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「バスに乗り遅れるな!」ムード持続も、月末のIPO再開が水を差す

トウシル / 2020年7月7日 14時0分

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「バスに乗り遅れるな!」ムード持続も、月末のIPO再開が水を差す

6月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 緩和バブルを謳歌せよ!それが6月も正解だったようです。月初から、一貫して警戒された“新型コロナ第2波懸念”。月後半に全世界の感染者数が1,000万人を超えましたが、その過程で欧米や中国での感染者急増が何度もニュースとなりました。これは日本国内でも同じですね。ただ、上値の重しになったかもしれませんが、決定的な株安要因にはならなかった…ネガティブニュースに対する感応度が引き続き低いままでした。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)で経済に対する悲観見通しが示されたあと、11~15日にVIX指数が一時40%を超える場面を作りました。米国株市場が急落したわけですが、この下げも、終わってみれば飲み込み、株価は月末に向けて上昇。新型コロナ第2波懸念はあるけれど、「流動性は十分!この環境で株は売るな!」だったようです(難易度高過ぎる…)。

 リスクオン地合いが続くなか、4・5月に2カ月連続で月間上昇率20%超を記録した東証マザーズ指数は6月も上昇。米国でも同じ現象が起きたようですが、コロナ禍で個人投資家の口座開設、短期売買が急増した効果が好循環を生んでいます。上がるから買う、買うから上がる…マザーズ指数の月間騰落率は+3.0%でした(日経平均株価は+1.9%、TOPIXは▲0.3%)。週間ベースでは、4月第2週から6月第4週まで12週連続で上昇。これは、マザーズ指数の算出来で最長記録となりました。12週連続上昇が始まる前のマザーズ指数終値は593ポイント、それが26日に付けた高値が1,067ポイントですから驚愕です。

 ただ、26日高値をピークに、月末にかけて連日軟調な展開となりました。その理由は2カ月半ぶりに再開したIPO(新規公開株)にありました。約3カ月にわたってマザーズ市場は好調でしたが、個別銘柄の株価も急激に値上がりしていたうえ、さすがにマンネリ化…。新しい物色対象に飢える個人投資家が大勢いるなか、登場したニューカマー(24日はロコガイド、コパ、フィーチャの3社が同日上場)を個人投資家は大歓迎。初値を付けた後エントリーするわけですが、ここに資金が吸い上げられ、他のマザーズ銘柄の需給悪化要因になりました。IPO銘柄は、上場月の翌月月末までマザーズ指数の構成銘柄にはなりませんので、IPO株が盛り上がれば盛り上がるほど、マザーズ指数にはネガティブな影響をもたらしました。

6月の売買代金ランキング(人気株)

 3~5月の売買代金トップに君臨したアンジェスは、6月も安定のトップに。そのアンジェスは、26日に年初来高値を更新し、このタイミングでマザーズ指数も年初来高値に導きました(今のところ、ここがピーク)。新奇性のある材料のないなか、ボックス圏で推移。これほど、思惑だけで買われたバイオ株が、高値圏で空中戦を繰り広げるというのは記憶にない現象でした。とはいえ、値幅が狭かったこともあって、6月のアンジェスの売買代金は前月比で急減。25日移動平均売買代金は、5月末時点の660.2億円に対し、6月末は372.0億円でした。

 アンジェスに替わって、商いを激増させたのが2位のジャスダック上場テラ。アンジェスと同じく、新型コロナウイルス新薬開発からの思惑で急騰してきたバイオ株ですが…25日移動平均売買代金は5月末時点の67.7億円に対して、6月末時点では173.3億円。これ、時価総額の約5割に相当する金額で、なかなかお目にかかれない超高回転銘柄ですね。なお、6月IPO銘柄は、25日移動平均売買代金が計算できないため含まれておりません。

