ナスダック最高値。GAFAMなどIT成長企業の勢い止まらず。ソフトバンクGは20年ぶり高値
トウシル / 2020年7月13日 7時33分
ナスダック最高値。GAFAMなどIT成長企業の勢い止まらず。ソフトバンクGは20年ぶり高値
日経平均は、やや膠着
先週の日経平均株価は、1週間で16円下がり、2万2,290円となりました。ほぼ横ばいでした。強弱材料が拮抗して、上下とも大きくは動きにくい展開が続いています。
日経平均日足:2020年2月3日~7月3日
NYダウも、同様にやや膠着しています。強弱材料が拮抗して上下とも大きくは動きにくいのは、日経平均と同じです。
<強材料>
【1】 中国・米国・欧州・日本で経済再開を進めることで、世界景気が回復に向かう期待
【2】 米国を中心に世界中の政府・中央銀行が、巨額の財政・金融政策の大判ぶるまい
【3】 米国・英国・中国で予防ワクチンの開発が、想定よりも早いピッチで進展
<弱材料>
【1】 経済再開を進める米国などで感染が再び拡大。ブラジル・インド・ロシアなど新興国で感染が急増
【2】 反グローバリズムが世界に広がる。米中対立激化もあり、世界経済が分断された状態が長期化する懸念が強まる
【3】 世界中で金融緩和のやり過ぎの副作用として債務残高が急拡大している。財務悪化した企業の延命が続き、潜在的なクレジットリスクが高まっている。
世界中の投資マネーを集めて高値更新続くナスダック
日経平均・NYダウの上値が重くなる中、最高値更新が続いているのが、米ナスダック総合指数です。
日経平均・NYダウ・ナスダック総合指数の動き比較:2020年2月21日~7月10日
ナスダック総合指数が強いのは、GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)など、世界のITインフラを支配しているIT大手の構成比が高いことが理由です。
コロナ・ショックを受け、世界中で、ITを活用した産業構造の変革が加速する見通しとなったことから、GAFAMの成長期待が一段と高まっています。GAFAM5社の時価総額は、7月10日時点で約6.45兆ドル(約690兆円)と、東証一部の時価総額(約586兆円)を大幅に上回っています。
米国のナスダックは、日本のジャスダックや東証マザーズと同様、新興企業が新規上場する市場です。ただ、日本と異なり、ナスダックに上場した新興企業は、急成長し、時価総額が大きくなってもそのままナスダックに留まっています。
日本では、ジャスダックや東証マザーズに上場した新興企業は、成長して時価総額が大きく伸び始めると、ことごとく東証一部に移ってしまいます。ところが、ナスダック上場企業は、大きくなっても、日本でいえば東証一部に相当するNYSE(ニューヨーク証券取引所)に移ろうとしません。そこが日本との違いです。
新興企業がナスダックに上場し、そのままナスダックに留まるので、NYSEはだんだんオールド企業の集合体のようになってきます。その結果、米国の株価指数で、NYダウにはややオールド企業が多く、新興企業の多いナスダックと対照的です。
NYダウは、もともとNYSE上場の時価総額の大きい30社から構成されるNYSEの指数でしたが、ナスダック上場企業を入れないと、新興企業の入らないオールド指数となってしまうので、今は、ナスダック上場の4社、マイクロソフト・インテル・アップル・シスコシステムズを、ナスダック上場のままNYダウに組み入れています。
それでも、ナスダック総合指数と比較すると、オールド企業の影響を受けやすくなっています。航空機大手ボーイングや、建設機械大手キャタピラーなどが、NYダウの足を引っ張っています。
ソフトバンクグループが20年ぶりの高値更新
米IT大手に匹敵する力を持っているのが、中国のIT市場を支配しているアリババ・テンセントなどです。巨大な中国市場を支配する力が評価され、GAFAMと同様、足元、株価上昇率が高くなっています。
日本のIT大手には、残念ながら米国や中国のIT大手ほど、株式市場で高く評価される銘柄はありません。狭い日本市場の中で多数のプレイヤーが過当競争を繰り返し、なかなか世界で活躍する企業が出てこないことが原因です。
世界のIT大手に、間接的に投資しようとすると、アリババの大株主で、世界中のIT関連企業に投資している、ソフトバンクグループ(9984)に投資するしかありません。そのソフトバンクグループ株は、先週、20年ぶりの高値を付けました。保有企業の株価下落で2020年3月期に9,615億円の純損失を出し、2月には一時2,609円まで売られていましたが、そこからV字反発し、先週末には、6,267円まで株価は上昇しています。安値対比2.4倍となりました。
ソフトバンクグループ株価推移:2011年1月~2020年7月(10日)
日本株は長期投資で買い場の判断継続
結論は毎回述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に買い場との判断を維持します。
ただ、短期的には急落急騰を繰り返すと思います。時間分散しながら、割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。
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(窪田 真之)
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