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長期投資で勝つための「景気1サイクル投資」。景気・金利・株価のリズム

トウシル / 2020年6月25日 7時32分

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長期投資で勝つための「景気1サイクル投資」。景気・金利・株価のリズム

 景気・金利・株価は、密接に連携して動いています。景気が拡大・後退のサイクルを描く中で、金利、株価も一定のリズムでサイクルを描いています。今日は、過去、延々と続いてきた、景気・金利・株価のリズムを解説し、投資に勝つためのアイディアをお話しします。

景気サイクルと、金利・株価サイクルの関係

 景気・金利・株価には、一般的に、以下のような関係があります。すべての景気循環で成り立つわけではありませんが、株式運用を考える上で、頭に置いておく必要があります。

景気サイクルと、金利・株価サイクル

出所:筆者作成

 日本も米国も、コロナ危機で、景気後退期入りしているのは確実です。しかも、ただの景気後退ではありません。日米だけでなく、世界中の国々が「戦後最悪」の景気悪化に陥っています。

 今は日米とも、上の図で黄色の枠で囲んだ「景気後退期の後期」にあると考えられます。世界中で中央銀行が金融緩和の大判ぶるまい、金利が大きく低下する中で、世界的に株が上昇しているからです。

 もし、来年、先進国が新型コロナウイルスを克服して、世界景気が急回復するならば、過去に何度も繰り返してきたパターン通り、次は「景気拡大初期」に入ります。量的金融緩和が維持され、金利が低水準にとどまる中、景気回復を好感して、株価が一段高となる局面に入ることになります。

 ただ、コロナ危機は、過去にないパターンの世界不況を生じており、過去の経験則が通じるか、予断は許しません。

米国株は、このリズムで動いてきた

 米国株は過去、景気・金利・株価の「お決まりのパターン」にはまって動いてきたと言えます。もちろん、日本株でも同じパターンは観測されます。ただ、日本では近年、長期金利がゼロに固定されているため、金利サイクルがやや分かりにくくなっています。

 それでは、2014年以下の、NYダウと米長期金利の変動パターンを見てみましょう。

NYダウと米長期(10年)金利推移(月次):2014年1月~20年6月(23日)

出所:楽天証券経済研究所が作成

【1】2014年~2016年半ば:景気回復初期
2014~2016年にかけて、米国の景気・株・金利は、「景気回復初期」の動きが延々と続いていました。景気が回復しているにもかかわらず、金利は低下し続けて、株が上昇していたからです。

【2】2016年半ば~2017年:景気回復中期
2016年半ばから2017年にかけて、景気拡大「中期」のパターンに入りました。金利が上昇する中で、株価の上昇が続いたからです。

【3】2018年:景気回復末期
 2018年には、金利上昇を嫌気して、株が上がらなくなりました。年末にかけて、NYダウは急落しました。

【4】2019年~2020年3月:景気後退中期
 コロナ危機という特殊要因で、景気後退期に入ったため、株価の動きがやや過去のパターンと異なりますが、20年2・3月の暴落まで見れば、景気が後退する中、金利も株も下がった局面と、とらえることができます。

【5】2020年3~6月:景気後退末期
 金利が急低下し、中央銀行がかつてない量的緩和の大判ぶるまいする中で、株が大きく上昇しています。過去のパターンから読み解くと、景気後退末期の動きです。

景気循環に過度にベットすべきでない、「景気1サイクル投資」の勧め

 不況下の株高が行き過ぎていると感じている投資家が多くなっています。株をどんどん売って、ショート(空売り)ポジションまで積み上げている極端な弱気派もいます。

 ただし、そのような極端な弱気ポジションをとっていると、来年、世界景気が急回復し、株が一段高となったときに、大きなダメージを受けます。景気後退が長期化するという見通しに、過度にベット(賭ける)すべきでありません。

 同様に、来年、世界景気が急回復するとの見通しにも、過度にベットすべきでありません。景気の先行きは、簡単には当たらないと思っていた方が良いと思います。

 それでは、私たちは資産運用において、どういうことに気をつけたら良いでしょうか? 私は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやり、公的年金や投資信託の運用をしてきました。

 私が日本株ポートフォリオを組む時にいつも心がけていたのは、「景気1(ワン)サイクル投資」です。景気は良くなると、いつまでも良いと勘違いしがちですが、いつか必ず悪くなります。景気が悪くなると、いつまでも悪いと勘違いしがちですが、いつか必ず良くなります。

 いつ景気が良くなるか、悪くなるか、思い込みで投資して外れると、大けがします。そうならないように、いつでも、景気1サイクル、株を持ち続けるつもりで株の銘柄を選別することです。

 景気が良いときに買った株は、その後、景気が悪くなり、また良くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。景気が悪いときに買った株は、その後、景気が良くなり、また悪くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。

 誰もが景気が良くなる時だけ株を保有し、悪くなる時は株を持っていないようにしたいと思っています。ところが、景気予測は簡単に当たるものではありません。多くのエコノミストが強気のときに、景気は急に悪くなります。みなが悲観の底に沈んでいるときに、突然、景気回復が始まります。

 景気を当てて、いいタイミングで売買しようという思いが強すぎると、かえって高値買い・安値売りになります。

 私は、ファンドマネージャー時代に投資銘柄を選ぶときは、常に「景気1サイクル」もって、ベンチマーク(東証株価指数)を上回るパフォーマンスが得られると思うものを選んできました。

 私は今、日本株は割安で、長期投資で資産形成に寄与すると見ています。もし、個別銘柄を選別することに自信が持てないようでしたら、日経平均インデックスファンドに「景気1サイクル投資」していくだけでも、良好なリターンが得られると予想しています。

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(窪田 真之)

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