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利回り4~5%!高配当バリュー株の強気継続(その1):割安・成長株のトレンド循環

トウシル / 2021年1月19日 7時46分

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利回り4~5%!高配当バリュー株の強気継続(その1):割安・成長株のトレンド循環

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]利回り4~5%:高配当バリュー株の強気継続く

配当利回りの高いバリュー株が買われ始めている

 1月に入ってから、大型・高配当利回り株のパフォーマンスが良くなってきています。

1月の大型・高配当利回り株の株価上昇率、日経平均の上昇率と比較:1月18日まで

コード 銘柄名 配当
利回り
1月の
株価
上昇率
8306 三菱UFJ FG  5.1% 7.7%
8591 オリックス 4.3% 10.6%
8058 三菱商事 5.0% 4.8%
5020 ENEOS HD 5.3% 12.8%
7751 キヤノン 3.7% 10.3%
  日経平均株価 1.6% 2.9%

出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りの根拠は下記の表

配当利回りの根拠

コード 銘柄名 配当
利回り
1株当たり
配当金
18日
株価
8306 三菱UFJ FG  5.1% 25 491.2
8591 オリックス 4.3% 76 1,752.5
8058 三菱商事 5.0% 134 2,662.0
5020 ENEOS HD 5.3% 22 417.9
7751 キヤノン 3.7% 80 2,182.0
注:配当利回りは1株当たり配当金を1月18日終値で割って算出。1株当たり配当金は会社予想ベース。キヤノンは2020年12月期、他は2021年3月期

 大型高配当利回り株のパフォーマンスが良いのは、昨年のパフォーマンスがきわめて不振だったので、その反動の側面もあります。

 ただ、それだけではないと思います。経済環境の変化も、高配当バリュー株に追い風になりつつあります。私は、今年前半はグロース株よりバリュー株の方が好パフォーマンスになると予想しています。

 その背景について、今日と明日、2回に分けて解説します。

大型バリュー株の割安度が際立ってきたと考えている

 株式投資の代表的スタイルに、2つあります。1つはグロース(成長)株投資、もう1つはバリュー(割安)株投資です。読者の皆様は、どちらのスタイルに近い方ですか?

 東証マザーズ株のIT関連株やバイオ株に投資するのは、グロース株投資です。東証一部の大型高配当利回り株に投資するのはバリュー株投資です。

 過去10年、日本株では、グロース株優位が続いています。過去4年で、その傾向が加速しています。昨年(2020年)は、グロース株指数がバリュー株指数を27%も上回るパフォーマンスとなりました。※ラッセル野村グロ-ス・バリュー指数(配当込み)から計算。

 グロース優位が10年あまりも続いたので、「グロース株に投資しないと話にならない、バリュー株なんか持っていてもダメ」という感覚を持つ投資家が増えてきています。

 ただし、あまりにグロース中心の相場、バリュー不振が長く続いたため、大型バリュー株の割安度(配当利回り、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの株価バリュエーョンで評価)は、かつてないほど、際立っています。

 配当利回りで見ると、よくわかります。45年前、大型の高配当利回り株といったら、配当利回り23%台が主流でした。ところが今、大型高配当利回り株で、配当利回り46%に達するものが増えています。長期金利がゼロに固定されている中で、魅力的な利回りと言えます。

 グロース株のバリュエ-ションが高くなる中、バリュー株の割安度が際立ち始めていることから、経験則では、いずれバリュー株の見直しが起こると考えられます。私は、それが2021年に起こると予想しています。2021年はバリュー株のパフォーマンスがグロース株を上回ると予想しています。

 1月に入ってから、その兆しがすでに出ています。コロナショック後のパフォーマンスが悪かった高配当バリュー株の上昇率が高くなり始めています。この傾向が当面続くと予想しています。

 以下に、バリュー株が見直されるイメージ図をつけました。ご覧ください。

成長株優位・割安株優位は循環する(イメージ図)

