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VOO、VTI、QQQ…。米国ETF、どれが買い? 米国株投資家もみあげさんインタビュー 中編

トウシル / 2021年4月23日 5時0分

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VOO、VTI、QQQ…。米国ETF、どれが買い? 米国株投資家もみあげさんインタビュー 中編

 日系企業の駐在員として米国で暮らしながら、米国株投資を行っている、もみあげさんインタビューの中編をお届けします。今回は、投資初心者が米国株投資を始める場合、どんな銘柄に着目すべきかを聞きました。

米国経済はまだまだ成長し続ける

──ここからは、米国株投資を始めたいという初心者に、何に投資したらいいのか、アドバイスをお願いしたく思います。大きく分けると「インデックス投資」か、「個別株投資」か、ということになると思いますが、どちらを勧めますか?

 それぞれよさがあるので、どちらとは言いにくいですね。というか、どちらか一方でなく、両方やってみたらいいと思います。ただし、これまで米国株はもとより、日本株も買ったことがないという人は、まずはインデックス投資から始めるのが無難でしょう。僕自身もそうでしたし。

──インデックス投資のよさは?

 インデックス投資というのは、特定の銘柄でなく、「株式指数」に投資する方法です。例えば米国には「S&P500」という株式指数があります。これはニューヨーク証券取引所などに上場する、代表的な500銘柄の株価をもとに算出されます。つまり、S&P500に連動する投資信託やETF(上場投資信託)に投資するというのは、米国の主要500社に投資するようなものなんです。

──米国経済そのものに投資するといってもいいかもしれませんね。

 はい、ですから米国経済が成長を続ける限り、安定したリターンを得ることができます。

──米国経済はまだまだ成長すると思いますか?

 例えば日本のGDP(国内総生産)の推移を見ると、2000年ごろから長く低迷しています。しかし、米国はリーマンショックがあった2009年以外は、毎年2%程度の伸びを示しています。それは株価にも表れていて、日本の株価指数であるTOPIX(東証株価指数)と、米国のS&P500を比較すると、大きな開きがあります。TOPIXはバブル崩壊以降、1万円から2万円あたりをずっとうろうろしていますが、S&P500は基本的には右肩上がりです。

──だからといって今後も同じ状況が続くとは限らないのでは?

 もちろん、そうです。でも、例えば今後の人口予測を見ると、日本の人口が減少し続けているのに対して、米国の人口はまだまだ増え続けると考えられています。米国は、先進国では珍しい人口増加国なんです。そのことを踏まえても米国経済は発展し続けると考えるのが自然でしょう。

著書20ページ目にも掲載されている日米人口推計。移民も多いが着々と人口を増やし内需拡大が期待できる米国に比べ、日本は少子高齢化が進むばかり。米国に期待したくなる若い人が増えたのもうなずける。

個別株投資に興味があるならETF

 米国株投資と一口に言っても、「投資信託」「ETF」「個別銘柄(株)」の、3つの投資方法があります。それぞれに特徴や個性、メリットやデメリットがあるので、著書の中でも導入編として丁寧に説明させていただきました。

もみあげさんの著書は、すべて数ページでコンパクトにまとめられており読みやすさが人気。スモールステップで理解が進む。
次の章へ進んでいけるので、挫折することが少ない。※画像をクリックするとpdfが開きます>>

──初心者はやはり、インデックスとETFが始めやすいと思うのですが、もみあげさんは、初心者になら、この2つだとどちらを勧めますか。

 投資信託とETFの違いは上場しているかどうかであって、さして違いはありません。だから、基本的にはどちらでもいいと思います。ただ、投資信託のほうが少額で購入できますし、初心者は買いやすいと言えるでしょう。

──それなら投資信託を推しますか?

 この先もインデックス投資しかやるつもりがないというなら投資信託でいいかもしれません。でも、個別株投資にもチャレンジしてみたくなる時がきっとあると思うので、投資信託の次のステップに進んでみたくなったら、ETFを買ってみたらいいと思いますよ。投資信託は1日に1度、基準価額(投資信託の値段)が算出されるのですが、ETFは個別株同様、リアルタイムで価格が変動します。だから、個別株投資をやっているような気分を味わうことができます。ETFの経験があると、個別株投資を始めやすいと思います。

──インデックス投資を始めるに際して、ほかに知っておきたいことはありますか。

 米国株の投資信託やETFは、米国の株式指数に連動して値が動くと言いましたが、銘柄によって用いる指数は違います。そして、それによってパフォーマンスが違ってきます。だから、投資信託やETFを購入する際には、どの指数を用いているのかをきちんと確認したほうがいいでしょう。

──最も一般的なのはS&P500を用いたものですよね。

 たしかに日本ではS&P500に連動する銘柄が、人気があるようです。ただ、それ以外にも魅力的な銘柄があります。

──例えばどんなものでしょうか?

