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日経平均3万円台は射程圏内。グロース(成長)株の復調は上昇トレンドの始まりとなるか

トウシル / 2021年4月5日 12時10分

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日経平均3万円台は射程圏内。グロース(成長)株の復調は上昇トレンドの始まりとなるか

日経平均は週足ベースで反発、TOPIXは目先の調整に入った

 新年度相場入りとなった先週末4月2日(金)の日経平均は2万9,854円で取引を終えました。前週末終値(2万9,176円)からは678円高、週足ベースでも反発に転じています。

 先週は、米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが引き起こした追証デフォルトに関連する金融機関の損失発生が市場を揺さぶる場面があったものの、相場が大きく崩れることはなく、また、3月決算企業の配当落ちの分をしっかり埋めたことを考えれば、堅調さを維持したと言えます。

 公表された米国の追加経済政策を好感する動きや、落ち着いてきた米国の金利上昇ピッチ、そして、改善傾向が続いた日銀短観と、約37年ぶりの高水準だった米ISM製造業景況指数などの経済指標の強さも追い風となりました。ここ最近は軟調気味だった成長株(グロース)が復調を見せ、景気敏感株との両方が買われる場面もあり、「いいとこ取り相場」の復活も感じられます。

 今週もこの流れが続けば、日経平均の3万円台超えの場面も十分に有り得そうですが、まずは足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の動きを振り返ると、多くのイベントが控える中、週半ばの3月31日(水)までは25日移動平均線を意識した様子見の展開となっていましたが、米国の追加経済政策と日銀短観の結果を好感した4月1日(木)からは買いが優勢となり、翌2日(金)も「窓」空けで一段高となりました。

 5日と25日の移動平均線が「ゴールデンクロス」となったほか、下段のMACDも0円ラインを超えてシグナルとの上抜けクロスが出現しています。上方向への意識を強めており、日経平均の3万円台乗せを射程圏内に捉えていると言えます。今週末はオプション取引・mini先物取引のSQが控えていますが、需給面で勢いがつく展開となれば、前回のレポートでも指摘した「上値ライン(2月16日と3月18日の直近高値どうしを結んだ線)」に挑む場面もありそうです。

 その一方で、日経平均に比べて動きがさえなかったのはTOPIX(東証株価指数)です。

■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末2日(金)のTOPIX終値は1,971pでした。前週末終値(1,984p)からは小幅に反落しています。

 週初の29日(月)は節目の2,000pを回復して戻り基調でスタートしたのですが、次第に失速していきました。5日と25日移動平均線の範囲内で推移し、週を通じてすべてのローソク足が陰線となっており、売りに押され気味だった印象です。下段のMACDも上抜けできていない状況です。

 とはいえ、「日経平均よりもTOPIX優位」の状況が最近まで続いていましたし、下値をトライする動きでもなかったため、TOPIXが弱気に転じたというよりは、目先の調整に入ったと見た方が良さそうです。また、米国の追加経済政策を受けた半導体関連株への買いや、米国とは反対にコロナ禍の状況が芳しくない国内の状況もあり、コロナ禍に伸びていた情報・通信関連株が見直された面もありそうです。

TOPIXの優位性は変わらない

 確かに、図1・図2のように日足ベースでみると、先週のTOPIXは日経平均との立場が逆転したように見えますが、週足のトレンドの状況を平均足とMACDでは、TOPIXは上昇トレンドを継続しており、優位性は変わっていません。また、先週出現した日経平均のトレンド転換サインも打ち消していませんので、日経平均への買いが続くかが焦点です(下の図3と図4)。

■(図3)TOPIX(週足)の平均足とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図4)日経平均(週足)の平均足とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 今週は国内企業の決算発表がいくつか予定されていますが、日経平均への寄与度の大きいファーストリテイリングの決算が8日(木)に発表される予定ですので、決算を受けた同社株の動きが注目されそうです。

NASDAQは上方向の意識強まる。トレンド転換のサインはまだ見られない

 そもそも、先週見せたグロース株の復調は、米国株市場の動きが日本株に波及した構図ですので、米NASDAQの動きについても見ていきたいと思います。

■(図5)米NASDAQ(日足)とMACD(2021年4月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 結論から言ってしまうと、日足チャートで見た先週末時点のNASDAQはかなり上方向への意識を強めて取引を終えています。

 株価と移動平均線との絡みでは、週末2日(金)の取引で5日・25日・75日の3本の移動平均線を上抜けたほか、直近高値どうしの上値ライン(2)も超えてきています。MACDのシグナル上抜けクロスも出現しており、0pラインも超えてくるとさらに上昇に勢いが出てきそうです。

■(図6)米NASDAQ(週足)の平均足とMACD(2021年4月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ただ、週足で中期的なトレンドをみると、日経平均と同様に上方へのトレンド転換のサインがまだ出ていませんので、引き続き買いが入って、短期的な強さを中期的な強さに移行できるかが焦点になります。

 先ほども述べたように、半導体関連株を中心とするグロース株への物色は追加経済政策をきっかけとした「政策に売りなし」の雰囲気によってもたらされていますが、これから政策を実現させていく段階ですので、米金利の上昇ピッチの加速への警戒感がくすぶる中で、「期待感だけで上値を伸ばすには限界があるかも」ぐらいの気持ちで上値を意識するのがちょうど良いかもしれません。

 また、米国が打ち出した今回の経済政策は、バイデン大統領が述べているように、「中国との競争に打ち勝つ」という部分が強調されました。米議会では今回の政策を議論するにあたり、与野党を問わず反対の声が予想されていますが、とりわけ、今回の政策の財源として、法人税の引き上げなどの企業増税で賄うやり方は、法人税を引き下げてきたこれまでとは180度の方向転換でもあるため、反対の声は大きそうです。そのため、超党派で賛同が得られやすい対中国政策の側面を打ち出して乗り切ろうとする思惑が感じ取れます。

 さらに、日銀短観に話を戻すと、コロナ禍以前の水準まで回復した製造業の景況感に比べて、非製造業については、国内のコロナ状況が依然として影を落としています。米国や他の地域と比べると、日本の非製造業の回復はかなり遅れている部類に入り、コロナ対応力の差が出始めている可能性があります。そのため、同じ景気敏感株でも海外で稼ぐ企業がより選好されそうです。

 製造業についても、コロナ禍からいち早く復調を見せた中国経済の恩恵を大きく受けている面がありますが、次第に明確になりつつあるバイデン政権の対中政策の姿勢が協調というよりは対立に近いイメージに近づきつつあるため、今後の米中関係には注意を払う必要があります。

 まもなく日米の決算シーズンが本格化していきますが、その前に「半導体を中心とするグロース株の物色が継続するか」、そしてそれと同時に、「経済指標の改善を背景とする景気敏感株にも買いが入るか」の2点が今週のカギを握ります。両方を達成できればさらなる上値追いとなり、どちらか一方でも達成できれば、相場全体として堅調に推移することができそうです。

(土信田 雅之)

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