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人気投資ブロガー・rennyさん 前編:アクティブファンドにこだわる理由。12年で資産約2倍に

トウシル / 2020年6月13日 5時10分

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人気投資ブロガー・rennyさん 前編:アクティブファンドにこだわる理由。12年で資産約2倍に

※このインタビューは2018年11月30日に実施し、2018年12月19日に初回掲載したものです。

 インデックスファンド派が大多数を占める投信ブロガーのなかで、アクティブファンドをメインに運用している数少ないひとりが、人気ブログ『rennyの備忘録』を運営するrennyさんです。一部上場企業に勤務する会社員であり、JリーグFC東京の熱烈なサポーターでもあるrennyさんに、アクティブ運用にこだわる理由やアクティブファンドを選ぶ基準について聞きました。

最初はインデックスファンドをメインに運用していた

──rennyさんは、投信ブロガーの方々がその年の優れたファンドを選ぶ「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」の仕掛人としても知られます。今年も発表の季節だと思いますが、もう投票は終わっているのですか。

 はい、少し前に締め切りました。2007年に始めたとき、投票者はわずか20人に過ぎなかったのですが、以来年々増え、今回は200人以上の方に投票していただきました。

──過去の受賞ファンドを見ると、上位はほとんどインデックスファンドですね。

 投信ブロガーの大半はインデックスファンド派ですから、当然、そういう結果になるでしょうね。ただ、トップ10まで見るとアクティブファンドもいくつかランクインしています。もちろん、僕自身は毎年アクティブファンドに投票しています(笑)。

──今日はrennyさんがアクティブファンドにこだわる理由を中心にお伺いしたいと思っています。そもそも最初からアクティブファンド1本だったのですか。

 いえ、そうではないんです。というか、じつは今もインデックスファンドを保有しています。比率でいうとアクティブファンドは50%弱で、残りはインデックスファンドです。ただし、2017年2月以降インデックスファンドは追加購入していません。ですから、アクティブファンドの比率が少しずつ増えています。

──いずれにしてもしばらくは両方買っていたと。

 僕は2003年に長男が生まれたのをきっかけに投資を始めたのですが、そのとき読んだ本がインデックスファンドとアクティブファンド、両方の視点から書かれていたんです。それで、どちらもメリット・デメリットがあるなと思い、とりあえず両方買ってみました。具体的には、インデックスが「トヨタアセット(現・三井住友)・バンガード海外株式ファンド」、アクティブが当時人気のあった「さわかみファンド」です。それ以外にもいくつか購入しましたが、この2本が主力でした。

──インデックスは海外株式で、アクティブは日本株式ですね。

 はい、それには理由があります。これは当時も今も変わりませんが、基本的に僕は自分が応援したいと思う会社に投資したいんです。逆に言えば自分が納得できない会社には投資したくない。例えば日本のメガバングはビジネスモデル的にどうかと思う点が多いので、投資する気にはなれません。でも、日本の日経平均株価やTOPIXに連動するインデックスファンドだと、そういう企業にも投資することになります。1社当たりにすれば投資額の何百分の一か千分の一程度に過ぎませんが。一方、アクティブファンドは特定の銘柄だけで構成されていますから、自分が良いと思わない企業への投資を避けることができます。それで、日本株に関してはアクティブオンリーにしています。

──でも、海外株式に関してはインデックスファンドなんですよね。

 海外企業となると、どこが良くてどこが良くないのか、判断がつきません。もちろん本来であれば1社1社精査すべきなのでしょうが、さすがにそれは無理なので、インデックスファンドでいいかなという感じです。

──インデックスファンドとアクティブファンド、比率的にはどちらが多かったのですか。

 最初のうちはインデックスファンドがメインでした。当時は「バンガード海外株式ファンド」のような、世界株式の指数に連動するインデックスファンドを長期間持ち続けていれば安心だろうと考えていました。

元本の6割まで減っても投資をやめようとは思わなかった

──投資を始めたころ、パフォーマンスはどうだったのですか。

 出足はまずまずでしたが、3、4年後リーマンショックが訪れ、それを機に一気にマイナスに転落しました。僕は毎月給与の一部を積み立てるというやり方をしているのですが、リーマンショックのときは「さすがにもう底値だろう」「ここまで下がったら買いだろう」などと考え、スポット買いもしました。でも、買った後にさらに下がったりして、底を見極める難しさを思い知らされました。

──いつごろプラスに転じました?

 一時、元本の6割まで減り、そこから少しずつ回復しましたが、元本に戻るまでにはそうとう時間を要しました。なにしろ53カ月連続マイナス状態が続いたんです。ようやくプラス域に入ったのは、第2次安部政権が始まった2012年だったと思います。

──4年5カ月マイナス域から脱出できなかったわけですよね。人によっては辛抱しきれないと思うのですが、当時投資をやめようとは思いませんでした?