市場 コード 銘柄名 6月末
終値
時価総額 売買代金
25日移動
平均値
月間
騰落率
東証マザーズ 4563 アンジェス 2,235 2,749 372.0 5.7
ジャスダック 2191 テ ラ 1,388 325 173.3 24.2
東証マザーズ 7707 PSS 2,467 650 86.5 49.8
東証マザーズ 4493 サイバセキュリ 6,090 565 77.6 20.9
東証マザーズ 4588 オンコリス 3,170 454 70.8 92.4
東証マザーズ 4571 ナノキャリア 566 374 59.2 93.2
東証マザーズ 2158 FRONTEO 812 310 57.2 7.4
ジャスダック 7564 ワークマン 9,470 7,751 49.5 7.6
東証マザーズ 6027 弁護士コム 10,260 2,284 48.6 18.8
東証マザーズ 4385 メルカリ 3,330 5,198 45.2 3.7
東証マザーズ 4488 AIinside 32,250 1,196 44.4 37.2
ジャスダック 2702 マクドナルド 5,820 7,738 42.5 1.6
東証マザーズ 3911 Aiming 851 324 36.6 17.7
東証マザーズ 4434 サーバーワクス 20,230 693 36.4 14.7
東証マザーズ 4480 メドレー 3,705 1,046 34.0 -4.9
東証マザーズ 4485 JTOWER 5,680 1,166 33.6 17.7
東証マザーズ 4564 OTS 146 257 31.1 30.4
東証マザーズ 3998 すららNT 4,005 254 30.4 125.0
東証マザーズ 4478 フリー 4,885 2,360 28.8 -7.8
東証マザーズ 6095 メドピア 2,782 579 28.6 1.2
【単位】時価総額:億円 売買代金25日移動平均値:億円 月間騰落率:%

売買代金ランキング(5銘柄)

1 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 新型コロナワクチンへの期待だけで作られた株価でしたが、その期待を熟成するかのように、高値圏での空中戦を続けたアンジェスに驚かされた投資家も多かったのでは? チャートを見ると、ちょっとした大型ディフェンシブ株のような安定感すら漂わせていました。株価が節目を割れてもすぐに戻す…切り返しの強さが信頼感につながったのか、逆張りでエントリーする投資家(個人とアルゴ?)が後を絶たなかった印象です。

 それにしても、コロナ禍で株を始めた個人投資家の増加が影響したのか、「織り込み済み」「出尽くし」なる反応が遅くなっている感じがありますね。5月26日に、ワクチンの治験は7月から始めると伝わりました。すでに知られていることの確認的報道、例えば16日に大阪市の松井市長が「6月30日から治験を始める」としたら買われ、25日にワクチン開発の治験審査委員会からの承認を受けたことをリリースすると、翌26日の年初来高値を更新。ようやく「織り込み済み」「出尽くし」的な動きが起きたのは、治験開始の30日でした。地合いがいいときは“鈍感”であった者勝ちなのでしょうか…。

2 テラ(2191・ジャスダック)

 新型コロナ治療薬の開発期待で急騰してきたバイオ株。開発を始めると表明した時点では時価総額39億円(株価167円)でしたが、9日に付けた年初来高値(2,175円)時点の時価総額509億円。新型コロナ治療薬の開発表明で、あっさりテンバガー…。

 ただ、9日に付けた高値から、わずか5営業日後の15日には株価が半分になる場面も。一部週刊誌による治療薬開発への疑念報道が理由だったようですが、これについては真っ向から否定。その後は、臨床試験を実施しているメキシコより、共同開発者であるセネジェニックス・ジャパン社長が臨床試験の現状や成果を小まめにアップ。メキシコでの薬事申請も近づいているようですが、情報の正確性などについて、正直わかりません。

3 PSS(7707・東証マザーズ)

 OEM供給する全自動PCR検査システムがフランスの医療現場で採用され、各方面から日本国内でも使うべきとの声が挙がっていますよね。12日に、自社開発の新型コロナ向けPCR検査機器の臨床検体を用いた評価で、「陽性一致率100%、陰性一致率100%」という良好な結果が得られたと開示。翌15日に、上場来高値を3,150円まで切り上げました。

