利回り5%以上の中小型株。新型コロナの影響を受けにくい業界、業績上振れ期待も

トウシル / 2021年1月21日 5時10分

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利回り5%以上の中小型株。新型コロナの影響を受けにくい業界、業績上振れ期待も

2021年の日経平均は半導体株などをけん引役に堅調スタート

 2020年12月11日から2021年1月15日まで、直近1カ月間の日経平均株価は7.0%の上昇となりました。2万7,000円を目前に上値の重い動きが続いていましたが、大納会にかけて上放れとなり、年明け直後こそ売り優勢となったものの、その後は再度の上値追いに転じて、14日には2万9,000円に急接近する状況となっています。

 同期間のマザーズ指数は2.6%の上昇にとどまっており、主力大型株が主導する上昇相場となりました。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、英国などでの変異種への懸念も強まり、上値追いには慎重な姿勢が続いていましたが、一方では25日移動平均線が支持線として意識され、年末にかけては米国での追加経済対策成立を受けて上げ幅を広げました。

 新年に入って、緊急事態宣言発出への警戒感が強まる場面もありましたが、5日に米上院議会選挙の決選投票が行われ、民主党が大統領職に続いて議会の上下両院も制する「トリプルブルー」となりました。これにより、政局の不透明感が後退し、インフラ投資拡大などへの期待感が再燃することとなり、株式市場には先高期待が強まりました。

 期間中、半導体需給のひっ迫なども伝わり、レーザーテック(6920)SCREEN(7735)ルネサスエレク(6723)など、半導体関連株の強い動きが話題となりました。1月14日には半導体受託製造大手の台湾TSMCが決算を発表、2021年の設備投資計画が想定以上のものになったことも注目材料となりました。

 また、米国の「トリプルブルー」を受けて再生エネルギーの市場拡大期待が再燃、レノバ(9519)日立造船(7004)なども人気化しました。ほか、ビットコイン価格が急騰し400万円を一時突破したことで、マネックスG(8698)などの関連株も買われました。

 一方、チェンジ(3962)GMOグローバルサイン(3788)などDX関連の一角には利食い売りが優勢となり、新型コロナウイルス感染再拡大で、観光や運輸関連株なども軟化しました。

過熱感が残るものの、世界的な金融緩和の長期化を背景に買い優勢の相場展開が続く

 200日移動平均線との乖離(かいり)率は1月14日現在で24.6%に達しており、短期的な過熱警戒感は拭えない状況です。昨年末以降の株価再上昇の際と同様に、25日移動平均線の上昇を待つ必要もありそうです。

 ただ、株価のバリュエーション自体に関しては、異例の過剰流動性を考慮すれば許容可能と判断できます。日米欧の大規模金融緩和が続く限り、株式市場への資金流入は継続するとみられるため、大きな相場の崩れは想定しにくいでしょう。

 少なくとも、新型コロナウイルスの感染拡大が続く限り金融政策の引き締め方向への変化はないとみられ、株式市場にとっては逆に安心感につながりやすい状況にあります。引き続き、押し目買いが妙味の相場展開となりそうです。

 当面の注目ポイントとしては、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)、FOMC(米連邦公開市場委員会)など各国の金融政策決定会合が挙げられます。現在の感染状況から見て、長期的な金融緩和策の維持が示される公算は大きく、株式市場の支援材料になるものとみられます。

 また、国内外企業の10-12月期決算発表も大きな関心事となります。国内では25日から主要企業の発表が本格化します。とりわけ、半導体関連各社の決算は、海外企業も含めて現在の好環境があらためて認識されるものとなりそうです。

 関連企業の好決算が確認されるたびに、EV(電気自動車)関連、巣ごもり消費関連銘柄などの物色が再度強まる可能性も高そうです。

 2度目の緊急事態宣言発出を受けて、足元の百貨店販売などは失速感が強まってきています。

 目先は、新型コロナウイルス感染拡大・緊急事態宣言によるマイナス影響が大きい銘柄と、影響が限定的な銘柄での二極化の流れが強まっていくものとみられます。影響が限定的とみられる銘柄では、これまで慎重姿勢を崩していなかった銘柄などで通期業績予想の上方修正なども多くなっていくと考えられます。

 なお、過剰流動性相場では大型株が優位とはいえ、マザーズ市場の相対的な出遅れ感は強く、好決算期待の新興市場銘柄を個別に物色する動きなども強まる余地はあるでしょう。

新型コロナウイルスの影響が小さいセクターでは業績上振れ期待が高い

 今回の決算では、第1四半期の収益水準が低い分、たとえ上半期の進捗率が高くなくても、通期業績予想が上方修正される余地も大きいと考えられます。新型コロナウイルスのマイナス影響が限定的なセクターにおいては、このような銘柄も多くなるでしょう。

