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感染爆発が先か、ワクチン供給が先か?長期投資で勝つための「景気1サイクル投資」

トウシル / 2021年1月6日 7時24分

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感染爆発が先か、ワクチン供給が先か?長期投資で勝つための「景気1サイクル投資」

コロナ感染拡大で医療逼迫(ひっぱく)の懸念。ワクチン供給は間に合うのか?

 新年の日経平均株価は、2日連続でマイナスとなりました(1月4日▲185円、5日▲99円)。新型コロナ感染拡大を受けて、7日にも1都3県(東京・千葉・埼玉・神奈川)に緊急事態宣言が発令される見込みとなったことに、不安が広がりました。

 欧米での感染拡大はもっと深刻です。従来よりも感染力の強いコロナ変異種の流行が拡大している英国では4日、ジョンソン首相がイングランド全域でロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表しました。スコットランドについでイングランド全域がロックダウンに入れば、英国経済は二番底に落ち込む可能性も出ます。

 昨年11~12月には、ワクチン開発が想定以上に早く成功したことを好感して世界株高となりましたが、足元の感染拡大があまりに急ピッチであることに不安が出ています。欧米でワクチン投与が始まっているものの、まだ供給力が限られるため、接種できるのは医療関係者や高齢者の一部に限られています。一般大衆が接種できるのは、今年の後半になる可能性があります。ワクチン大量供給が間に合う前に、感染爆発が起こってしまう事態にならないか、不安が広がっています。

景気予測にベットする(賭ける)べきでない、景気1サイクル投資のススメ

 さて、景気の先行きに不確定要素が多く、不透明感が漂う今のような時、株式投資はどうしたらよいでしょうか? 私は、メインシナリオとして、今年後半にワクチン大量供給が実現して世界経済は正常化し、急回復すると想定しています。

 ただし、コロナ収束・景気回復が、2022年以降に遅れるリスクもあります。景気予測に過度にベットすべきではありません。

 私は、長期的な資産形成を考えるならば、景気予測から離れて、「景気1サイクル投資」を行うべきと考えています。景気は循環します。景気拡大→景気後退→景気拡大→景気後退と、延々と繰り返しています。景気1サイクル投資とは、景気が良くなったり悪くなったりする1サイクルを通して、株を保有し続けることです。

 もし景気の良いときに株を買ったならば、その後、景気が悪くなり、再び良くなるまで持てば、景気1サイクル投資となります。景気の悪いときに株を買ったならば、その後、景気が良くなり、再び悪くなるまで持てば、1サイクル投資となります。

景気サイクルと、金利・株価サイクルの関係

 景気1サイクル投資を行うならば、景気予測は不要となります。その代わり、今、景気サイクルのどこにいるかは知っておく必要があります。ここから先、今の景気・金利の立ち位置について考えます。

 景気・金利・株価は、密接に連携して動いています。景気が拡大・後退のサイクルを描く中で、金利・株価も一定のリズムでサイクルを描いています。

 景気・金利・株価には、一般的に、以下のような関係があります。すべての景気循環で成り立つわけではありませんが、株式運用を考える上で、頭に置いておく必要があります。

<景気サイクルと、金利・株価サイクル>

(出所:筆者作成)

 日本も米国も、コロナ危機で、昨年4~6月には、戦後最悪の景気落ち込みを経験しました。ただし、7月以降は、経済再開にともない、景気は回復してきています。もし、ワクチンの大量供給が間に合ってコロナを収束に向かわせることができるならば、今年の後半にかけて、景気回復色はさらに強まると考えられます。

 以上の考えにもとづき、今の立ち位置と考えられるのが、上の表で、黄色で囲んだところです。昨年4~6月が景気後退「後期」です。景気は大きく落ち込んでいましたが、株価はすでに急反発を始めていました。昨年7月以降、景気拡大「初期」に入っていると考えられます。感染爆発で二番底に向かう懸念はあるものの、ワクチン開発が間に合って、今年後半に景気回復色が強まるならば、今後、金利・株価のステージは、景気拡大「中期」に向かうと考えられます。

 ただし、景気はいつも素直に循環するわけではありません。一度、景気拡大期にはいってから、もう一度、二番底に戻ることもあります。もし、感染爆発によって、世界景気が二番底に向かうならば、金利・株価のステージは、景気拡大「初期」から、景気後退「後期」に戻ることになります。過去の景気循環をみると、そのように景気が逆流することも十分にあり得ます。