 ただ、23日には一時ストップ安まで売り込まれる場面も。塩野義製薬が、専用機器の必要なし、30分程度で判定できる検査法を開発すると発表。日本もPCR検査を増やすべきとの総意から始まった大相場でしたが、検査に関する大手参入、競合激化に株価は敏感なようです。

4 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 コロナ禍による外出自粛がポジティブ、マザーズの地合い好調も時価総額トップ銘柄の同社には当然ポジティブで、引き続き堅調な値動きに。上値追いの支援材料としては、外資系証券の目標株価引き上げも複数ありました。3日に、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を「Overweight」、目標株価を3,000円から3,600円へ引き上げ。また、月末30日にはJPモルガン証券が目標株価を2,300円から3,400円へ大幅に引き上げています。

 両社とも、これまで苦戦していた米国事業のポテンシャルに注目しているもよう。米国事業が、巣篭もり需要によって、競合をしのぐ勢いで成長する可能性があるようです。投資家がこれまで弱気材料にしてきたのは米国事業ですので、ここが変貌を遂げているのなら株価の上昇ポテンシャルもまだ残っていそうですが…。

5 AIinside(4488・東証マザーズ)

 コロナ禍で登場した新テーマ“DX(デジタルトランスフォーメーション)”。新型コロナで生活スタイルが変化したことで、あらゆる環境でデジタル化が加速し始めましたよね。この社会変革を推進する企業をDX関連株と称し、テレワーク関連株やオンライン教育関連株などのグロース株が人気化しました。

 その一角として、ひときわ人気化したのが同社株。AIが書類の文字をテキストデータ化する文字読み取りサービスを展開しています。株価が超値がさ株となったことで、株式分割期待も含まれていそう。また、7月に新規設定されるDX関連株の投信で、説明資料に組入れ候補として記載されていたことも先回り買い要因に。

6月の株価値上がり率ランキング

 月末終値比較ですが、6月も月間で株価2倍の銘柄が9銘柄(5月も9銘柄、4月は11銘柄)輩出されました。小型の新興株に対する物色意欲が衰えないのも分かります。これに一度味をしめたら、失敗するまで中毒になる投資家が増えるのは当然で…。ジャスダックのANAPが月間で株価4.7倍とトップ、前月まで2カ月連続トップだったテラはランク外でした。

 過去最高クラスの優良地合いが4月、5月と2カ月も継続。この間、バイオ株や好決算株、テーマ株など循環したこともあって、6月後半にかけて手詰まり感も広がり始めました。物色意欲はあるのに、手詰まり感…好地合いの最終局面で賑わいがちなのが「低位株」です。6月後半は、株価3ケタの低位株が全市場で大盛り上がり。10万円の給付金で株を買う人が多いという、信ぴょう性怪しき噂も広がるなか、株価が安い低位の小型株(株価が安いには安いだけの理由があるわけですが…)での循環物色が目立ちました。

市場 コード 銘柄名 月間騰落率 6月末
終値
前月末
終値価格
時価総額
ジャスダック 3189 ANAP 370.5 1,341 285 64
ジャスダック 9973 小僧寿し 164.7 90 34 102
東証マザーズ 6026 GMO TECH 161.0 4,050 1,552 45
東証マザーズ 2586 フルッタフルッタ 134.9 350 149 18
東証マザーズ 3970 イノベーション 132.2 6,200 2,670 124
東証マザーズ 3998 すららNT 125.0 4,005 1,780 254
東証マザーズ 7095 MacbeeP 109.7 5,170 2,466 160
ジャスダック 7610 テイツー 106.7 124 60 84
東証マザーズ 3491 GA TECH 105.7 6,880 3,345 666
東証マザーズ 4571 ナノキャリア 93.2 566 293 374
東証マザーズ 4588 オンコリス 92.4 3,170 1,648 454
ジャスダック 4784 GMO-AP 78.8 715 400 120
東証マザーズ 7068 フィードフォー 78.3 2,974 1,668 168
東証マザーズ 6573 アジャイル 74.9 1,130 646 24
ジャスダック 9876 コックス 66.1 284 171 79
東証マザーズ 6180 GMOメディア 64.8 2,204 1,337 41
東証マザーズ 4880 セルソース 61.7 15,800 9,770 319
東証マザーズ 3195 ジェネパ 61.2 882 547 73
ジャスダック 4764 SAMURAI 60.2 173 108 60
東証マザーズ 4381 ビープラッツ 58.4 2,210 1,395 51
【単位】月間騰落率:% 6月末終値:円 前月末終値価格:円 時価総額:億円