 今回は、新型コロナウイルスのマイナス影響が限定的とみられるセクターに絞って、高配当利回り銘柄を選定しています。また、これまでの大型株主導の上昇から中小型株への物色シフトの流れも想定し、時価総額が中規模の銘柄としています。

 米国での長期金利の上昇傾向、3月期決算末の接近から、従来以上に高配当利回り銘柄は注目されやすいとも判断されます。

 以下は、陸運、空運、小売り、不動産など新型コロナウイルス感染拡大による業績への悪影響が大きいとみられる業種、金融緩和政策がマイナスとなる金融セクター、再生エネルギー活用政策が逆風となる石油・石炭、電力・ガスなどを除いた中で、時価総額が100億円から1,000億円までの中小型株をリストアップしたものとなっています。

 配当利回りは5%以上の銘柄です。ただ、今期の配当水準の高さが一過性と考えられるもの、新型コロナウイルスの悪影響が個別で強いとみられるものは、以下のように表示しています。

△今期の配当水準の高さが一過性と考えられるもの
▲新型コロナウイルスの悪影響が個別で強いとみられるもの

新型コロナウイルスの悪影響が限定的なセクターの高配当利回り中小型株

コード 銘柄名 会社予想
配当利回り
株価 時価総額 業種
7860 エイベックス 9.65 1,254 569 情報・通信
6104 芝浦機械 8.70 2,291 687 機械
1852 淺沼組 6.02 4,155 336 建設
6257 藤商事 5.81 860 210 機械
1961 三機工業 5.65 1,239 739 建設
7088 フォーラムエンジ 5.29 908 243 サービス
2362 夢真HD 5.12 683 539 サービス
8016 オンワードHD 5.08 236 373 繊維
8068 菱洋エレクトロ 5.08 3,540 949 卸売り
6486 イーグル工業 5.03 995 495 機械
6357 三精テクノロジーズ 5.02 598 116 機械
注:会社予想配当利回りの単位は%、時価総額の単位は億円、株価は2021年1月15日終値、単位は円。

選定要件

  1. 配当利回り5%以上
  2. 時価総額100億~1,000億円
  3. 石油石炭、電力ガス、陸運、空運、小売り、銀行、不動産などの業種を除く

淺沼組(1852)

▼どんな銘柄?

 関西を地盤とする中堅ゼネコンで、官公庁建設に実績が豊富です。2021年3月期上半期実績では、建築が約8割で土木が約2割、官民別では官庁が約3分の1を占めています。

 地域別では大阪が30%強と高いウエートを占め、建築用途では住宅や工場・倉庫が多く、教育研究も高いシェアを占めています。シンガポールに子会社を持ち、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域でのリニューアル事業などを展開しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期の営業利益は21.6億円で前年同期比35.9%減益となっています。建設工事の売上が減少する中、人件費など販管費は増加しています。想定ほど売り上げが落ち込まなかったことで、従来計画は上回る着地となりました。

 一方、受注高は民間建築を中心に大きく減少し、従来計画も下回りました。2021年3月期通期営業利益は52.5億円で前期比20.5%減の見通しです。上半期上振れにもかかわらず据え置きとなっていますが、受注の下振れによって、上半期の利益上振れ分が通期にストレートに寄与しない可能性も高いとみられます。

ここがポイント

 2021年3月期は減益予想ですが、中期計画に沿って配当性向は50%に引き上げるため、配当金は大幅増配となる格好です。

 関西地盤のゼネコンであり、過去には万博でプレスセンターやラオス館など建設実績があります。万博接近で関心の高まる余地はありそうです。また、大阪でカジノが開設される場合なども関連案件の受注に期待が向かう可能性もあるでしょう。

三機工業(1961)

▼どんな銘柄?

 設備工事大手企業の一社です。空調、衛生、電気、情報通信、オフィス移転などの建築設備事業、搬送システム、コンベヤーなどの機械システム事業、上・下水処理施設、ごみ焼却施設などの環境システム事業といった幅広い事業領域で展開しています。

 オーストリア、中国、タイ、米国に関連会社があります。ストックビジネス推進に向けて、エネルギー回収型廃棄物処理施設「クリーンヒル天山」を2020年3月に竣工して運営を行っていきます。

業績見通し

 2021年3月期上半期の営業利益は5億円で前年同期比84.2%減となっています。大型工事が端境期であった他、新型コロナウイルスの影響で小口・諸口工事が減収となり、前年同期に発生した好採算案件の一巡も減益要因になりました。

 ただ、半導体関係を中心とした産業空調の大型工事獲得などで受注はプラスを確保、2021年3月期通期では前期比15.7%減と減益率は縮小の見通しです。期末配当金は前期の特別配当が一巡しますが、普通配当は維持の計画になっています。

ここがポイント

「脱炭素」関連の一角としても注目されます。木質バイオマスガス発電設備、低温熱をタンク内の潜熱蓄熱材に蓄熱して車両で運搬し利用先に熱供給するトランスヒートコンテナ、酸素移動効率を大幅に向上させた省エネルギータイプの散気装置「エアロストリップ」、大空間向け温度成層空調「ペリループ」などを手掛けています。

 また、高効率な省エネルギー設備を備えた建築物を指すZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Readyの物件を2020年7月に竣工させています。

フォーラムエンジ(7088)

▼どんな銘柄?

