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米雇用統計、なぜ大外れした? 原因は市場の「浮かれすぎ」か?

トウシル / 2021年5月11日 9時31分

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米雇用統計、なぜ大外れした? 原因は市場の「浮かれすぎ」か?

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.65

下値メドは108.00

中国は景気刺激策を卒業してバブル防止策へ。中国の銀行に融資額の上限規制

10日(月曜)のドル/円は、円安に反発

 週明けは108.61円からスタート。最初は売りが優勢で、108.46円まで円高に動きこの日の安値。ただ欧州時間朝になると109.06円まで戻して高値をつける。その後は横ばいで、終値は108.84円(前日比+0.24円)。雇用統計後の動きは円高につながりませんでした。109円に戻して値固めができるかが今週のドル/円のお題。

 ポンドは大躍進。対ドルでは2月以来の1.4158ドル、対円では2018年2月以来3年3カ月ぶりの高値となる154.02円まで上昇。

 先週6日に行われた英国のスコットランド議会選挙の結果が週末に判明しましたが、独立派のSNP(スコットランド民族党)は議席を伸ばしたもののあと1票で過半数に届かず。スコットランド独立という政治不安が遠のいたことがポンド買いにつながりました。

 しかし独立問題は消えたわけではありません。緑の党を合わせると独立支持が多数派です。SNPは、コロナ禍の今を避けて来年を目指して独立投票の正当性を高等裁判所で争う予定です。この問題はブレグジット同様、今後のポンドの材料になり続けるでしょう。

 先週の米雇用統計は予想を大きく下回りました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「労働市場は見かけ以上に弱い。実際の失業率は6%というより、10%に近い」と、マーケットの楽観さに対して警告を発していました。もっとも先月は、「(100万人近い雇用者増加の)状況が何カ月も続いてほしい」と、パウエル議長でさえ、良い結果を期待していたようです。いずれにしてもマーケットの強気は続き、先週の雇用統計の結果を知ってびっくりしたというわけです。

  なぜ予想は、はずれたのか?

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

人生とは、計画を立てている間に過ぎ去ってしまう。「今ここにある喜び」を大切に

4月米雇用統計 Don’t Get Me Wrong

 BLS(米労働省労働統計局)が5月7日に発表した雇用統計では、4月のNFP(非農業部門雇用者数)は、予想の100万人増を大きくしたまわり、26.6万人の増加にとどまりました。

 なぜ予想はこれほど外れたのか?雇用者数の予測方法は、実はとてもシンプルで、店の営業再開のペースを見て、そのレベルに応じた雇用者を計上するというものです。小売店の50%が再開したから、スタッフの数も以前の5割まで戻るというように。

 しかし現実はそれほどシンプルではなく、再開率に合わせて従業員を増やしているわけではない。まずはある程度のスタッフを戻して様子を見る。必要があればもっと増やすし、そうでなければ少人数で回しますというやり方をしています。今回の雇用統計の雇用者数の「少なさ」は、会社の景気見通しに対する慎重さを示しているともいえます。

 雇用側は「レイオフ」という、再雇用前提の一時解雇制度を使えるので、こうした採用の調整がしやすいこともあります。もっとも、雇われる側にしても、給料より失業手当が高いなら、失業したままでいいと思っています。FRBも、寛大な給付金が再雇用の妨げのひとつになっていることを認めました。

 雇用統計の詳細を見ると4月のレジャー・サービス関連の雇用は33.1万人増加。そのうち半分以上は関連でした。娯楽・ギャンブル関連や宿泊業でも増加が目立ちました。レストランなどでは、米政府の手厚い失業手当のせいで、従業員の確保に苦労していると報告されています。その一方小売業は弱かった。経済が再開しても業種によって回復には濃淡があり、それが雇用統計の予想をいっそう難しくしています。

 雇用統計前のFRB(米連邦準備制度理事会)のメンバーは口々に「緩和縮小と雇用市場の回復はセット」と述べていました。FRBは市場で盛り上がる緩和縮小期待を抑え込むのに苦労していたのですが、急に「雇用統計が悪ければ、緩和縮小もない」を強調し始めていました。今回の雇用統計結果を事前に知っていたかのようです。

今日の注目通貨:ドル/円

ドル/円:今週の予想レンジ ↑110.18円、↓107.44円

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は108.81円。108.81円より上ならばドル買い優勢、108.81円より下ならばドル売り優勢。

 2021年これまでの高値は110.97円、安値は102.59円。平均値は106.78円、値幅は8.37円。
1日の最大値幅は1.03円、最小値幅は0.18円。平均値幅は0.57円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて4.59円の円安。

110.97円 : 2021年 高値
110.85円 : 04月 高値
110.70円 : 第4レジスタンス(HBO)
110.18円 : 第3レジスタンス

109.66円 : 第2レジスタンス 
109.56円 : 04月 61.8%
109.50円 : 第1レジスタンス
109.16円 : 04月 平均値

108.81円 : ピボット

108.76円 : 04月 38.2%
108.13円 : 第1サポート

107.96円 : 第2サポート
107.48円 : 04月 安値
107.44円 : 第3サポート

106.92円 : 第4サポート(LBO)
106.37円 : 2021年 03月 安値

2021年 ドル/円データ

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

(荒地 潤)

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