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平均利回り5.5%、中長期で有望な大型高配当銘柄ランキング。各社の配当計画ほぼ出そろう

トウシル / 2020年8月20日 5時10分

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平均利回り5.5%、中長期で有望な大型高配当銘柄ランキング。各社の配当計画ほぼ出そろう

★配当利回りランキング一覧表は3ページにあります

日経平均、米ハイテク株の上昇など支えに2カ月ぶり戻り高値更新

 7月の日経平均株価は2.6%の下落で、4カ月ぶりのマイナスとなりました。2万2,000~2万3,000円のボックスレンジ内でもみ合いの状況が続きましたが、月末にかけて大きく下げ、マイナスに転じました。

 ただ、8月に入ってからは、中旬(17日まで)までで6.4%の上昇となっています。7月末の急落からはすぐに立ち直り、13日には6月9日に付けた新型コロナ急落後の戻り高値を更新しています。

 7月に入って、国内では新型コロナウイルスの感染者数が急拡大し、再度の経済活動縮小に対する懸念などが強まり、株式市場の上値を押さえました。一方で、ワクチン開発期待や主要国の金融緩和政策長期化期待、景気刺激策期待が下値を支える形となりました。

 7月末にかけては、米4-6月期GDP(国内総生産)の大幅な悪化や104円台前半までの為替円高進行を受けて、一時下げ幅を広げる場面が見られましたが、主力ハイテク株を中心に米国株式市場の堅調な動きが支えとなり、調整場面では押し目買いの動きが活発化する形となりました。

 個別では、4-6月期の決算発表が主な物色材料となりました。6月末から8月中旬にかけての上昇率上位銘柄では、チェンジ(3962)オイシックス・ラ・大地(3182)DeNA(2432)などが好決算発表で3割以上の上昇率となりました。カプコン(9697)スクエニHD(9684)コーエーテクモ(3635)など、ゲーム関連で決算が好感されるものが目立ちました。

 大型株では、日本電産(6594)ルネサス(6723)などテクノロジーの一角で強い動きが観測されました。一方、資生堂(4911)キヤノン(7751)などが決算を受けてきつい下げとなり、躍進が続いたレーザーテック(6920)などは好決算が材料出尽くしと捉えられました。

情報通信セクターなどに注目。業種内での選別物色の流れも強まる見込み

 8月14日の時点でほとんどの企業の4-6月期決算発表が終了しました。売上高は前年同期比で18%程度の減少となり、2009年7-9月期以来の2ケタ減となっているもようです。また、自動車や鉄鋼などを筆頭に9業種が最終赤字となり、純利益は同57%減益で、7四半期連続で前年同期を下回る形になっています。

 一方で、新型コロナ対策関連商品の他、生活様式の変化を背景とした需要の増加で、予想以上に業績を伸ばす企業も多く散見されました。業績悪化企業は、従来想定されたよりも正常化への時間を要しそうで、4-6月期好決算銘柄の優位が当面続く可能性もありそうです。

 新型コロナウイルスのワクチン開発は今後も進展するとみられ、今後も株式市場の期待材料となるでしょう。ただ、各国の企業活動再開による景気回復や企業収益回復期待は一服する可能性もあります。

 いち早く景気回復を果たした中国などでも、7月の小売売上高は予想外の減少となっています。コロナ禍で大きな影響を被った小売りセクターなども、先行きの所得減少などを警戒しての、消費の回復の鈍さが意識されていきそうです。

 また、米国株高をけん引してきたハイテク株、いわゆるFANG銘柄なども足元で上値の重さが意識されてきており、日本株にとっても大きなリスク要因となりそうです。

 もともとは、最悪期となる4-6月期の決算発表があく抜け材料となって、株価の戻りに弾みがつくとみられていましたが、ここまでの株価の戻りが想定以上に速まっていたため、ここから一段の株価上昇期待は高まりにくいところです。

 中でも、構造的な生活様式の変化で恩恵を受ける情報通信セクターなどには引き続き関心が高まるものと考えます。また、財務体質の悪化によって、設備投資や人材採用など企業活動に制約が生じてくる企業も出てくると考えられ、セクター間での銘柄選別の動きはこれから強まっていく公算が大きいとみられます。

中長期感覚で利回り重視の投資家にとっては有望な投資対象に

 4-6月期の決算発表に際して、新たに年間の配当計画などを発表した銘柄も多くありました。現段階では会社計画をベースとした配当利回りに現実性が高く、高利回り銘柄に関心を高めても良いタイミングと考えます。

