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日経平均に首相辞任の影響は小さく、世界株の総強気は追い風

トウシル / 2020年9月1日 15時20分

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日経平均に首相辞任の影響は小さく、世界株の総強気は追い風

今週の予想

日経平均は先週末の下げを取り戻した後、2万3,000円水準で再びもみ合いへ

 先週の日経平均株価は、米株式の上昇と1ドル=106円台半ばの円安を受けて、2万3,400円台まで上昇し、終値では2万3,300円を前にもみ合っていましたが、週末28日(金)の午後、安倍晋三首相の辞任報道で急落。終値は2万2,882円で引けましたが、引け後の米国市場はほとんど影響なく、主要3指標そろって大幅上昇となりました。

 今週の日経平均株価は、この米国市場の動きと、「ポスト安倍」も大きな波乱なく決まる動きとなれば一時的な国内政治問題として、先週末の急落分の戻りを試し、再び2万3,000~2万3,500円の中のもみ合いとなりそうです。結局、日経平均は再び、米国株式と為替によって影響される動きが続くことになります。

 27日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言で、従来の「2%」を「一定期間の平均で2%」に変更し、2%を下回る期間が続いた後は、一時的な2%超のインフレを容認するという金融政策の新たな指針が示されたことで、米長期金利が上昇し、ドル買いが優勢になりました。翌28日は東京市場でドル/円が106.95円まで買われましたが、安倍首相辞任報道で日経平均が急落し、リスク回避のドル売りとなって、一時105.20円まで下げました。

 しかし、このパウエル発言は、完全雇用とインフレを健全な水準に戻すことを目指してゼロ金利を長期間堅持する方針であり、米国株式の上昇とドル買い・円売り基調は変わらないとの見方が多いようです。

 今後の注目すべきは9月4日の雇用統計となり、失業率が10%を下回れば景気回復期待で株高・ドル買いの動きとなり、日本株式の戻りをサポートすることになります。

今週の指標:日経平均株価

 日経平均は、外国人が今後をどう判断するかで動きが決まります。先週末に安倍首相の辞任報道で急落したものの、引け後の米国市場の上昇には影響はありませんでした。また、次期首相をめぐる政府内の調整も大きなトラブルもなく進行しそうで、これまでと同じように米株高、為替の動きを見ながら、日経平均は2万3,000円水準でのもみ合いから戻りを試す場面もありそうです。

今週の指標:NYダウ平均株価

 FRBのインフレ目標修正を受けて、当初想定された以上にゼロ金利政策を長期に維持する可能性が高まり、株式相場をもう一段押し上げる要因が出てきました。終値ベースで2月20日以来となる2万9,000ドル台に乗せると大台回復となって、日経平均にも追い風となりそうです。新型コロナウイルス検査の拡充や感染件数の減少、治療薬やワクチン開発の進展も支援材料となって、上値はまだ期待できそうです。世界全体の株式が総強気になっていくことになります。

今週の指標:ドル/円

 先週末は、安倍首相の辞任報道を受けリスク回避的な円買いが進みましたが、その後の政府の動きを見ると、調整気味に進行されると予想され、リスク回避的な円買いが進む可能性は低いと思われます。

 パウエルFRB議長は完全雇用の復活とインフレを堅持する方針、米株式の上昇基調は変わらず、ドル買い・円売り材料になるとの見方が多いようです。1ドル=105~107円のレンジを想定しています。

先週の結果

安倍首相辞任で急落

 先週の予測は、前週と同じように2万3,000円水準を挟んだもみ合いとしました。その中で今、頭の隅に入れておく必要があるべきことを述べました。世界は過剰流動性の元に、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず楽観的な見方から、特に米国は上昇が続いています。4-6月期の決算発表もたいしたこともなく、新型コロナ感染もそれほど縮小していなくても、米株にサポートされた日経平均は高止まりしています。しかし、全体が強気になった時は、何かのキッカケで大きな下げが起こる可能性があり、このことを頭の隅に入れておく必要があるとしました。

 そして先週末の28日(金)午後、安倍首相の突然の辞任で、一時▲600円近い急落となりました。これは米国株式が堅調で、日本要因の急落であること、日本株式はそれほど強気になっていないことから、この程度の下げで済みました。ただし、11月の米大統領選までは注意が必要です。

8月24日(月):前週末の米国市場で、主要3指標上昇(S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数は最高値更新)したものの、シカゴの日経先物が▲10円の2万2,890円だったことで、日経平均は▲7円の2万2,913円で寄り付き、一時▲57円の2万2,862円まで下げました。その後、アジア株が高かったことで買い戻しを誘い、日経平均は+92円の2万3,012円まで上昇し、終値は+65円の2万2,985円と続伸しました。ただ、出来高、売買代金ともに少なく見送り商状でした。

25日(火):前日の米国市場は、NYダウ平均株価は+378ドル、S&P500、ナスダックは史上最高値更新となり、日経平均は+257円の2万3,242円で寄り付き、一時+399円の2万3,384円まで前場は上昇しました。後場はさらに強く、+445円の2万3,431円まで上昇し、一時、新型コロナによる急落前の水準を回復しました。買い一巡後は上値が重くなり、伸び悩んで日経平均は+311円の2万3,296円で引けました。チャートによる日経平均の上値ゾーンを2万3,178~2万3,575円までとしていましたが、到達できませんでした。

26日(水):S&P500、ナスダックは最高値更新が続きましたが、NYダウは4日ぶりの反落となり、日経平均は▲39円の2万3,257円で寄り付き、一時▲93円の2万3,203円まで下落しました。しかし、売り一巡後は持ち直し、▲5円の2万3,290円と日経平均は4日ぶりの小反落となりました。

27日(木):前日の米国株式は、主要3指標そろって上昇、特に主力ハイテク株が上昇し、S&P500、ナスダックは史上最高値更新中(5日連続)でした。しかし、為替が1ドル=106円を割る円高となったこともあり、日経平均は+20円の2万3,311円で寄り付いた後、一時▲113円の2万3,177円まで下げ、終値は▲82円の2万3,208円と続落しました。翌日、安倍首相の記者会見があるということで様子見となりました。

28日(金):前日の米株式はマチマチの動きでしたが、NYダウは+160ドルの2万8,492ドルとなり、一時、昨年来水準を回復したことで、日経平均は+23円の2万3,232円で寄り付き、+99円の2万3,308円まで上昇して、前引けは+83円の2万3,292円でした。パウエルFRB議長が物価上昇率を一時的に2%に抑えるとする新政策指針を決め、ゼロ金利を長期化する見通しを述べたことで、円安・ドル高となったことが相場を支えました。午後になると、日経平均は+153円の2万3,362円で寄り付き、+169円の2万3,376円まで上昇したところで、安倍首相辞任のニュースが流れ、一時▲614円の2万2,594円まで急落しました。売り一巡後はとりあえず下げ止まり、▲326円の2万2,882円で引けましたが、外国人投資家がどう判断するのか、落ち着きどころがこの日の時点では分からないところです。

 安倍首相が辞任して日経平均が急落、為替はアベノミクス後退を警戒して1円以上の円高になったものの、米国株式は順調な上昇でした。FRBの政策変更によるゼロ金利政策の長期化見通しや短時間で結果が判明する新型コロナ検査キット販売の承認で経済活動が正常化するとの見方から、NYダウは+161ドルの2万8,653ドルと昨年来水準を上回って引け、S&P500は7日続伸で史上最高値更新、ナスダックは前日反落したものの、この日はすぐに史上最高値を更新しました。シカゴの日経先物は+45円の2万2,935円でした。

(出島 昇)

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