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対策は今!制度改正前にやるべき生前贈与の方法 

トウシル / 2021年3月19日 6時0分

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対策は今!制度改正前にやるべき生前贈与の方法 

贈与税の非課税枠はいくらかご存じですか?

 ある程度の資金をお持ちの方なら、お子さんやお孫さんへの贈与を考えたことがあるのではないでしょうか。また、親御さんから贈与を受けている、という方もいらっしゃると思います。

 ところで、贈与税には、年間(1月1日~12月31日)でこの金額の範囲内なら税金はかかりませんよ、という「非課税枠」があります。これがいくらかご存じですか?

 正解は「年間110万円」です。この金額をご存じの方は多いので、多くの方は毎年の贈与金額を年間110万円以内に抑えて、贈与税がかからない範囲で贈与を行っています。

税金を安く抑えていたつもりだったのに…

 しかし、税理士である筆者からすると、「非課税枠の範囲内で贈与を続けることで、節税しているつもりが余計な税金を払うことになってしまう」ケースが極めて多いのです。特に、顧問税理士などがおらず、ご自身がネットや雑誌などの知識で贈与を行っている場合はその傾向が強いです。

 例えば、親から子へ現金110万円を贈与すると贈与税はゼロです。一方、現金500万円を贈与した場合、贈与税は48万5,000円となり、税率は9.7%となります。

 ここで、「500万円も贈与したら48万円も贈与税がかかってしまう。もったいない」と考えてしまうのは早計です。

 もし財産が何億円もあり、相続税の税率が40%かかるとしたら、生前に贈与して9.7%の税率で抑えた方が明らかにトータルの税金が安くなります。

 この効果は、生前の贈与額が大きいほど、また贈与を行う期間が長いほど威力を発揮します。
もし子ども3人に年間500万円の贈与を10年間行えば、相続税の節税額は500万円×3人×10年×(40%-9.7%)=4,545万円にもなるのです。

 110万円の非課税枠の範囲を超えて、「年間300万円贈与しましょう」「500万円贈与しましょう」といったアドバイスを、専門家である税理士がついていれば受けることができるのです。

いま政府で議論されていることとは

 このように、贈与税と相続税の税率構造の違いから、生前に低い税率の範囲内で生前贈与を行い、「贈与税+相続税」のトータルでの税額を低く抑えようという動きは、相続税の節税対策として広く行われています。

 しかし、政府はこのことを快く思っていないようです。なぜなら、この節税対策は、財産を多く持っている人ほど効果が絶大になるからです。これにより、財産を持っている人とそうでない人との格差が不当に拡大することを防ぎたいというのが政府の考えなのです。

 そのため、すでに贈与税の課税の仕方を変えようとする動きが出ています。まだ具体的にどうなるかは不明ですが、おそらく相続時精算課税のような方式にして、生前に贈与しても相続時に課税しても、同じ税率になるような仕組みになると思われます。

 つまり、制度が改正された後は、生前贈与を行っても相続税の節税をすることができなくなってしまうのです。

いまからできる対策は?

 この贈与税の課税体系の変更は、数年後に行われるのではないかといわれています。したがって、まだ時間的猶予はあります。いまからできる対策は、課税体系の変更がなされる前に生前贈与を進めておくということです。

 もし5年後に制度改正が行われると想定すれば、できるだけ早期から子どもや孫に贈与を積極的に行うことが望まれます。

 もし40%の相続税率がかかる財産を持っている人が、子ども2人、孫2人に年間500万円の贈与を5年間行えば、次の相続税節税効果が期待できます。

500万円×4人×5年×(40%-9.7%)=3,030万円

 制度改正は5年後ではなく3年後かもしれません。現状把握、およびシミュレーションをして、できる限り早期に、かつ節税効果が最大限期待できる額の贈与を行うのが理想です。

生前贈与で無駄遣いが心配…対策もある

 生前贈与したら、子どもが無駄遣いしてしまうのではないか、と心配な場合は、例えば贈与したお金を使って生命保険に加入してもらうのも手です。この「保険料贈与プラン」については、以前書いたこちらの記事をご覧ください。

■おすすめのバックナンバー
生命保険活用のウラ技!「保険料贈与プラン」で税負担を軽減する方法とは(その1)
生命保険活用のウラ技!「保険料贈与プラン」で税負担を軽減する方法とは(その2)

 もちろん、生前に贈与するとそれだけ手元の資金が減ることになります。贈与したお金を「やっぱり返して」ということはなかなか難しいです。

 ですから、節税の観点だけではなく、自身の手元に残しておきたいお金をまずは決め、それを超えた範囲内でのみ贈与を行うなど、ご自身の状況にあった形での贈与を行うようにしてくださいね。

(足立 武志)

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