 それはまったくなかったですね。過去の株式市場の動きを見ても何十年も低迷が続いたことはないですし、そのうち上向くだろうと漠然と思っていました。それに、生活資金以外はすべて投資に回していたというわけではなく、ある程度預貯金もしていたんです。だから、万が一、紙切れ同然になったとしても生活に困るようなことはなかった。そういう安心感もあったかもしれません。

──でも、プラスに転じたときはうれしかったのでは?

 それはそうですね。ただ、株式市場なんていつどうなるかわかりませんから、そのうちまたマイナスに戻るかもしれないという思いもありました。まあ、それは杞憂に終わるわけですが。長くコツコツ続けていたことで、最近になって投資した金額の2倍近くまで増やすことができたんです。

──奥様も喜んだのでは?

 妻にはあまり詳しいことは話していなかったんです。でも、いつだったか、「とうとう2倍になったよ」と話したらさすがにうれしそうでしたね。

評価損益率の推移(2006年~2018年)

(1)インデックス中心で投資を始める

 最初はインデックスとアクティブ両方を購入したが、当初はインデックスの比率が圧倒的に高かった

(2)53カ月連続マイナスも慌てず投資を続ける

 この間も月々の投資額を減らそうとか、投資をやめようと思ったことは一度もないという

(3)マイナス域から脱出し、順調に資産を増やす

 保有ファンドの多くが好成績を上げ、一気に元本の2倍近くまで資産を増やす

(4)アクティブファンドを増やし始める

 資産が大きくなり余裕が生まれたため、本来やりたかったアクティブ運用にシフトしていく

(5)チャイナショックで後退するもすぐに盛り返す

 2016年後半から2018年にかけて過去最高の運用成績を残す

世の中を良くしてくれる会社に投資する

──最初はインデックスファンドの比率が高かったとのことですが、いつごろからアクティブファンドにシフトしていったのですか。

 2014、2015年くらいからですかね。まだインデックスファンドも買っていたので一気に比率が変わったわけではありませんが、いろんなアクティブファンドを購入するようになりました。

──何か理由があった?

 ひとつはちょっと余裕が出てきたからでしょうね。元本割れが続いていたころは積極的にアレコレ買う気にはなれませんでしたが、2012年以降順調に資産が増え、ポートフォリオが大きくなってきたので、いろいろ試してみようと。

──自分が本来やりたかったこと、つまり、応援したいと思うような企業への投資に重点を置こうと考えるようになった?

 はい、そういうことです。

──ちなみにrennyさんが応援したいのはどういう会社なんですか。

 ひとことで言えば世の中を良くしてくれる会社です。世の中を良くするような事業を行っている会社といったほうがいいかな。社会貢献活動や環境対策に力を入れている企業も素晴らしいと思いますが、それよりも本業で社会に貢献している、世の中の課題の解決策を提供する企業に魅力を感じます。

──では、ESG投資(※)にはあまり関心がない?

※ESG投資:環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への取り組みによって企業を評価する投資方法

 そんなことはないですよ。ただ、ESG経営を行っている企業だから投資するとか、そういうことはないですね。

──世の中を良くしてくれる会社に投資するというお考えはとても素晴らしいと思いますが、たぶんそういう人は少数派でしょうね。

 僕は、投資ができるというのはとても恵まれたことだと思ってるんです。世界中を見渡せば、投資したくてもできない、いや、日々どう生きるか精一杯で、投資なんて考えたことがないという人も大勢います。だとしたら、自分さえ儲かればいいというのは無責任のように思えるんです。人より恵まれた環境にいて、いろいろなことができる立場にあるのだから、それに見合うようなことをすべきではないかと。だから、せめて社会に役立つようなことがしたいんです。

──なるほど。

 ただ、誤解してほしくないですが、パフォーマンスはどうでもいいと考えているわけではありません。僕が投資している会社が成功を収め、その結果世の中が良くなったら、そりゃあもう最高にうれしいです。でも、そうなったら僕にも一定のリターンが返ってきます。僕もちゃんと恩恵に授かることができるわけです。

──そういうサイクルになるのが理想ということですね。

 そういうことです。

──他にアクティブファンドに重点を置くようになった理由はありますか?

 僕がいくら世の中を良くしてくれる会社に投資したくても、そういう銘柄を組み込んだファンドがなければどうしようもないですよね。実際、投資を始めた2003年のころは、興味をそそられるようなアクティブファンドは一部しか存在しませんでした。ところが、その後、だんだんと買ってみたいと思うようなファンドがお目見えするようになりました。とくに直販系の投資信託会社が面白いファンドを出すようになったんです。それもアクティブファンドにシフトした理由のひとつです。

──では、次回は具体的にどんなアクティブファンドを購入されているのかお伺いします。

「ファンドの投資先を見よう」。応援したいと思える企業への投資に重点を置く

※このインタビューは2018年11月30日に実施し、2018年12月19日に初回掲載したものです。

中編『rennyさん流アクティブファンドの選び方』へ続く>>

コロナ・ショック緊急インタビュー!個人投資家はどう動いた? アクティブ投信・rennyさん編(2020年4月掲載)

(トウシル編集チーム)

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