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市場予想を上回る決算発表、上値余地のある米国企業5選。ペイパルの新機能に注目

トウシル / 2021年2月9日 4時0分

 今回も、決算が市場予想を上回り、かつ、市場予想の目標株価と乖離(かいり)がある銘柄(2月5日時点)を5つご紹介します。アマゾンもアルファベットも世界首位のプラットフォームというポジションを生かし好決算となりましたが、個人的に最も注目しているのはペイパルHDです。オンラインペイメントの一大プラットフォームとして成長中の同社ですが、新機能、新サービスをスピーディーに開発・展開できており、業績のさらなる拡大が期待できます。

1.アルファベット(GOOGL)
2.アマゾン・ドット・コム(AMZN)
3.ファイア・アイ(FEYE)
4.フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)
5.ペイパルHD(PYPL) 

1.アルファベット(GOOGL):世界のオンライン利用者を呼び込む集客力が魅力「YouTube」好調

 2020年10-12月期決算は、前年同期比23%増収、69%営業増益。主力の広告事業が好調に推移し、市場予想を上回る着地となった。会社側は「消費者、ビジネス関係、共に新型コロナウイルスのダメージから回復し始めた」とコメント。検索サイトと動画サイトで圧倒的首位という同社のポジションが、ネットユーザーと広告主の両サイドを引きつけているとみられる。「YouTube」は、ライブ動画の投稿が増え、広告収入が前年同期比46%増の69億ドルに拡大した。一方、成長軸として期待されるグーグルクラウド事業は47%の増収だが、12億ドルの赤字。クラウド事業については当面、マイクロソフトとアマゾンに追いつくための投資が先行しそうだ。

2.アマゾン・ドット・コム(AMZN):オンラインショッピング首位として、消費需要を効率的に吸収

 2020年10-12月期決算は、前年同期比44%増収、77%営業増益。主力のオンラインショッピングが好調で、市場予想を大幅に上回る着地となった。一方、成長軸として期待されるクラウドサービス「AWS」は前年同期比28%増収となり、競合のマイクロソフトの「Azure」と比べて見劣りする成長率となった。創業者のジェフ・ベゾス氏が2021年7-9月期に退任すると発表したが、今後は執行会長として新製品や新事業に注力するもよう。新CEOは、これまでクラウドサービスをけん引してきたアンディ・ジャシー氏。今後の手腕が問われる。

3.ファイア・アイ(FEYE):サブスクリプションモデルに移行中。収益性改善に期待したい

 2020年10-12月期決算は、5%増収、25%営業増益。12月に発生した大規模なサイバー攻撃を受けて、企業側は警戒感を強めているもようで、会社側はセキュリティをさらに強化する「Mandiant Advantage platform」を立ち上げた。今後の業績拡大ポイントはソフトウエアからのクラウドへの転換。同社は、サイバーセキュリティをソフトウエアベースから、プラットフォームやサブスクリプション型のクラウドベースに移行中。この事業の売上高は、過去3年間で年率22%の成長を遂げた。全体としての増収率はそれほど高くない企業だが、クラウドベースへの移行が営業利益率を上昇させることに期待したい。

4.フィリップ・モリス・インターナショナル(PM):市場環境は厳しいが増益は達成した

 2020年10-12月期決算は、3%減収、16%営業増益。紙巻タバコ等、従来の可燃性品の出荷数量は12%減、IQOS(タバコの代替品)は27%増。2020年通期では4%減収となったが、営業利益は11%増と増益を達成。今後も健康懸念の高まりを受けて可燃性品は厳しい展開が続くが、会社側はIQOS(タバコの代替品)の開発・販売を強化する見通し。

5.ペイパルHD(PYPL):新機能、新サービスをスピーディに開発・展開できており、今後も業績拡大が続く見込み

 2020年10-12月期決算は、前年同期比23%増収、21%営業増益。同社サービスを利用した総支払額は、前年同期比36%増の2,770億ドル。高まるオンラインペイメントの需要を取り込み、市場予想を上回る着地となった。

 新規ユーザーを急速に獲得しており、10-12月期の新規アクティブユーザー数は1,600万人となった(前年同期比72%増)。2020年通期では新規アクティブユーザー数が7,270万人となり、合計アクティブアカウント数は3.77億まで拡大した(前年比20%増)。会社側は、2021年も拡大傾向が続くとし、新規アクティブユーザー5,000万人の獲得を見込んでいる。

 当社のポイントは、新機能を迅速に開発、投入し成果を挙げていることにある。

 当社は需要を掴む新サービスを次々と打ち出してきたが、特に数年前に買収した割り勘アプリ「Venmo」では新機能の投入が続いている。当初の機能は友人間の金銭送信だったが、その後、店舗での支払い機能拡充や、デビットカード機能の搭載を完了した。最近では一部のユーザー向けにクレジットカード機能と「Cash a Check with Venmo」サービスを立ち上げた。クレジットカード機能は、利用金額をベースにしたキャッシュバックの特典付きで、アプリ内で支出管理ツールも利用できる仕様になっている。「Cash a Check with Venmo」は、受け取った小切手(米国では一般的に利用されている)を撮影すれば、数秒で「Venmo」アプリ内にキャッシュが反映される機能。政府が配布した新型コロナウイルス手当の小切手にも利用でき、銀行に出向いて現金化する手間が省ける。さらに仮想通貨を保有できる機能も追加する予定。

「PayPal」では、2020年8月にスタートした「Pay in 4」が需要を急速に取り込んでいる。これは無利子で4回払いを選択できるサービスで、「PayPalウォレット」で支払いの管理もできるようだ。支払いが滞ると料金が発生する。会社側は「この規模でこれほど速い立ち上がりを見たことがない。米国では10月、この分割サービスのユーザーがおよそ300万人に達した」とコメントしている。同様のサービスを提供している企業は多数あるが、普段使い慣れた「PayPal」のプラットフォームで誘導できる点が同社の強みだろう。

 さらに、2020年の11月に買収を公表した「Honey」とのシナジー効果にも期待が持てる。「Honey」はブラウザの拡張機能で、これを利用すると、ショッピングサイトの商品ページにクーポンが表示されるほか、サイト横断で価格比較ができ、値引きがあった場合はウィッシュリストで通知を受け取ることもできる。このサービスを傘下に収めることにより、「PayPal」「Venmo」ユーザーのオンラインショッピングが促進されるだろう。

(松村 梨加)

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