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通貨大乱の9月!ザワつく今年は?

トウシル / 2020年9月2日 17時30分

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通貨大乱の9月!ザワつく今年は?

8月のドル/円を振り返る

 8月のドル/円は、7月の相場を主導したユーロが1.18台で調整の動きとなったことから、106円を挟み、105~107円を行き来した相場展開となりました。月末近くにはFRB(米連邦準備制度理事会)の長期目標改定の声明や、安倍晋三首相の辞任などが報道されましたが、ドル/円は105~107円のレンジの中を乱高下しただけで方向付けとはなりませんでした。

 結局、8月は月足で見ると約10銭未満の陽線で終えました。つまり、月間値幅は2円近くありましたが、8月の終値は始値より約10銭円安になっただけで、ほとんど動かなかったということを意味します。

 ただ、方向性が出ませんでしたが、8月のドル/円の上値の重たさは確認したようです。7月は108円台を、8月は107円台の重さを確認しましたが、9月は106円台の重さを確認する月になるのかどうか注目です。

FRBが平均インフレ目標2%導入を表明

 また8月27日、FRBのパウエル議長は「平均インフレ目標2%の導入」を表明しました。今後、インフレが2%を超えても許容すると発言したことから、ドル/円にとっては金融緩和長期継続の重しが加わったため、じわじわとドル安・円高が進行する地合いとなりそうです。安倍首相の辞任記者会見後、週明け8月31日に日経平均株価は戻りましたが、ドル/円が105円台を彷徨(さまよ)っているのは、そのことを物語っているようです。 

 8月は、米中対立激化、FRBの金融政策の変更、日本の政変などの重大イベントがあったにもかかわらずドル/円が急落しなかったのは、日米とも株式市場が堅調だったことが背景にあります。例えば、S&P500種株価指数は8月に7%上昇し、1986年以来の上昇幅となりました。その要因としては、FRBの金融緩和長期化、経済指標の改善、良好だった4-6月期の米企業決算、新型コロナウイルス感染拡大の鈍化が挙げられます。

 しかし、日米欧とも4-6月期GDP(国内総生産)は実質年率で2桁マイナス成長であり、7-9月期はプラスの反発予想とはいえ、それでも株式市場と実体経済との乖離(かいり)は埋められない状況となっています。

 早晩、実体経済が株式市場に追いつくとの期待が高まっていますが、期待に反して相当時間がかかることが予想されます。そのため、実体経済が追いつくまで株式市場の足踏み状態が続くか、待ち切れずに株式市場が調整するかもしれません。あるいは、FRB頼みの株式市場を懸念しているFRBはゼロ金利長期化を発表したものの、けん制球を投げてくるかもしれません。そういう意味で9月15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は注意が必要かもしれません。

9月は「通貨大乱の月」

 9月は、このコラムで毎年紹介していますが、「通貨大乱の月」として警戒する月と思っています。

 1985年のプラザ合意、1992年欧州通貨危機、2001年米国同時多発テロ、2008年リーマン・ショックと、為替市場を大きく揺るがす歴史的大事件が9月に発生しました。このように為替市場が大混乱になったことから「通貨大乱の9月」と呼んでいます。毎年9月に何かが起こるということではないのですが、その時の経験が体に染み付いており、9月はいつもマーケットに対して緊張して臨む月となっています。

 9月のこれらの大事件は、1985年のプラザ合意や2001年の米国同時多発テロのように突然発生する事件もあれば、欧州通貨危機やリーマン・ショックのように、事件が発生する前からその兆候が見られた事件もありました。

 今年の9月はどうでしょうか。米中対立激化が懸念されますが、まだ、一触即発という状況ではありません。しかし、突発的な出来事は予測できませんが、米国が違法と断じた南シナ海や香港、その次に警戒されている台湾海峡で軍事的緊張が起こるシナリオも想定しておいた方がよいかもしれません。日本の政治空白を狙った北朝鮮や東アジアの動きも警戒する必要がありそうです。

 9月は、7日の米国祝日レーバーデイ明けの米国追加経済対策の動向も注目点です。雇用はいまだ回復しておらず、失業給付金の上乗せも大統領令で延長となりましたが、大半の州ではまだ開始されていない状況です。そのため、米議会の休会明け以降(9月8日:米国上院議会再開、9月14日:米国下院議会再開)に追加経済対策がまとまることが期待されていますが、与野党の溝が埋まらず、平行線が続く可能性もあります。これから大統領候補の討論会など米大統領選が本格化する中で与野党が歩み寄ることがますます難しくなることが予想されるからです。議論の平行線は市場に冷や水を浴びせる可能性があり、注意する必要があります。

9月の主要日程
9月7日 米国祝日レーバーデイ
9月8日 米国上院議会再開
9月10日 ECB(欧州中央銀行)理事会
9月14日 米国下院議会再開
9月15~16日 FOMC
9月16~17日 日銀金融政策決定会合

(ハッサク)

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