 米国の大手運用会社、バンガードのETFに「VOO」「VTI」という人気銘柄があります。このうちVOOはS&P500に連動するタイプですが、VTIはS&P500を構成する500銘柄だけでなく、小型銘柄や中型銘柄も組み込んでいます。つまり、米国の大小あらゆる銘柄を投資対象にしているETFなんです。

 中小・中堅企業は短期間で爆発的に成長することがあります。そういう企業が複数現われると、VTIのパフォーマンスはぐんと上昇します。過去の実績ではVTIよりVOOのほうが勝っているので、確実性を求めるならVOOを勧めますが、中小企業の成長性に賭けてみたいという人はVTIを選ぶのも手だと思います。

著書75ページ掲載の、もみあげさんが注目する3つのETFの基本データ。

最強の米国株ETF「QQQ」

──S&P500以外の指数を用いる投資信託やETFで注目している指数はありますか?

 全米証券業協会が運営する電子取引市場「NASDAQ」に上場している銘柄のなかの時価総額上位100銘柄を対象とする「ナスダック100指数」というものがあります。これが非常に好調で、S&P500を上回るパフォーマンスを残しています。だから、この指数に連動する投資信託やETFも狙い目でしょう。

──なぜこの指数は好調なのでしょう?

 1つは、S&P500に比べて成長分野であるハイテク銘柄が多く組み込まれているためですが、もう1つ決定的な理由があります。今、米国経済をけん引しているのは、間違いなくGAFAMです。GAFAM5社を合わせると、時価総額は5兆ドルを超えます。これは米国証券市場全体の8分の1に相当します。で、S&P500にもナスダック100指数にもGAFAMが組み込まれているのですが、その比率が大きく異なります。S&P500では全体の20%弱なのに対して、ナスダック100指数では全体の約45%を占めます。

──各指数における組み込み比率は全銘柄一律ではなく、基本的には時価総額によって決められる。GAFAMは時価総額が桁違いだから、たった5社でそれだけの比率を占めるということですね。

 はい、とくにナスダック100指数は、全体が100銘柄ということもあって50%近くを占めます。その分、S&P500に比べるとGAFAMの成長の恩恵を受けやすく、パフォーマンスがいいわけです。

──なるほど、GAFAMが好調であれば、ナスダック100指数の優位が続くというわけですね?

 反対にGAFAMの成長に陰りが見えたら、S&P500に逆転されることになります。もちろん、ほかのハイテク銘柄の動向などにもよりますが。

──S&P500に連動する銘柄の代表がVOOだとすると、ナスダック100指数に連動する銘柄の代表は何になるんですか。

 インベスコ・パワーシェアーズという運用会社のETFである「QQQ」ですかね。実際、ここ数年のQQQの運用実績はVOOを大きく上回っています。今現在で言うと、QQQは日本から投資できる米国株ETFのなかの最強銘柄だと思います。

著書139ページのQQQとVOOのGAFAM組み入れ割合表。QQQのほうが、GAFAM比率が高く、GAFAMが大暴落しない限り成長が見込めそう。

──米国株投資を考えている人は要チェックといえそうですね。

 そうですね。今のところ、GAFAMが沈むとは考えにくいので、狙い目であるのは間違いないでしょう。

──ほかには何かありますか。

 例えばVOOやVTIを展開するバンガードには、特定のセクター(業種)に絞って投資するセクターETFというものがあります。「ハイテク」「一般消費財」「通信」「ヘルスケア」など何種類かあるのですが、このなかからパフォーマンスのいい銘柄を選んで投資するのもいいでしょう。それともう1つ、ゲーム関連銘柄および半導体銘柄に投資する「HERO」も面白いと思います。2019年に誕生した新しいETFなのですが、非常に優秀な成績を残していて、人気を集めています。

セクターETFなら、そのセクター全体に投資できるため、個別株と同じような値動き感を体感できる。個別株にチャレンジする前に一度セクターETFで様子を見るのがお勧め、と、もみあげさん。

──名称もユニークですし、ゲーム好きの人などは要注目かもしれませんね。では、次回は個別株投資についてお伺いします。

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(トウシル編集チーム)

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