ドル/円、まだ110円をあきらめない？米金利上昇期待で再び円安へ

トウシル / 2021年5月20日 9時55分

今日のレンジ予測

［本日のドル/円］

↑上値メドは110.15円

↓下値メドは108.00円

EU成人の7割が秋までに接種完了へ。
ドイツの人口比ワクチン接種率は米国に並ぶ

　19日（水曜）のドル/円は、大きく上下に動いたあと、最後は円安。高値109.34円、安値108.57円、1日の値幅0.76円。

　この日は109.15円からスタートして、東京時間にいったん108円台に下げましたが、下値は堅い。欧州時間に反発して109.34円まで上値を伸ばすも、109円台半ばに南下してきた売り勢力も強く、NY株価とともに下落、 109円を割ると一気に108.57円まで円高。

　しかしこの日公表のFOMC（米連邦市場委員会）議事録に「緩和縮小」に関する記載があったことを理由にNY時間午後に買い戻されて再び109円台に復帰。終値は108.19円（前日比0.29円）。終値の前日比プラスは5営業日ぶり。

　5月のドル/円は、雇用統計後の108.33円が安値、CPI（消費者物価指数）後の109.79円が高値。19日の相場は上下に動き値幅もありましたが、このレンジは抜けていません。安値と高値の中間値は109.06円。前日の円高が若干修正されて中立レベルに戻っています。

　FRB（米連邦準備制度理事会）は何を考え、金融政策はどこへ進んでいくのか？FOMC議事録のポイントは、次のページをご覧ください。

出所：MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標終値

出所：楽天証券作成

今日の一言

投資の世界では「今度は違う」というのは危険な兆候である – ジム・ロジャース

FOMC議事録夏をあきらめて

　今朝、 FRBは4月27、28日に行われたFOMC会合の議事録を公表しました。FOMCの総合的見解は、「米国経済は、ゴールとする最大雇用と物価安定からまだ遠く離れている」です。

　4月の会合でFOMCは景気見通しを引き上げました。しかし議事録によると、移動制限解除とソーシャル・ディスタンス緩和の効果が今後薄れてくるため、再び成長が鈍化するとの慎重です。

　一部のメンバーからは、今後の会合において「緩和縮小」の議論を開始すべきとの意見が出ていたようで、これがマーケットの関心をひきました。今後とはいつか？早ければ7月、という見方も出ています。もちろん議論であって実施はその先ですが、FRBがその方向へ動き出すことが重要であり、マーケットにとっては衝撃なのです。

　インフレ見通しについては、多くのFOMCメンバーは、今年一時的に上昇するが、原材料の供給不足の解消に伴い落ち着いていくとの認識。ただし一部の業種においては、供給網寸断の影響が予想より長く残り、コスト上昇につながっているようです。

　製造業では、半導体チップなど部品供給不足に加え、「労働力の不足」が回復のネックとなっているとの指摘もありました。とはいえ、このFOMC会合は、（非農業部門雇用者の増加数が予想の約1/4しかなかった）4月雇用統計の前ですから、今はメンバーの見解も変わった可能性があります。その意味で、緩和縮小議論の開始時期と絡めて今後は連銀総裁の発言内容にも注意が集まるでしょう。