出所:筆者作成

 現在の日本株は、上記イメージ図で「成長株相場が終わり、割安株相場に転換する」転換点に近づいていると、私は考えています。

グロース株相場とバリュー株相場は循環する

 日本株投資歴が10年くらいの方は、グロース優位の相場しか知らないかもしれません。投資歴3040年の方はよくご存じかと思いますが、実は、日本株市場では長年にわたりバリュー優位が続いてきました。以下の表とグラフをご覧ください。

ラッセル野村バリュー指数とグロース指数の騰落率格差:19852020年

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成。ラッセル野村バリュー指数とグロース指数は、ともに配当込み。騰落率格差は、(バリュー)ー(グロース)

 上記グラフは、バリュー指数の騰落率から、グロース指数の騰落率を差し引いて作っています。数値がマイナスの年は、グロース優位(グロースがバリューよりも良かった年)です。数値がプラスの年は、バリュー優位(バリューがグロースよりも良かった年)です。

 ご覧いただくとわかる通り、直近10年(2010~2020年)はグロース優位が続いています。2020年にかけて、グロース優位が加速してきています。ただし、それより前を見ると、ITバブル相場と言われた1999年を除くと、バリュー優位の年が続いていることがわかります。

 簡単に過去の流れを説明します。

【1】1983:極端なグロース株相場
 上のグラフには出ていませんが、1983年に極端なグロース株相場がありました。1970年代のオイルショックをいち早く克服した日本が、半導体などのハイテク産業で米国を抜いて、世界トップにたった年でした。

 当時グロース株であった「ハイテク株(ソニー、パイオニア、日本電気など)」だけが大きく上昇し、それ以外のバリュー株がまったく上がらなかった年でした。かつて花形産業だった鉄鋼・化学・海運・造船などの重厚長大産業は軒並み構造不況に陥っていて、株価が上がりませんでした。

 これからはハイテク株の時代と言われ、ハイテク・グロース株以外は買っても仕方ないと言われました。

【2】1986~1989年:バリュー株相場
 1985年プラザ合意から、急激な円高が進み、ハイテク輸出株の業績が急激に悪化しました。1987年にかけて「円高不況」という不況が起こり、さらに日米貿易摩擦が厳しくなって、ハイテク輸出株に逆風となりました。

 ところが、1988年以降、日本は内需主導で空前の好況を謳歌します。いわゆる「バブル景気」と言われるものです。

 グロース株(ハイテク株)の株価がさえない中、不動産・建設・鉄鋼・化学・海運・造船などのバリュー株が大復活し、株価が上昇しました。結果的に、バリュー株相場となりました。

直近のグロース株相場は約10年、次は?

【3】1990~1995年:ややバリュー優位
 バブル崩壊で、日経平均は暴落しました。バリュー株もグロース株も下落しましたが、相対的にはバリュー株の方が下げが小さく済みました。95年には、一時1ドル80円まで円高が進みました。

【4】1995~1999年:グロース優位、1999年は極端なグロース株相場
 1995年から円安が進むようになりました。そこで、再びグロース株(輸出株)優位の相場が
始まりました。

 19851987年に円高と日米貿易摩擦に苦しんだ日本の輸出産業は、その後、コストカットと海外生産移行の構造改革を行いました。その成果で、グロース優位の相場展開に。1999年には、グロース株(IT関連株)しか買われない、極端なグロース株相場(ITバブル相場)が起こりました。

【5】2000~2010年:バリュー株相場
 ITバブル崩壊でグルース株が急落する中、バリュー株に見直し買いがはいりました。2002年にはITバブル崩壊不況がありました。

 2003年以降、金融危機を克服して、構造改革を推進した日本企業が復活。さらに、中国・インド・ブラジルなど新興国の成長加速の恩恵を受け、日本の重厚長大産業の業績が急速に改善。バリュー株優位の相場となりました。

【6】2011~2020年:グロース優位、2020年は極端なグロース株相場に
 ITによって経済の変革が加速。情報通信・サービス・バイオ・消費成長株などのグロース株ばかりが上昇し、バリュー株がほとんど上がらない二極化相場が続きました。

 2020年は、コロナ禍で日本中の企業業績が大きく落ち込むなかで、業績好調を維持したIT関連などのグロース株に物色が集中しました。

 明日、2021年はバリュー株が優位になると考える、環境の変化について解説します。

(窪田 真之)

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