 エンジニア派遣サービス「コグナビ 派遣」が主力で、機電系大手製造業が顧客となります。人材紹介サービスである「コグナビ 転職」も手掛ける他、2020年7月からはIT人材紹介サービス「コグナビ 転職IT」もスタートさせています。

 9月末のエンジニア派遣サービス在籍技術者数は4,287名、機電系に特化することで稼働率は高水準を保ってきましたが、新型コロナウイルスの影響で9月末の稼働率は88.6%にやや低下しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は9.3億円で前年同期比60.2%減益となっています。新型コロナウイルスの影響による稼働人員数の減少、テレビCMなどによるプロモーション費用の計上が影響しました。

 人材紹介サービスも、新規登録者数は増加しましたが、企業の採用手控えで転職者数は減少しています。2021年3月期通期では14.9億円で前期比63.5%減益の計画です。上半期の実績から見ると、やや保守的な予想と映ります。

ここがポイント

 機電分野は市場が順調に回復傾向にあり、昨年の緊急事態宣言発出時と比較して、派遣ニーズの落ち込みは限定的になると考えられます。新たに参入したIT系とは募集シナジーも期待でき、今後の展開に期待が持てます。

 同社の配当性向は60%をメドとしていますが、今期に限っては安定配当の維持を優先とし、配当金は前期実績並みを想定しています。これは、来期以降の業績回復に対する自信の表れとも受け止められるでしょう。

夢真HD(2362)

▼どんな銘柄?

 建設技術者派遣が主力事業で、施工管理技術者やCADオペレーターの派遣、施工図作図請負などを行っています。また、製造業界向けやIT業界向けのエンジニア派遣事業、外国人材の採用・教育・紹介事業も手掛けています。

 建設技術者派遣の取引社数は約2,000社で、特定企業には依存していません。未経験者の採用・育成をメインとする戦略で人材採用を積極化させており、2020年9月末の在籍技術者数は5,348人(建設技術者派遣)となっています。

業績見通し

 2020年9月期営業利益は53.1億円で前期比36.4%増益となりました。派遣単価の上昇を背景に建設技術者派遣事業とエンジニア派遣事業が伸張し、M&A(合併や買収)による新規連結化効果も寄与しました。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う採用抑制で、販管費も削減されています。2021年9月期は60億円で同13.1%増の計画としています。採用の積極化による事業機会の拡大、エンジニア派遣における派遣単価の上昇などを見込んでいます。

ここがポイント

 建設市場は今後も再開発案件増加など市場拡大傾向が続くとみられる中、業界では高齢化進行など人手不足が今後深刻化も予想されます。派遣ニーズは当面高水準の状況が続く見通しです。

 エンジニアリング業界も人手不足感は同様であり、同社ではクラウドエンジニアの育成などに注力するようです。規制緩和による外国人労働者の増加も将来的に予想され、外国人採用・育成事業とのシナジー効果なども今後期待できるでしょう。

イーグル工業(6486)

▼どんな銘柄?

 液体や気体など流体の漏れを防ぐ部品であるメカニカルシールの大手企業で、特殊バルブ製品なども手掛けています。自動車・建設機械業界向けが6割超、一般産業機械向けが2割超を占めています。半導体や船舶向けなどにも供給しています。

 2005年からはドイツのブルグマン社と事業提携契約を締結しており、海外売上は欧州向けの比率が高くなっています。NOK(7240)が約3割を保有する筆頭株主です。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業損益は2.2億円の赤字で前年同期比42.6億円の損益悪化となっています。自動車・建設機械業界向け売上の落ち込みが大幅減益決算の背景です。2021年3月期通期では11億円で前期比80.9%減益の予想となっています。

 7-9月期は6.2億円の黒字を計上しており、計画達成の確度は高いと考えられるでしょう。2021年3月期は大幅減益見通しでありますが、安定配当の観点から配当金は前期と同水準の50円を計画しています。

ここがポイント

 高い配当利回り水準に加えて、PBR(株価純資産倍率)水準も0.6倍台で、株価バリュエーションには割安感が強いと考えられます。第3四半期決算を受けて、上昇幅を広げる余地は大きいとみられます。

「環境・省エネ」に資する新商品開発を積極化させています。2021年3月期には、欧州自動車メーカーからEVモーター用メカニカルシールを受注、2030年にはEV向け製品販売120億~130億円を目標としています。また、風水力発電分野への展開も進めています。

(佐藤 勝己)

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