日経平均は需給ピークのタイミングで下落。ここは押し目買いのチャンスか否か?
トウシル / 2020年6月15日 13時27分
日経平均は需給ピークのタイミングで下落。ここは押し目買いのチャンスか否か?
日経平均は大きく失速。相場が崩れたわけではない?
先週末6月12日(金)の日経平均は2万2,305円で終値を迎えました。前週末終値(2万2,863円)からは558円安、週足ベースでは4週ぶりの下落です。
日経平均はこの2週間あまりで2万1,000円から2万2,000円、そして2万3,000円台と、次々に節目の水準を勢いよく超えてきましたが、メジャーSQという需給のピークのタイミングで上昇がいったん止まった格好です。
となると、相場は再びここから上昇していくのか否か、そしてこの場面での押し目買いがチャンスになり得るのかどうかが気になるところですが、早速、下の図1で足元の状況から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年6月12日取引終了時点)
あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の8日(月)に「窓」を空けて2万3,000円台に乗せてきました。翌9日(火)~10日(水)はその2万3,000円台をキープできていたものの、上値が伸ばせず、週末にかけて大きく失速していくという展開でした。12日(金)の取引では2万2,000円台を割れる場面も見られ、週間の高値(2万3,185円)と安値(2万1,786円)の値幅も1,399円と比較的大きなものとなっています。
問題なのは、週末にかけての下落によって相場の潮目が変わってしまったのかどうかですが、12日(金)のローソク足を見ると、200日移動平均線をサポートにした下ヒゲの長い陽線となっていますし、その下には上向きの25日移動平均線も控えています。12日(金)取引終了時点での25日移動平均線は2万1,558円ですが、日経平均は戻り基調に入った4月以降、一度もこの線を下回っていません。週初の取引は弱含みでスタートしそうですが、次のサポートとして意識されそうです。
さらに、急ピッチだった株価上昇がそろそろ一服してもおかしくはない状況だったことなどを考えれば、相場が崩れたと判断するのはまだ早計と思われます。
2万3,000~2万4,000円の範囲を上抜けるには?
とはいえ、2万3,000円台乗せから上値を伸ばせなかったこともあり、前回のレポートでも指摘した、株価水準感への意識も根強いと言えます(下の図2)。
■(図2)日経平均(日足)の動き(2020年6月12日取引終了時点)
チャートを過去にさかのぼると、日経平均は昨年11月から今年の2月中旬までのあいだ、3カ月以上にわたって大体2万3,000~2万4,000円の範囲でもみ合いながら天井圏を形成しており、戻り待ち売りや利益確定売りが出やすい価格帯になります。
この価格帯を上抜けるには、1)勢いに乗って強引に押し通すか、2)新たな買い材料が出てくるか、そして、3)スピード調整で次の相場に向けたエネルギーを蓄えることなどが必要になるわけですが、先週の値動きを踏まえると、1)の勢いで押し切るのはやや難しくなってきたのかもしれません。もちろん、2)が出てくれば勢いを取り戻して上値トライもあり得ますが、出たとこ勝負の面があるため、現時点の可能性として残るのは3)のスピード調整です。
一般的にスピード調整には、「値幅調整」と「日柄調整」のふたつがあります。先週の下落局面を値幅調整と捉えるのであれば、今週はまず下げ止まりを確認し、値幅調整の終了を見極めて、日柄調整によるもみ合いがしばらく続くのではと考えるのが自然です。
したがって、レンジ内での株価の上げ下げで利益をねらいにいくのであれば、2万3,000円あたりまでの戻りを見越して押し目買いを入れる、もしくは最近までの株価上昇の勢いを信じるのであれば、余力を残しつつ、打診買いを入れてみるのも選択肢です。
買いの判断はNYダウの動きを見極めてから
ただ、もみ合い相場は「値動きが荒い割に方向感が出ない」、「前日の米国株の流れを受けて株価水準自体は上下するも、取引時間中はあまり動かない」という展開になりやすいため、思ったよりも利益が期待できないかもしれません。さらに、このまま下値をうかがうサブシナリオも引き続きくすぶっています。特に足元で気を付けなければならないのは、米株市場の動きです。
■(図3)米NYダウ(日足)とMACDの動き(2020年6月12日取引終了時点)
先週の日経平均の下落スイッチを押したのは米株市場の下落です。とりわけ、11日(木)のNYダウ平均株価が前日比で1,861ドル安と過去4番目の下げ幅となったことが影響しました。
新型コロナウイルスの感染第2波に対する警戒と、FOMC(米連邦公開市場委員会)後に示したFRB(米連邦準備制度理事会)の経済見通しがネガティブだったことが株価下落の要因として挙げられていますが、感染再拡大と経済回復スピードそのものは、すでに想定されていたリスク材料で目新しいものではなく、どちらかというと売りの口実にされた印象があります。実際に、NYダウは25日移動平均線がサポートとして機能しています。
ただし、その一方で200日移動平均線を跨ぐ格好で「アイランド・リバーサル」が形成されているほか、下段のMACDもシグナルを下抜けており、トレンド転換のサインも出現しています。
目先の天井圏が意識されていますので、今週のNYダウが25日移動平均線を下抜けてしまうと、下げが加速してしまう可能性があります。
米国で新規感染者が増加しているのは、テキサスやアリゾナなど、経済再開を優先した州であり、感染防止を優先したニューヨーク州などでは反対に減少傾向であることから、経済活動と感染拡大をめぐる動向は今後も株式市場を揺さぶることになりそうですし、さらに、先週末は国内株市場がSQ日でしたが、今週末(19日)は米株市場が先物取引の精算日を迎えるスケジュールでもあるため、値動きが荒くなることも考えられます。
ですので、買いを入れる判断は週初のNYダウの動きをまずは見極めることが必要になりそうです。
(土信田 雅之)
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