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配当利回り4.4%!三菱UFJ FGの「買い」判断を継続

トウシル / 2021年2月17日 7時38分

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配当利回り4.4%!三菱UFJ FGの「買い」判断を継続

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]配当利回り4.4%!三菱UFJ FGの「買い」判断を継続
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3メガ銀行の第3四半期決算出そろう、買い判断を再確認

 3メガ銀行の今期(2021年3月期)第3四半期まで(2020年4月-12月)の決算が出そろいました。私は、3メガ銀行株を「買い」と判断しています。コロナ禍でも堅実に利益を出す力があることを見て、その確信を強めました。

 投資魅力が高い順に、【1】三菱UFJ FG(8306)【2】三井住友FG(8316)【3】みずほFG(8411)と考えています

 高配当利回り株として3メガ銀行に長期投資することが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。

 詳しい説明に入る前に、1つ、注記があります。筆者は、1984年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行し勤務した経験がありますが、すでに退職しています。また、筆者は現在、三井住友FG株を6,000株保有しています。本レポートでは、公開情報のみを使った分析を参考情報として提供しますが、最終的な投資判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。

金利が下がるつど、売られてきた銀行株

 まず、3メガ銀行の株価がどう推移してきたかご覧ください。株価は、長年にわたり低迷が続いてきました。

日経平均および3メガ銀行株の値動き比較:2007年1月~2021年2月(16日まで)

注:2007年1月末の株価を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 日本の3メガ銀行株も上のチャートでわかる通り、2008年以降、金利低下とともに売られてきました。日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。日経平均が3万円を超え、「日本株はもう高くなり過ぎて買えないではないか」という感覚をお持ちの方がいるかもしれませんが、少なくとも3メガ銀行株については「株価が上がり過ぎた」ということはないと言えます。

 株式市場で「金利低下→銀行(金融業)の収益悪化」というイメージが定着しているので、金利が低下する都度、世界中で銀行株を始めとして金融株が売り込まれました。

 3メガ銀行は、まず日本の長期金利が低下する過程で売られました。さらに、ドルの長期金利低下を嫌気して売られました。

日米の長期金利(10年国債利回り)推移:2007年1月~2021年2月(15日)

注:楽天証券経済研究所が作成

 足元、ドルの長期金利が反発するにつれて、世界的に金融株が上昇する中、日本の3メガ銀行株も上昇しています。

 私は、米ドル長期金利は、年後半2%に向けて上昇すると予想しています。米景気は年後半にやや過熱する可能性があると考えているからです。コロナが収束に向かう時期に、コロナ対策の巨額の財政出動が重なる可能性があります。財政出動の原資として、米国債の発行が増えることも、米長期金利の上昇要因になると思います。

 米長期金利が上がり過ぎると株式市場がクラッシュする要因となります。ただ、金利上昇初期には、金利上昇と株高が両立する時期があります。私は今年の前半、米金利が2%に向けて上昇する間は、株高と金利上昇が両立すると予想しています。その環境下、世界的に金融株の上昇率が高くなると予想しています。

 以上の理由から、私は、3メガ銀行株は、今が投資の好機と判断しています。

金利低下でも高水準の収益を保ってきた3メガ銀行

 3メガ銀行は、金利低下期でも、安定的に高収益を稼いできました。「金利が下がると銀行の収益が悪化する」というイメージとは、異なります。

3メガ銀行の連結純利益:2014年3月期実績~2021年3月期(会社予想)・2020年4-12月実績

出所:各社決算資料。2021年3月期は会社予想。三菱UFJは会社目標

 三菱UFJ、三井住友FGの連結純利益は、2019年3月期までは、長期金利がどんどん低下していく中でも安定的に高収益をあげています。みずほFGは、2019年3月期に国内商業銀行部門に帰属するソフトウエアの減損(特別損失)を出したため利益水準が低くなっていますが、本業利益は高水準でした。つまり、3メガ銀行とも、2019年3月期までは安定的に高収益を稼いできたと言えます。

 足元コロナ禍で純利益の水準が低下していますが、それでも赤字に転落するわけではなく、高水準の利益を維持していると言えます。

 海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・投資銀行業務などの多角化)によって、低金利でも高収益を稼ぐビジネスモデルができあがっていると考えられます。したがって、コロナが収束すれば、再び利益水準は元のレベルへ戻ると考えています。コロナ収束後に、三菱UFJで8,000億円~1兆円の純利益をあげる力があると判断しています。

 さて、コロナ禍の中、3メガ銀行が今期第3四半期まで(2020年4-12月)の決算を発表しました。3社とも、第3四半期までで、すでに通期の純利益予想を超える利益をあげています。予想対比の達成率は100%を超えています。