 とりわけ、米国長期金利が反転上昇に転じ始めているといった指摘も聞かれ、高利回りなどのバリュー株がアウトパフォームしやすい局面に入った可能性もあります。また、前述したように米主要ハイテク株に高値警戒感が意識されつつあることも、バリュー株への資金シフトにつながるものと考えます。

会社計画に基づく3月期本決算企業の高配当利回り銘柄ランキング

 下表は、会社計画を基にした、3月期本決算企業の高配当利回り銘柄ランキングとなります。それぞれ減配の可能性などは低いとみられ、当面はランキング上位に大きな変化は起こりにくいと想定されます。中長期での利回り重視の投資家にとっては有望な投資対象になり得ると考えます。

 銀行、総合商社、石油、通信などの銘柄がランキング上位になっていることに変わりはありませんが、特に総合商社などではセクター内で格差が生じてきている印象もあります。製造業で唯一SANKYOがランクインしていることは特筆されるでしょう。

2020年8月17日時点 大型株の配当利回りランキング

コード 銘柄名 会社予想
配当利回り
8月17日
終値
時価総額 予想純益増益率
8304 あおぞら銀行 6.43 1,896.0 2,243 1.3
8316 三井住友フィナンシャルグループ 6.19 3,068.0 42,129 -43.2
8058 三菱商事 5.80 2,311.5 34,342 -62.6
9434 ソフトバンク 5.79 1,486.5 71,161 2.5
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 5.78 432.2 58,701 4.1
8308 りそなホールディングス 5.48 382.9 8,816 -21.3
1820 西松建設 5.29 1,986.0 1,104 -3.9
5020 ENEOSホールディングス 5.27 417.1 13,474 黒転
6417 SANKYO 5.25 2,855.0 1,987 -52.5
8411 みずほフィナンシャルグループ 5.25 142.8 36,260 -28.6
8725 MS&ADインシュアランスGHD 5.18 2,893.0 17,164 -9.1
1808 長谷工コーポレーション 5.10 1,372.0 4,127 -18.1
5019 出光興産 5.09 2,357.0 7,021 黒転
配当利回り平均(%) 5.53
注:配当利回り、予想純益増益率の単位は%、時価総額の単位は億円、株価の単位は円。

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが5%以上(8月17日終値)
  2. 時価総額が1,000億円以上(同)
  3. 3月期本決算
  4. 2021年3月期純利益が黒字予想

1 あおぞら銀行(8304・東証1部)

▼どんな銘柄?

 経営破綻して公的資金による救済を受けた日本債券信用銀行が前身です。中堅・中小企業との取引、不動産や事業再生案件といった専門性の高い融資を扱う「スペシャリティ・ファイナンス業務」が特徴です。

 コンパクトな規模で全国・海外において事業展開、系列色はありません。個人投資家の保有比率が高いことも特徴になります。GMOとインターネット銀行で提携しています。配当は四半期ごとに実施しています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は74.5億円で、前年同期比37.3%減益となりました。通期計画の285億円、前期比1.3%増益に対する進捗率は26%の水準となっています。

 資金利益が個人の金融商品販売などを中心に前年同期比で伸び悩み、与信費用も前年同期対比ではマイナスに寄与しました。

 株式売却益は第1四半期に10億円ほど計上していますが、期末段階での含み益は177億円の水準にあり、通期計画達成に向けて引き続き売却益の計上が見込まれます。

▼ここがポイント

 現段階では、時価総額1,000億円以上の3月期決算銘柄で配当利回りはトップの水準となっています。今期年間配当金は122円を計画し、前期比では34円の減配となっていますが、第1四半期の決算からは、一段の減配懸念は後退したと捉えても良さそうです。

 リスク要因としては、新型コロナの影響による北米の与信環境悪化などでしょう。

2 三井住友フィナンシャルグループ(8316・東証1部)

▼どんな銘柄?

 3大金融グループの一角で、三井住友銀行、SMBC日興証券、SMBC信託銀行などが傘下となっています。メガバンクの中では高水準のROE(自己資本利益率)など収益性の高さ、経費率の低さなど効率性の高さに定評があります。

 配当金に関しては、減配をしない累進的配当の方針をとっています。不良債権比率も0.7%台と低水準になっています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は861億円で前年同期比60.1%減益となりました。通期計画4,000億円、前期比43.2%減に対しては21.5%の進捗率です。

 減益幅が大きくなったのは、主に与信関係費用の増加と株式等損益の悪化が要因であり、トップラインの粗利益はほぼ前年同期並みの水準です。コロナ禍においては十分健闘していると評価できる内容です。

▼ここがポイント

 2021年3月期の自社株買い期待は低下しているとみられ、固有の株価のカタリストはやや不足している印象ですが、景気回復期待による米国の長期金利上昇はストレートにメガバンクの買い材料につながる状況にはあります。

 中でも、メガバンクの中で最も配当利回り水準が高い同社には中長期で関心を高めたい場面でもあります。政策保有株の削減に積極的である点なども評価材料となります。

3 三菱商事(8058・東証1部)

▼どんな銘柄?

