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日経平均の2万4,000円トライとマザーズの上昇は続く?アベノミクス相場との類似点

トウシル / 2020年10月12日 12時54分

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日経平均の2万4,000円トライとマザーズの上昇は続く?アベノミクス相場との類似点

日本株相場のムードはコロナ・ショック後の戻り高値更新へと好転

 先週末10月9日(金)の日経平均は2万3,619円で取引を終えました。前週末終値(2万3,029円)からは590円高となり、週足ベースでは4週ぶりの上昇に転じています。

 また、先週の取引時間中には直近高値(9月29日の2万3,622円)を上回り、2万3,700円台に乗せる場面も見られました。相場のムードは2万3,000円台割れが意識される水準から、コロナ・ショック後の戻り高値更新へと好転したわけです。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて、先週の日経平均の値動きを振り返ると、8月中旬以降の日経平均は、おおむね2万3,000円~2万3,500円のレンジ(約500円)での推移が続いていましたが、先週末の8日(木)と9日(金)の2日にわたってこのレンジを上抜けており、さらなる一段高が期待できる格好になっています。

 今週の国内株市場はファーストリテイリングをはじめ、小売の決算が多く予定されていますが、先週発表された決算(セブン&アイHDや良品計画など)に対する市場の反応が良好だったこともあり、この流れが続けば上値を伸ばしやすいと思われます。気の早い見方をすれば、「2万4,000円台乗せも!」となってもおかしくはありません。

 とはいえ、値動きのリズム的には、以前のレポートでも紹介した、上値ラインを同一とする、二つ目の「上昇ウェッジ」がいったん崩れている状況下にあります。この勢いのまま2万4,000円台に到達するにはウェッジの上値ラインを超える必要がありますが、超えられなかった場合には、三つ目のウェッジを形成しつつ、2万3,500円水準での値固めの展開が意識されることになります。その際には25日移動平均線あたりまでの下落はありそうです。

TOPIX:国内決算を手掛かりに上値抵抗ラインを抜けきれるか

 続いて、TOPIX(東証株価指数)の動きについても見ていきます。

■(図2)TOPIX(週足)の動き(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のTOPIXについては、日経平均と違って、コロナ・ショック後の戻り高値を更新できていません。その要因として、先週末はオプション・mini先物取引のSQ日だったため、需給的要因で相対的に日経平均が強かったことが考えらえます。

 また、先週末のTOPIXは2018年1月を頂点とする上値抵抗ライン辺りに位置していることが分かります。国内決算を手掛かりに、このラインを完全に抜けきれるかが日本株の強さのバロメーターになりそうです。

マザーズ指数:先週は大幅上昇、過熱感も。アベノミクス相場との類似点

 その一方で、より強い動きを見せているのがマザーズ指数です。

■(図3)マザーズ指数(週足)(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のマザーズ指数は、週末9日(金)の終値が1,334pとなり、前週末比でも9%を超える大幅上昇となっています。上の図3を見ても分かる通り、先週のローソク足が大きな陽線であるほか、連日で年初来高値を更新しています。日経平均とTOPIXの主力株指数が堅調な間は、リスク選好でマザーズ銘柄が買われやすい構図の中、2018年1月の高値(1,367p)が視野に入ってきました。

 今後はこの2018年の高値が意識されることになります。ここを上抜けてさらなる一段高となるか、ひとまず達成感で下落に転じるかというわけですが、「これまで急ピッチで上昇してきただけに、過熱感で下がるのではないか?」という見方が優勢になりがちです。

 そこで、マザーズ指数の過熱感についても見ていきます。下の図4は週足のマザーズ指数と、13週移動平均線との乖離(かいり)率の推移です。

■(図4)マザーズ指数(週足)と移動平均乖離率(13週)(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末時点のマザーズ指数の移動平均乖離率は19.85%と20%近くになっています。図4のチャートを過去にさかのぼると、20%を超えている箇所はこの数年で数えるほどしかないため、確かに過熱感があると見ることができます。

 その中で注目なのは2013年のところです。乖離率が20%を挟んだ状況が常態化し、40%を超える場面もありました。この時期は民主党から自民党へと政権が移り、「アベノミクス相場」に沸いていたタイミングです。

 足元も菅新政権が誕生し、「スガノミクス」への期待で様々な銘柄が物色されており、当時と状況が似ている面があります。そのため、今回は移動平均乖離率で過熱感があるからといって、単純に弱気と判断せず、日経平均とTOPIXの地合いが本格的に軟化しなければ、マザーズの強い地合いが続きそうと見た方がよさそうです。

 ただし、弱気に転じた際のマザーズ指数は、日経平均やTOPIXよりも下げがキツくなる可能性が高いことを認識しておく必要があります。

NYダウ:バイデン氏勝利を見据えて戻り基調。外部要因はかなり不安定

 最後に米国株の動きについても見ていきます。

■(図5)米NYダウ(日足)とMACD(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末の米NYダウ平均株価は2万8,500ドル水準を回復して終えています。これにより、9月の下げ幅の76.4%戻しラインを超えてきたことになります。次は9月3日の全値戻し(2万9,199ドル)がターゲットになります。また、下段のMACDも「0ドル」ラインを上抜けており、順調に戻り基調を描いています。

 あらためて、足元の米国株の上昇の背景として、(1)米国の追加経済政策成立への期待と、(2)米大統領選におけるバイデン氏勝利を見据えた動きが挙げられます。

 まず、(1)の経済政策については、共和党と民主党との間で政策規模の詰め寄りが行われています。2.2兆ドル規模の政策を要求する民主党に対して、1.6兆ドル規模を提示していた共和党が譲歩し、1.8兆ドル規模に増額したことで、協議が進展していると受け止められました。(2)についても、世論調査等でバイデン氏優勢と伝えられる中、「バイデン氏勝利なら法人税増税等で株安になる」という当初の見方が修正され、クリーンエネルギー関連などを物色するなど、選挙後を見据えるような動きが出始めています。

 とはいえ、(1)と(2)の両者ともに確定した材料ではなく、現時点では期待の先取りであるため、今後の動向次第では再び下落に転じる可能性がくすぶっています。

 今週は、米国でも金融株を中心に決算発表が予定されている他、英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる協議も15日に期限を迎えます。引き続き、トランプ米大統領の動向とコロナの感染状況にも注意が必要ですし、外部要因はかなり不安定と言えます。したがって、全値戻しからさらに上昇していけるかは微妙で、基本的には下の図6にある丸で囲われた範囲が想定レンジと考えるのが無難と言えそうです。

■(図6)米NYダウ(日足)の動き その2(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そんな中で堅調さを維持している日本株は、「真の強さ」が問われているのかもしれません。

(土信田 雅之)

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