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コロナ・ショック後の明暗(1)変動相場で見える投信の勘所

トウシル / 2020年6月19日 12時18分

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コロナ・ショック後の明暗(1)変動相場で見える投信の勘所

 2020年上半期、世界のマーケットは、新型コロナウイルスのまん延によって大きく揺れ動きました。長期投資の原点に立ち返れば、短期の市場変動に一喜一憂せず、分散投資を継続すべきだということに変わりありません。

 とはいえ、保有する投資信託が含み損を抱えていたり、反対に、思いのほか短期間で大きく上昇していたりすると、果たしてこのままの状態が続くのか不安に思ってしまうものです。

 そこで今回は、各資産タイプ別に代表的な投資信託を例に挙げ、2月以降の市場環境を振り返りながら、今後の投資スタンスや留意点を改めて確認していきます。

コロナ・ショックで分かれた明暗

 各資産は、コロナ・ショックによって次のように「明」「暗」が分かれました。

米国株式
国内株式
先進国債券
国内債券
新興国株式
先進国リート
国内リート
新興国債券
原油

コロナ・ショックの影響を振り返る【株式、リート】

 では、株式とリート(REIT:不動産投資信託)の状況を見ていきましょう。

 今回の一連のコロナ・ショックがやや特異だったのは、米国を中心とした世界の株式市場が3月下旬に底をつけた後、まるで実体経済を無視するかのように急回復したという点です。社会不安が高まる中でも株価が上昇を続けた背景には、各国の大規模な金融・財政支援策という後押しがありました。米国株式市場では、S&P500種株価指数が2月につけた、過去最高値まであと一歩というところまで上昇しています。米国と同様、日本を含む主要先進諸国の株式市場もおおむね回復しましたが、新型コロナウイルスの感染抑制になかなか歯止めがかからない新興国は、相対的に出遅れています。

 また、リートも、先進国株式と比べると急落後の回復力が鈍く、2月につけた高値水準には到底及びません。

パフォーマンス比較(分配金再投資基準価額)

コロナ・ショックの影響を振り返る【債券、金、原油】

 次に債券、金、そして原油について見ていきましょう。

 この3資産は、前述の株式やリートよりもさらに「明」と「暗」がはっきりと分かれました。まず債券ですが、先進国債券がおおむね横ばいで推移した中、為替の影響がマイナスに作用した新興国債券は苦戦を強いられました。ブラジル、トルコ、メキシコなどの新興国通貨は、コロナ・ショックの前から不安定な動きを見せていましたが、2月下旬以降、大きく下落しました。

 代替資産である金と原油は、原油が急落に見舞われた中、金は上昇しました。

 一般的に金価格は、米国株式や米ドルと反対の値動きをする(逆相関)と言われています。3月中旬には、株価急落で資金不足に陥った投資家が換金売りを急ぎ、金価格が一時期大きく下げましたが、その後は安全資産としての側面に注目が集まり、上昇に転じました。FRB(米連邦準備制度理事会)が金利をゼロに近い水準に引き下げたことで、元々金利が付かない金の魅力が増した格好です。

 対して原油は、世界的な経済活動の停止に伴って大幅な需要のだぶつきが生じ、歴史的な安値水準まで価格が下落しました。

パフォーマンス比較(分配金再投資基準価額)

回復力の強い日米株式。でも安易な買い増しは命とりにも

 こうして見ると、どうしても「明」の資産、とりわけ回復力の強い日米株式に目がいきがちです。しかし、新型コロナウイルスとの闘いは完全に終息したわけではなく、政府の支援策によって下支えされている現在の株式市場に脆(もろ)さがあることはいなめません。

 現に、6月第2週には、感染第2波を警戒し、これまで上昇を続けていた日米の株式市場で利益確定の動きが広がり、株価は大きく下げました。こうした不安定な市場環境下で、目先の利益を追うための安易な買い増しはおすすめできません。

 株式への投資で特に重要なのは、長期の視点で世界の経済成長を捉えることです。積み立てで長期分散投資が重要と言われる背景には、長い目で見れば世界経済は拡大していくという前提があります。

 IMF(国際通貨基金)は、4月、2020年の世界経済の成長率(実質GDP[国内総生産]伸び率)をマイナス3.0%とし、1930年代の世界恐慌以来の景気後退に陥る可能性を示唆しました。ただし、感染拡大の終息が期待される2021年には、新興国を中心に5.8%のプラス成長へ回復するとも予想しています。このように、世界の経済成長率は短期で見ると大きく上下していますが、長期で見ると、GDPの累積成長率に与える影響はさほど大きくないことが分かります。

注:1980年を100として計算
出所:IMFのデータを基に楽天証券経済研究所作成

波乱相場にこそ原理原則に沿って

 世界経済拡大の恩恵を着実に受けるためには、日本だけではなく、世界全体に目を向けることも重要です。株式市場が好調なときは、どうしても目先の高いリターンを追い求めて、この原理原則を忘れてしまいがちになります。今一度、ご自分がきちんと分散投資を実践できているか、保有する投資信託も含め、確認をしてみてください。

≫≫「コロナ・ショック後の明暗(2)「暗」の資産への向き合い方」へ

原理原則に沿って投資するために

≫≫ withコロナ時代のバランスファンドはどう選ぶ?

(篠田 尚子)

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