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 ANAP(3189・ジャスダック)

 ネット販売比率が高いとはいえ、売上の約4割は店舗販売のANAP。コロナ影響は甚大で、5月後半に今期末の株主優待(iTunesカード3,000円分)の一部中止を発表。優待目的の投資家も手放すきっかけになり、5月末時点の株価は285円でした。その株価が、6月高値で一時1,419円まで上昇するとは…。

 動意付いたきっかけは、まず5日の前場に、メルカリの手掛ける決済サービス「メルペイ」を利用して購入した商品のメルカリへの簡単出品サービスを開始したとの発表。さらには22日に、子会社のANAPラボが、人工知能(AI)を活用して解析し、自動的に動画を切り抜くシステム「Labpick」を開発したと発表。いずれも意外な材料ではありますが、本業の苦戦をカバーするようにも見えない材料ですが…。テーマ株人気、低位株人気の時流に偶然乗っかれたといった所でしょうか。

2 GMO TECH(6026・東証マザーズ)

 コロナ禍で大きく躍進したグロース株のひとつが東証1部のGMOクラウド(3788)。このGMOクラウドが24日、遂に株価1万円台の大台乗せ。この前後から、GMOつながりで、社名にGMOが付くGMOインターネットの上場子会社(計8社)が軒並み買われるという雑な物色が大盛り上がり!

 その中でも、時価総額が小さい同社や、GMO-AP、GMOメディアが値上がり率上位にランクイン。“GMO軍団”というだけでストップ高して、値上がり率ランキング上位を独占する光景は異様でしたが…それだけ、リスクを恐れない(最近始めた人含め)個人投資家が増えているということでしょう。

3 フルッタフルッタ(2586・東証マザーズ)

 25日に、2020年3月期の有価証券報告書提出で債務超過が解消され、東証から上場廃止に係る猶予期間入り銘柄を解除されたと発表。これを受けて、29日にかけて値幅制限いっぱいまで買われる動きになりました。2019年3月期に債務超過に転落しましたが、その後の資本増強策などで債務超過が解消されたようです。

 株にとっての最大のリスクは「上場廃止リスク」。この株価にとって最も重い蓋が外れたわけで、株価も急騰するわけですが…上場廃止の猶予期間入り基準はクリアできただけで、ここからは再び業績が焦点になります。アサイー、売れてるんでしょうか?

4 すららネット(3998・東証マザーズ)

 コロナ禍をきっかけに導入が加速し始めたオンライン授業。全国の小中高校や、学習塾でオンライン教材の利用が増えており、同社教材の新規導入塾数は、4~5月に前年同期比約5倍に増えたとも報じられました。2020年1-3月期に営業損益が黒字転換しましたが、4-6月期の業績に対する期待で株価もヒートアップ。

 火に油を注いだのが、12日の前場に発表された株式5分割でした。大型分割の発表で当日はストップ高したうえ、実際5分割された29日もストップ高。株式分割の実質的な効果は“株を買いやすくなることだけ”ですが、これほど効果てき面となったのも好地合いが成せる業でしょうか。

5 Macbee Planet(7095・東証マザーズ)

 今年の3月下旬に上場した直近IPO銘柄です。株価も上場来高値圏に位置していた好需給銘柄でしたが、12日に発表した本決算で上昇加速!前2020年4月期の売上高が前期比38%増、営業利益が同88%増の大幅増収増益でした。IPO時に示していた会社計画も上振れ着地、IPO時予想を上振れた銘柄は株式市場で高く評価される(下振れた会社は著しく売られる)傾向があります。

