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感染拡大、対策不在、 雇用が危ない!?コロナと雇用の負のスパイラルが加速!10月米雇用統計 詳細レポート

トウシル / 2020年11月4日 15時0分

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感染拡大、対策不在、 雇用が危ない!?コロナと雇用の負のスパイラルが加速!10月米雇用統計 詳細レポート

過去3カ月の推移と今回の予想値 

※矢印は、前月からの変化

9月雇用統計のレビュー

 先月発表された9月雇用統計では、米国の労働市場の失業率は7.9%に下がり、NFP(非農業部門雇用者数)は66.1万人増加しました。新型コロナの封じ込めが一応の成果を上げ、米国の経済活動が継続的に再開した結果、特に小売業や接客業、レジャー部門、ヘルスケアや教育産業など、幅広い部門において雇用増が確認されました。

10月雇用統計の予想

 11月6日にBLS(米労働省労働統計局)が発表する最新の雇用統計では、失業率は一段と低下して7.7%になる予想。非農業部門雇用者数は60万人増加の予想。雇用市場は強さを保っていますが一時期の勢いはなく、増加数は4カ月連続で縮小。平均労働賃金の予想は前月比0.2%増、前年比4.6%増。

失業保険の継続が減ったホントの理由は?

 雇用統計の重要な先行指標として注目を集めているのが新規失業保険申請件数です。前1週間に新規に失業保険が申請されたデータで、件数が多いほど失業者が増えていることを意味します。最近の申請件数は減少傾向を示していて、10月29日の前週分新規失業保険申請件数は75.1万件(前回79.1万件)でした。

 また失業保険「継続」受給者数は775.5万人で、こちらも前回(846.5万人)より少なくなっています。このデータは失業保険からの脱退数が失業保険への加入数よりも多いことを意味しています。失業者が減った結果だと解釈できますが、実際はそうともいえず、失業保険期間が終了してしまったことが大きな理由で、再雇用が増えているわけではないようです。

 今年の夏ごろまでは、年末か来年初めには売上が回復すると前向きな見通しを持つ米国企業もそれなりに多くありました。しかしコロナウイルスが収束するどころか、春よりもさらに強力といわれる第2波、第3波が襲来するなかで、ワクチンも当面期待できないことで、最近では、雇用が新型コロナ前の水準まで戻るのに約3年半、失われた売上収入を回復するには約4年半かかると、景気見通しが急速に後退しています。

雇用とコロナの「負の相関関係」

 米雇用市場の問題のひとつに「恒久的解雇者」が増えていることがあります。「恒久的解雇者」とは読んで字のごとくで、再雇用を条件として労働者を一時的に解雇する「レイオフ(一時解雇者)」と区別するために使われる用語です。「恒久的解雇者」は一時解雇者に比べて再就職率が低いことが特徴。ただし最近では一時的解雇者の再就職率も低下傾向を示しています。一時的な解雇や休業だったはずが、そのまま恒久的解雇となるケースが増えているのです。

 経済のカギを握っているのは雇用。その雇用が新型コロナによって脅かされています。雇用と新型コロナの間には「負の相関関係」が存在しています。新型コロナ感染者が増えるほど雇用が減るという関係ですが、8月に▲0.20以下だった相関係数は9月には▲0.40以上に拡大しています。負の相関関係が強まるなかで新型コロナの感染がさらに拡大しているということは、雇用の鈍化が今後加速することを示しています。

 ワクチン開発にはまだ時間がかかり、米国の景気対策は政治的理由で先送り中の現状。雇用市場がこれまでのペースで回復できる理由はありません。それは非農業部門雇用者数の推移からも明らかです。

(荒地 潤)

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