 総合商社の一角で、資源関連株の代表的な銘柄の一つといえます。株価は原油や銅など資源価格の動きと連動しやすい傾向にありますが、中でも、鉄鋼の原料となる原料炭の市況動向が業績に与えるインパクトは大きいです。

 ローソンの親会社でもあり、足元で伊藤忠がファミリーマートを完全子会社化すると発表していることから、同社のコンビニ戦略にも注目が向かいやすいでしょう。また、三菱自動車を持分法適用会社に抱えますが、直近では資金的な支援は検討していないとしています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は367億円で前年同期比77.3%減益となりました。未定としていた通期見通しも公表、2,000億円で前期比62.6%減益としています。前年同期比では、自動車・モビリティと金属資源事業のマイナス影響が極めて大きくなっています。

 一過性の損益では約100億円のマイナス影響となったようです。通期予想の市況前提としては、銅価格は上振れ要因と期待できますが、原料炭の動向には不透明感が残ります。

▼ここがポイント

 新型コロナのマイナス影響が相対的に大きく、4-6月期純利益は総合商社で4位の水準に落ち込んでいます。ただ、配当金は据え置きとしたことで、決算を受けての株価下落から配当利回りは同業他社比で目立った高水準になっています。

 今後も中国景気の拡大基調が続き、資源価格の上昇を促せば、見直しの余地は大きくなっていきそうです。

4 SANKYO(6417・東証1部)

▼どんな銘柄?

 パチンコ・パチスロ機の大手メーカーで、パチンコ機では販売台数シェア第2位となっています。フィーバー機の投入など、開発力の高さに定評があります。

 ヒット機種の有無によって業績変動のリスクは大きくなっていますが、年間配当金150円の安定配当は続けています。自己資本比率84%台、無借金経営など財務体質も極めて良好です。

▼業績見通し

 2021年3月期営業利益は37.5億円で前年同期比43.5億円の損益改善となりました。「フィーバー戦姫絶唱シンフォギア2」、「フィーバー真花月2 夜桜バージョン」の二つの新規タイトルの販売が好調で、売上高が大きく伸長しました。

 通期予想も新たに公表、営業利益は80億円で前期比36.6%減益の見通しとなっています。第2四半期に新規タイトルの投入はないようですが、10月上旬には人気シリーズの「PフィーバークィーンⅡ」を投入予定でもあり、上振れ余地は大きいように考えられます。

▼ここがポイント

 2020年に入って、警察庁が「技術上の規格解釈基準」を変更したことで、これまでにないゲーム性を有するパチンコ機が開発可能となっています。今後、新基準機の投入が活発化していくことで、同社の高い開発力が活かされる展開となっていきそうです。

 また、コロナショック後の株価の反発力が極めて鈍く、今後は出遅れ感の強さにも関心が向かうものとみられます。

5 出光興産(5019・東証1部)

▼どんな銘柄?

 石油元売り業界で第2位の位置づけです。2019年4月に昭和シェル石油と合併して、現在の体制となっています。

 原油処理能力は1日当たり94.5万バレル、国内燃料油販売総量は年間で4,200万キロリットル、国内でのSS数は6,400カ所あります。

 世界シェアトップの有機EL発光材料など、高機能材事業も手掛けています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期営業損益は708億円の赤字で、前年同期比1,000億円以上の損益悪化となりました。

 ただ、原油市況の一時的な急落による在庫評価の影響を除いたベースでは236億円の黒字で、前年同期比では27%減益の水準でした。一方、ベトナムなど持分法投資損益は前年同期比255億円の悪化となっています。

 通期では600億円の営業黒字見通しですが、足元の原油相場から在庫評価損は軽減されるとみられ、達成可能な数値と考えられます。

▼ここがポイント

 今期の年間配当金は120円と公表、前期比40円の減配となりましたが、市場が過度に懸念していたほどには減少せず、当面の悪材料出尽くしと捉えられます。

 相対的な株価の出遅れ感は依然として強く、今後は見かけ上の営業利益の回復を確認する形で見直しの動きが進む可能性がありそうです。

 東レと共同開発した新材料を2022年に発売予定であるなど、有機EL関連分野の拡大期待も折に触れて期待材料とされていきそうです。

(佐藤 勝己)

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