 今2021年4月期業績については未定としていますが、新型コロナ影響は来店型の美容系向けでネガティブ。ただ、ECの美容系や金融系などはプラス影響があるようで、やはりコロナの業績影響は小さい銘柄といえるようです。

7月に注目したい新興株の動き

「12週連続上昇」という金字塔を打ち立てたマザーズ市場。前例なき優良地合いだけに反動も警戒されるなか、7月に入って変調をきたしています。そのきっかけが、2カ月半ぶりのIPO再開。IPO銘柄への露骨な資金シフトが、マザーズのその他銘柄にとって流動性低下要因になります。IPO株はいくら上がろうが、マザーズ指数構成銘柄ではないため指数寄与度はゼロ。逆に、マザーズ指数構成銘柄の流動性を吸い上げる意味では、マザーズ市場にはネガティブです。

 IPOが盛り上がれば盛り上がると、理屈上はマザーズ指数が下落します。そして、マザーズ指数が下げ始めると、「マザーズの地合いが悪くなったのか?」と感じる投資家が増えます(=センチメントが悪化)。そうなると、マザーズの下落に備えるため、マザーズ指数先物のショートポジションを作ったり、マザーズETFを空売りする投資家も増えるなど、市場にはネガティブな力がかかります。好地合いだったからこそ、IPOは要注意的存在。その点では、7月は15日に3社同日上場が予定されており、この前後は注意でしょう。

 あとは、高値圏での空中戦を繰り広げてきたアンジェスが、7月に入って急落しました。同じように、人気化していたPSSも急落。マザーズのシンボルストックの変調も気になるところです。長く人気だった銘柄が突然大きく下落すると、(長く人気だっただけに)逆張りの買いが入るのですが…7月に入って、それも飲み込み、さらに大幅下落する場面が出てきています。こうした動きが何度か起きると、本当に需給が悪くなります。信用買い残も積み上がっているため、こうした銘柄発の需給悪化が、何の関係もない別の新興株にも連鎖することはよく起きる現象です。

 一度崩れ始めると、例えば東証1部銘柄なら「PBR1倍割れたから買う」といった何等かのファンダメンタルズ的な下支えが機能しますが、マザーズのグロース銘柄にはそれがないわけです。何度も書いてきたことですが、新興株市場というのは、センチメントが一番大事。「株価が上がりそう!」というセンチメントが維持されていれば何とかなるし、お金がこの市場に向かっていて流動性が保たれれば何とかなります。マザーズ市場の売買代金が2,000億円前後であれば何とかなる…という点では、まだOK。ただし、月中平均で1,500億円を下回るなど、減少傾向が明らかになった場合は注意。「バスに乗り遅れるな!」から「バスから降りないと!」へセンチメントが変化したときの下げ方は本当に早いからです。

 流動性に注目と毎回書いてきましたが、その流動性という点では、7月は季節的に低下しやすい月になります。マザーズ市場の月間売買代金を調べると、昨年は前月(6月)比で7%減、2018年も10%減で、2017年が23%減、2016年が45%減でした。東証1部市場も同じなのですが、7月は1年の中でも売買が少ないシーズン。値動きも緩慢になりやすく、昨年7月の日経平均株価の上下値幅は、年間でも最小でした。こうした、商いも薄く、値幅も少ない状態を、株式市場では“夏枯れ”と表現します。

 先月まで活況だっただけに、夏枯れになった場合も、思った以上の反動につながる可能性があるため注意。また、足元でマザーズの主力企業が新株発行などで資金調達に動く事例が増えてきています。株価が高くなっている時期(かつ、コロナという言い訳が使える時期)に、こうした既存株主無視の資金調達が相次ぐようであれば、マザーズ市場の先行きは暗くなります。ここも、ファンダメンタルズ的な下支えがない(センチメント命)市場の弱点です。

(岡村 友哉)

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