日経平均どこまで上がる?バイデノミクスと株式市場の蜜月は続く?
トウシル / 2021年1月18日 7時39分
日経平均どこまで上がる?バイデノミクスと株式市場の蜜月は続く?
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「[動画で解説]日経平均どこまで上がる?バイデノミクスと株式市場の蜜月は続く」
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景気回復期待を背景に、日経平均は年内に3万円まで上昇すると予想
1月第2週(1月12~15日)の日経平均は1週間で380円上昇して、2万8,519円となりました。12月最終週(12月28~30日)から3週連続の上昇です。上昇ピッチがやや速すぎるので短期的にスピード調整する可能性はありますが、「世界景気の回復期待を背景にした日経平均上昇」の流れは変わりそうにありません。
今の株高を、「不況下の株高・経済実態とどんどん乖離(かいり)」と評する人がいますが、私はそうは考えていません。景気回復を織り込む、ごく普通の株高と考えています。
景気循環と日経平均の動き:2007年1月~2021年1月(15日まで)
ご覧いただくとわかる通り、日経平均は、景気循環を少し先取りして動いています。景気後退期に入るより半年~1年早く、株はピークアウトして下げ始めることが多いと言えます。景気回復が続いている内に株が下げ始める「好況期の株安」が起こります。
一方、景気後退期の終盤には「不況期の株高」が起こることがあります。景気対策として中央銀行が大規模な金融緩和を実施すると、景気回復を先取りする「不況下の株高」が起こりやすくなります。
このように、「好況下の株安」「不況下の株高」は、過去しばしば普通に起こってきたことです。今の株高は、今年後半の世界景気回復期待を反映したものと考えられます。私は、日本および世界の景気は昨年7月から回復期に入り、今年いっぱい回復が続くと考えています。その前提で考えるならば、今の世界株高は、「景気回復を織り込む普通の株高」です。
以下、グラフ内にある3つの景気後退期と、2つの景気停滞期を解説します。
(1)2008年2月~2009年3月:リーマンショック
日経平均は景気後退期に入る約1年前にピークアウトして下げ始めていました。景気後退が終わるとほぼ同時に日経平均は急反発を始めています。
(2)2012年3月~11月:民主党政権下での不況
民主党政権下で円高が進み、景気後退期に入りました。2012年12月に安倍元首相によるアベノミクスが始まってから景気は回復に向かい、日経平均は急反発しました。
(3)2014年4~6月:消費増税による景気停滞
日経平均は景気停滞期に入る前の2013年12月に高値をつけ、下げ始めていました。景気停滞は3カ月と短く、停滞期に入ると、もう次の景気回復を織り込む日経平均の上昇が始まりました。
(4)2015年10月~2016年3月:チャイナショック、資源安ショックによる世界経済の停滞
この時、中国・米国はじめ世界中の景気が「景気後退すれすれ」まで悪化しましたが、景気後退期の定義は満たさなかったので、景気停滞期としています。日経平均は、景気停滞期に入る3カ月くらい前から下げ始めました。底打ち・反発は、景気回復期に入った後となりました。
(5)2018年10月~2020年6月:貿易戦争・コロナショック不況
米中貿易戦争の影響で、世界的に製造業の景況が悪化し、2018年10月から日本は景気後退期に入りました。日経平均はそれとほぼ同時に下落を始めました。2019年末に一時景気回復期待が高まり、日経平均は上昇しましたが、2020年に入りコロナショックで再び暴落しました。
(6)2020年7月~2021年1月:景気回復?
2020年7月から、世界景気は回復期に入っていると考えています。景気回復を織り込む株高が続いています。
今週注目の指標・イベント
(1)1月18日(月)中国10-12月期GDP(国内総生産)、中国12月の工業生産・小売売上高
本日、中国の経済指標がまとめて多数発表されます。今、世界でもっとも景気好調なのが、いちはやくコロナ感染を抑え込んだ中国で、10-12月期の景気指標に注目が集まります。
これから始まる日本の10-12月期決算でも、中国でビジネスを行う中国関連株の業績改善に期待が集まっています。
(2)1月20日(水)バイデン米大統領就任式
バイデノミクス(新大統領となるバイデン氏の経済政策)と株式市場の蜜月がいつまで続くか、最初の試金石となるのが、大統領就任式となるので注目が集まっています。
民主党が大統領選に勝利するとともに、議会選で上院・下院とも過半数を抑える「トリプル・ブルー(青は民主党のシンボルカラー)」が実現しましたが、いずれも僅差の勝利で、野党となる共和党も依然として大きな力を持ちます。
大統領就任式に合わせて共和党支持者が暴動を起こす不安もあり、分断が深まる米国で、バイデン新大統領が強いリーダーシップを発揮できるか不透明です。
2020年11月、民主党バイデン氏の大統領選勝利が確実になってから、バイデン氏への期待で世界的に株が上昇しました。コロナ対策で大型の財政出動を行うと宣言していること、国際協調を重視すると宣言していることが好感されました。
2020年12月27日に9,000億ドル(約93兆円)の財政出動が決まっていますが、バイデン氏は1月14日に1人1,400ドル(約14万5,000円)の現金給付や失業給付の特例加算を含む1.9兆ドル(約197兆円)の追加財政出動を行うと表明しました。
バイデン氏の発言の「いいとこ取り」で株価が上昇してきましたが、実際にバイデン政権がスタートしてからその真贋が試されます。
野党となる共和党も依然力を有しており、バイデン氏が唱える経済政策がそのまま議会を通るとは考えられていません。また、経済政策の財源としてバイデン氏が表明している法人増税に言及があると、株式市場にはネガティブとなります。
国際協調を重視することで、米中対立が緩和することが期待されていますが、バイデン政権がスタートしてからも、米中対立が激化するのは、避けられないかもしれません。
(3)日米10-12月期の決算発表
これから、日米とも、10-12月期の決算発表が本格化します。経済再開で回復が続いていると考えられますが、コロナ感染で悪影響が出始めている可能性もあります。どういう内容の決算が出るか、注目されます。
日本株の投資方針
私は、メインシナリオとして、今年、ワクチンの供給によって世界経済が正常化に向かい、世界景気の回復が続くことを想定しています。その場合、外国人の買いが続き、日経平均は年内に3万円をつけると考えています。
時間分散しつつ、配当利回り4%超えている、割安な大型高配当利回り株に投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると思います。
▼著者おすすめのバックナンバー
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2020年1月7日:利回り3.9%~5.7%!「10万円以下」で買える、高配当利回り株5選
(窪田 真之)
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