 それでも、コロナ禍が続いていることを考慮して、3社とも通期利益の上方修正は行いませんでした。第4四半期が赤字になることはないと考えられますので、通期の純利益は会社予想を大幅に上振れる見込みです。

 それでは、第3四半期までの決算内容を、以下詳しく分析します。

第3四半期までの決算分析:コロナ関連の損失は想定以下

 今期は、コロナ禍で与信コスト【注】が拡大しています。それが、利益圧迫要因となっています。

【注】与信コスト:貸付金などの与信が回収できなくなることで発生する損失。債権回収が不可能となったことで確定する「貸倒償却」と、与信先の信用低下に伴って予防的に引き当てる「貸倒引当金」繰り入れなどがある。コロナ禍の影響で今期は、貸倒引当金の繰り入れが大幅に増加。

3メガ銀行の決算概要:第3四半期までの与信コスト・前年同期比の増減

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 ただし、これまでの経過では、与信コストは当初想定していたよりは少なく済んでいます。外食業・観光業などで破綻が増えていますが、それ以外の産業は経済再開にともなって持ち直しつつあります。

コロナ対応の融資増加などで、業務純益は想定以上

 3メガ銀行の第3四半期までの業務純益【注】は、各社想定を上回ったと考えられます。コロナ危機を受け、手元流動性の積み増しに動く企業が増え、貸出金や貸出枠の積み増しが増えたこと、粛々と経費削減を進めたことなどが貢献しました。

【注】業務純益:一時的損益の影響を除いた、銀行の本来的な収益力を示す指標。一般貸倒引当金の繰り入れや株式売却益などを除いた損益

3メガ銀行の決算概要:第3四半期までの業務純益(前年同期比)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

市場関連収益も想定以上と推定

 4月以降、世界的な株高が続いていること、海外で長期金利の水準が下がったことから、市場関連収益も、想定を上回ったと推定されます。

 純利益には計上されませんが、3メガ銀行とも、以下の通り、上期に保有有価証券の含み益が大幅に増加しています。

3メガ銀行の決算概要:保有有価証券の含み益

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 3メガ銀行とも、保有する持ち合い株に巨額の含み益が存在します。3行とも、持ち合い解消売りを継続的に進めていますが、売却のつど、上記含み益が実現し、純利益の押し上げが継続する見込みです。

3メガ銀行の収益力は正しく理解されていない

 金融セクターには、株価指標で見て、割安な銘柄が多数あります。具体的に言うと、配当利回りが高く、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低い銘柄が多数あります。低金利長期化で、銀行の預貸金利ざや(預金金利と貸付金利の差)が縮小していく不安が織り込まれていると考えられます。ただし、3メガ銀行は、実際には安定的に高収益を上げていく力があると判断しています。その収益力が、株式市場で正しく理解・評価されていないことが、割安な株価につながっていると考えています。3メガ銀行株は、配当利回りで4.4~5.0%に達しており、高配当利回り株として投資価値が高いと判断しています。

 同様に、グローバルにビジネスを展開している大手金融株には、収益力対比、株価が割安な銘柄が多いと考えています。東京海上HD(8766)オリックス(8591)も、収益力対比、株価は割安と評価しています。

グローバル展開している大手金融株の株価バリュエーション:2月16日時点

コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
8306 三菱UFJ FG 561.8 4.4% 12.7 0.43
8316 三井住友 FG 3,791.0 5.0% 13.0 0.46
8411 みずほFG 1,594.0 4.7% 11.5 0.45
8766 東京海上HD 5,556.0 4.2% 19.4 1.11
8591 オリックス 1,792.5 4.2% 11.8 0.73
出所:配当利回りは2021年3月期1株当たり年間配当金(会社予想)を2月16日株価で割って算出。1株当たり配当金は、三菱UFJ25円、三井住友FG190円、みずほFG75円、東京海上HD200円、オリックス76円。PERは、2月16日株価を21年3月期1株当たり利益(会社予想または会社目標)で割って算出

三菱UFJと三井住友FGは、コロナ収束後に増配を予想

 三菱UFJと三井住友は、これまで継続的に増配を続けてきましたが、コロナ禍の今期は、配当を据え置いています。

3メガ銀行の1株当たり配当金推移:2017年3月期(実績)~2021年3月期(予想)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成、みずほFGは2020年10月1日に10株を1株に併合。併合以前の1株当たり配当金を併合を反映して修正

 コロナが収束すれば、来期以降、三菱UFJと三井住友は、増配を行っていくと予想しています。

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(窪田 真之)

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