となっています。新型コロナの影響で、全般的に売上計上時期がずれ込みそうなことは、もう一段の利益押し下げ要因につながる可能性も残ります。

▼ここがポイント
 収益水準は安定しており、配当金の大幅な引き下げの可能性は低いとみられます。また、自社株買いを行っていることも株価の下支え材料となるでしょう。

 一方、目先の焦点となるのは、4月に大きく落ち込んだ戸建住宅の受注状況となります。5月、6月にかけて減少率の縮小が表面化すれば、株価にとっては強い安心材料につながっていくでしょう。

2 大和ハウス工業(1925・東証1部)

▼どんな銘柄?
 大手住宅会社。積水ハウス(1928)との比較では、商業施設や事業施設などの構成比が高い他、住宅でも賃貸住宅の比率が高いことが特徴です。

 海外での不動産投資なども積極的に手掛けています。豊富なメニューを要因とした地主への土地活用の提案力が強みとも指摘されます。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は3,811億円で前期比2.4%増益、物流施設などの増益が戸建、賃貸、マンションなどの伸び悩みを吸収しました。一方、2021年3月期は1,700億円で同55.4%減と大幅減益の見通しになっています。

 新型コロナウイルスによる利益へのマイナス影響は1,900億円と試算しています。ホテルを中心とした商業施設の落ち込みなどを想定のようです。年間配当金も前期の115円から90円に減配予定としています。

▼ここがポイント
 前期比減配計画などが示されたことで、足元の株価は積水ハウスなどとの比較で出遅れ感が強くなっています。ただ、会社側の想定する新型コロナの影響は大き過ぎるとの見方もあって、業績上振れ、配当計画の引き上げといった可能性も高いでしょう。

 その際には、株価インパクトは大きくなる見通しです。前年に相次いだ不祥事発覚で信頼感も低下しましたが、今後はガバナンス強化の評価が見直しにつながる余地もあるでしょう。

3 KDDI(9433・東証1部)

▼どんな銘柄?
 通信大手の一角で「au」ブランドが主力です。2019年9月末のモバイル通信における契約者数シェアは32.1%となっています。子会社のJコムはケーブルテレビの市場シェアトップです。

 2020年3月期まで19期連続での増益、18年連続での増配を続けています。金融事業の拡大などにも注力する方向です。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は1兆252億円で前期比1.1%増益となりました。ライフデザイン領域、ビジネスセグメントともに増益となっています。

 2021年3月期は1兆300億円で同0.5%増益の予想です。新型コロナの影響として、音声収入の増加や固定通信収入の増加などポジティブなものもあり、トータルで影響は小さいとみているようです。

 増益率は低いですが、年間配当金は前期比5円増の120円を計画、先行き自信の表れとも受け止められます。

▼ここがポイント
 増配計画を打ち出した高利回り銘柄として、非常に買い安心感は強いと感じられます。楽天(4755)からの一定のローミング収入獲得なども、利益の下支えとなるでしょう。

 目先の注目点は、10月からのUQモバイルのキャリア化に伴う格安スマホ市場での競争力の向上が表面化することです。

4 伊藤忠商事(8001・東証1部)

▼どんな銘柄?
 総合商社大手の一角で、業界内では繊維や食料品事業に強いとされています。

 小売事業ではコンビニ業界大手のファミリーマートを傘下に抱えています。その他、「スカパー」「Dole」「evian」「ほけんの窓口」「プリマハム」など生活消費関連ビジネスの割合が高いことが特徴です。

 中国最大のコングロマリットであるCITICグループと戦略的業務・資本提携を行うなど、中国ビジネスの強さも強調点になります。

▼業績見通し
 2020年3月期純利益は5,013億円で前期比0.2%増益、一過性要因を除いたベースでみても、同業他社比で好調な決算となっています。

 2021年3月期は4,000億円で同20.2%減益、資源分野の市況の影響がマイナスに響く他、新型コロナの影響を400億円程度想定しています。500億円程度のバッファーを見込んでいるので、上振れの余地もあるといえます。

 また、期初の段階から、年間配当金は3円の増配計画としています。

▼ここがポイント
 世界的に景気の先行き不透明感が拭い去れない中、総合商社内では、生活消費関連ビジネスでの強みが活かされる局面と考えられます。セクター内での選別物色の対象になり得るとして注目できるでしょう。

 増配計画を示したことで、安心感のあるバリュー銘柄とも位置付けられます。

 注目点は、昨年6月に発表した自社株買いの行方です。上限700億円ですが、5月末まで取得はゼロとなっています。今後買い付けが実行されるようなら、株主還元後退懸念が晴れるため、株価材料となってきます。

5 三和HD(5929・東証1部)

▼どんな銘柄?
 重量・軽量シャッターの国内トップ企業です。軽量シャッターの国内シェアは50%を超える水準です。積極的なM&A(企業の合併・買収)展開によって海外市場の拡大もこれまで進めています。

 サービス分野の強化、アジア事業の基盤拡充などに注力しています。2020年3月期にかけて連続での増配を続けています。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は342億円で前期比8.3%増益となっています。販売価格の値戻しや新規連結化効果などが寄与しました。

 一方、2021年3月期は220億円で同35.7%の大幅減益見通しとしています。日本や米国における数量減のマイナス影響を反映しているようです。

 ただ、計画している上期と下期の減収率に違いがなく、新型コロナ収束による下半期の回復ペースは速まる可能性があるでしょう。年間配当金計画は前期水準を据え置いています。

▼ここがポイント
 業績上振れ期待の高まりに伴う連続増配継続の可能性が注目材料となります。利益率が高いとみられるメンテサービスの回復次第では十分に可能性があるでしょう。

 また、財務基盤が強固であることから、新型コロナの収束確認後は株主還元策への期待も高まりそうです。シャッターのトップ企業として、抗菌性、非接触性などの新製品開発の動向も注目されます。

(佐藤 勝己)

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