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日経平均2万4,000円超え、29年ぶりの高値は「ホンモノ」か?

トウシル / 2020年11月9日 12時26分

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日経平均2万4,000円超え、29年ぶりの高値は「ホンモノ」か?

日経平均は連日上昇、上放れと勢いの強さも感じられる

 11月相場入りとなった先週末11月6日(金)の日経平均終値は2万4,325円でした。

 2万4,000円台の大台に乗せただけでなく、終値ベースの高値(1991年11月13日の2万4,270円)も約29年ぶりに更新しています。週間の上昇幅は1,348円となり、2万3,000円割れだった前週末から一気に株価水準を引き上げています。

 前回のレポートでは、株価の反発シナリオを想定してはいたものの、「上値のメドは切り下がる」としていたため、参考にされていた皆様にご迷惑をお掛けしてしまいました。お詫びと反省の意を込めつつ、足元の状況から振り返ります。

■(図1)日経平均(日足)の動き (2020年11月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 祝日(文化の日)をはさんで4営業日だった先週の日経平均は連日で上昇する展開でした。日々の上げ幅は、前日比で318円、399円、410円、219円といずれも大きく、ローソク足も陽線が並びました。

 株価と移動平均線の位置関係をみても、週初に75日移動平均線から反発した後は、25日移動平均線超え、そして上放れと勢いの強さが感じられ、さらに、前回のレポートで「崩れた」と指摘した上昇ウェッジの上値ラインをも上抜けています。

需給の動きが一巡すれば、買いの勢いが弱まることが予想される

 当然ながら、今後の焦点は「足元の上昇の勢いがどこまで続くのか?」になります。そこで、まずは勢いの強さから見ていきます。

■(図2)日経平均(日足)のボリンジャーバンド (2020年11月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は日経平均(日足)のボリンジャーバンドです。先週の日経平均は、▲2σ(シグマ)から+2σへと向かい、その後も広がりつつあるバンドの幅に沿って上昇していきました。

 株価に強いトレンドが発生すると、拡大するボリンジャーバンドの±2σに沿って動くことが多く、実際にチャートをさかのぼると、5月下旬からの上昇局面や、2月下旬からの下落局面のトレンド発生時でも見られます。

 今回もバンド幅の拡大に伴って株価が上昇していく可能性があり、その場合、株価は+1σと+2σの範囲内を中心に株価が推移していきます。

 そして、トレンドが一服する判断サインとして、「株価が+1σを下抜ける」、もしくは「反対側の▲2σの線の向きが変わる」の2つをチェックします。直近の5月と2月の例でも、これらのサインの出現によってトレンドが終了しています。

 もっとも、先週の株価上昇の勢いについては、買い戻しの動きによってもたらされた面があることに留意する必要があります。

 具体的に見ていくと、米大統領選挙前は、大統領および議会(上院・下院)のすべてで民主党が勝利する、「トリプル・ブルー」のシナリオが強くなっていました。強力な民主党政権の誕生は、増税や規制強化が意識されることになり、株式市場にとってネガティブな影響があると見込まれるため、こうした状況を警戒する売りポジションが先物取引を中心に一定数存在していたと思われます。それが、選挙の開票作業が進むにつれて、上院議会は共和党が優勢と報じられたことで、いわゆる「ねじれ」の可能性が高まりました。

 これを受けた株式市場では、「ねじれとなれば、警戒されていたほど増税や規制強化が進まなくなるのでは」という安心感が広がって買いが入り、さらに、それに伴う売りポジションの解消によって、上昇に拍車が掛かったと考えられます。

 そのため、需給の動きが一巡すれば、買いの勢いが弱まることが予想され、さらに株価が上昇していくには、現在の株価水準を正当化できる理由や、米新政権への期待感などが必要になってきますので、引き続き、新型コロナウイルスの感染状況をはじめ、企業決算や為替市場の動向を見極めていくことになりますし、また、米国選挙の勝敗は決しつつありますが、選挙によってもたらされた米国社会の混乱や分断は残ったままですので、「アフター選挙」の動きも市場のムードに影響を与えそうです。

 2017年以降の日経平均は2万4,000円台乗せのところで何度となく跳ね返されてきた経緯もあり、冷静に考えれば、上昇が一服しそうです。その場合は、2万4,000円台の維持や、先週上抜けてきた25日移動平均線が下値の目安として意識されそうです。

 冒頭では、日経平均が終値ベースの高値を29年ぶりに更新したと述べましたが、実は、取引時間中の高値は2018年10月2日の2万4,448円だったりするので、上値をトライするにはまずはここを超えられるかが最初のハードルになります。

今週はソフトバンクGの決算に注目

 そして、日経平均については、指数寄与度の大きいソフトバンクGの決算が、9日(月)の引け後に発表される予定です。先週末6日(金)のソフトバンクGの株価は日経平均が高値を更新する一方で、2%以上の下落を見せています。

■(図3)ソフトバンクG(日足)チャートとMACD(2020年11月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 この日のソフトバンクGの株価が下落したのは、米国の選挙というよりは、株式を大量に保有しているアリババの決算や、アントのIPO(新規公開株)が延期されたことなどの影響が強いと思われますが、トレンド自体も下方向なのが気掛かりです。

 ソフトバンクGは、決算内容はもちろん、SVF(ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド)の成績やMBO(経営陣買収)による上場廃止観測などの注目点が多く、決算を受けてどう動くかが今週の日経平均にも影響を与えそうです。

中長期の日経平均。強気でいられる期間は長くない?

 最後に、日経平均を中長期の視点でもチェックしていきます。

■(図4)日経平均(日足)とギャンアングル(2020年11月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4は、コロナショック時の安値である3月19日を起点としたギャンアングル(赤色)と、昨年8月26日を起点とした、コロナショックで下落する前の上昇トレンド時のギャンアングル(青色)を併せて描いたものです。

 先週の株価上昇によって、下抜けてしまった赤いギャンアングルの3×1ラインを回復してきましたので、しばらくはこのラインを維持しつつ、青いギャンアングルの8×1ライン超えを目指していけるかがポイントになります。

 青いギャンアングルは、コロナショック前のトレンドを表していますので、青の8×1ライン超えは「コロナ前の状況を取り戻した」と考える水準と見ることができます。実際に、3月19日からの戻り高値(6月)はこの青の8×1ラインで跳ね返されていますし、ここを超えるには、金融緩和のサポートだけでなく、実体経済面の強さや抗コロナウイルスワクチンの普及なども必要になってくると思われます。

 ちなみに、今週末にこの8×1ラインに到達したと仮定する場合、日経平均の株価水準は約2万5,000円になる他、赤の3×1ラインと交差するのは大体30営業日後のところでは約2万5,500円となります。

 先週の株価上昇は「株価が高いか安いか」ではなく、「相場が強いか弱いか」で動いていた印象があるため、株価上昇の継続シナリオを想定しておく必要がありますが、一方のTOPIX(東証株価指数)についてはまだ、コロナショック前の株価水準も取り戻せていない状況であることを踏まえると、日経平均が強気でいられる期間はそう長くはないのかもしれません。

(土信田 雅之)

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