米国株は、このリズムで動いてきた

 米国株は過去、景気・金利・株価の「お決まりのパターン」にはまって動いてきたと言えます。もちろん、日本株でも同じパターンは観測されます。ただ、日本では近年、長期金利がゼロに固定されているため、金利サイクルがやや分かりにくくなっています。

 それでは、2014年以降の、NYダウ平均株価と、米長期金利の変動パターンを見てみましょう。

<NYダウと米長期(10年)金利推移(月次):2014年1月~2021年1月(4日)>

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

【1】2014年~2016年半ば:景気拡大初期

 2014~2016年にかけて、米国の景気・株価・金利は、「景気拡大初期」の動きが延々と続いていました。景気が回復しているにもかかわらず、金利は低下し続けて、株価が上昇していたからです。

【2】2016年半ば~2017年:景気拡大中期

 2016年半ば~2017年にかけて、景気拡大「中期」のパターンに入りました。金利が上昇する中で、株価の上昇が続いたからです。

【3】2018年:景気拡大末期

 2018年には、金利上昇を嫌気して、株価が上がらなくなりました。年末にかけて、NYダウは急落しました。

【4】2019年~2020年3月:景気後退初期・中期

 コロナ危機という特殊要因で、景気後退期に入ったため、株価の動きがやや過去のパターンと異なりますが、2020年2、3月の暴落まで見れば、景気が後退する中、金利も株価も下がった局面と、とらえることができます。

【5】2020年4月~2021年1月:景気後退末期・景気拡大初期

 2020年4~6月は、戦後最悪の景気落ち込みの中、金利が急低下、中央銀行がかつてない量的緩和の大盤振る舞いをする中で、株価が大きく上昇しています。過去のパターンから読み解くと、景気後退末期の動きです。

 2020年7月以降は、景気拡大初期の動きです。長期金利はやや上昇していますが、まだ水準が低いこと、量的緩和が続いていることから、景気拡大初期のパターンと認定することができます。

「景気予測のわな」に注意

 不況下の株高が行き過ぎていると感じている投資家が多くなっています。株をどんどん売って、ショート(空売り)ポジションまで積み上げている極端な弱気派もいます。

 ただし、そのような極端な弱気ポジションをとっていると、これから世界景気が急回復し、株価が一段高となったときに、大きなダメージを受けます。景気後退が長期化するという見通しに、過度にベットすべきでありません。

 同様に、今年、世界景気が急回復するとの見通しにも、過度にベットすべきでありません。景気の先行きは、簡単には当たらないと思っていた方が良いと思います。

 それでは、私たちは資産運用において、どういうことに気をつけたら良いでしょうか? 私は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやり、公的年金や投資信託の運用をしてきました。

 私が日本株ポートフォリオを組む時にいつも心がけていたのは、「景気1サイクル投資」です。景気は、良くなると、いつまでも良いと勘違いしがちですが、いつか必ず悪くなります。景気が悪くなると、いつまでも悪いと勘違いしがちですが、いつか必ず良くなります。

 いつ景気が良くなるか、悪くなるか、思い込みで投資して外れると、大ケガをします。そうならないように、いつでも、景気1サイクル、株を持ち続けるつもりで銘柄を選別することです。

 景気が良いときに買った株は、その後、景気が悪くなり、また良くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。景気が悪いときに買った株は、その後、景気が良くなり、また悪くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。

 誰もが景気が良くなる時だけ株を保有し、悪くなる時は株を持っていないようにしたいと思っています。ところが、景気予測は簡単に当たるものではありません。多くのエコノミストが強気のときに、景気は急に悪くなります。みなが悲観の底に沈んでいるときに、突然、景気回復が始まります。

 景気を当てて、いいタイミングで売買しようという思いが強すぎると、かえって高値買い・安値売りになります。

 私は、ファンドマネージャー時代に投資銘柄を選ぶときは、常に「景気1サイクル」の考えの元、ベンチマーク(東証株価指数)を上回るパフォーマンスが得られると思うものを選んできました。

 私は今、日本株は割安で、長期投資で資産形成に寄与すると見ています。配当利回りが4%を超えている大型株から投資していったら良いと考えています。

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(窪田 真之)

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