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日経平均3万円でも割安、令和の日本株がさらに飛躍すると予想する理由

トウシル / 2021年6月15日 7時40分

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日経平均3万円でも割安、令和の日本株がさらに飛躍すると予想する理由

 日経平均は、2万9,000円前後でやや膠着(こうちゃく)しています。一時3万円を超えてから、「これはバブルだ、いつか来た道だ」と声高に警鐘を鳴らす人が出てきています。今の日本株は割安で、かつて経験したバブルには全く当てはまらないと私は考えています。

 日経平均がここまで上昇したのは、日本株の投資価値が高まったことを受けた当然の結果と思います。バブル崩壊に苦しんだ1990年代と比較すると、財務内容が大幅に改善、利益は大幅に増加、配当金も増加しました。

 日経平均上昇は「バブル」ではなく、投資価値上昇を評価した「普通の株高」と考えています。

利益を無視して、夢だけで株を買い上げるのがバブル

 日本株は1980年代後半にバブルを、1990年以降バブル崩壊を経験しました。

日経平均(年次推移):1973年~2021年(6月14日)

出所:グラフは日経平均株価、予想PERは東証一部平均。楽天証券経済研究所が作成

 1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東証一部のPERは約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。

 ところが、その後、日経平均はどんどん上がり続け、1989年(平成元年)末には3万8,915円の史上最高値をつけました。この時、東証一部のPERは約60倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。

バブルは、平成に入ってから崩壊しました(平成元年=1989年)。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2009年以降、再び、上昇トレンドに戻りました。今、東証一部の予想PERは約16倍に低下し、妥当水準と考えられる10~20倍の範囲に戻りました。

 利益で説明できる「実力」によって、日経平均3万円前後に戻ったと言えます。30年前にバブルだった日本株も、今は財務内容や収益力で説明できる水準となりました。

バブル崩壊から始まった「平成」

 平成元年(1989年)は、日経平均が史上最高値(3万8,915円)をつけた年です。まさに、「バブル崩壊」「失われた10年」といわれる1990年代がスタートしたところでした。

平成の日経平均推移:1988年12月末~2021年6月14日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 1990年代は、日本の金融機関が不良債権を抱えて苦しんだ時期です。長銀・日債銀・山一證券など、大手金融機関がばたばた破綻しました。

 日本が金融危機を脱するのは、2003年です。りそな銀行に公的資金が入ったところで、金融システム不安はやっと解消しました。不良債権処理の過程で、13行あった都市銀行は、3メガ銀行(三菱UFJ FG、三井住友FG、みずほFG)に集約されました。

 1998年から2005年まで、銀行を含む、日本中のあらゆる産業で生き残りを賭けた「合併・リストラ」「構造改革」が進みました。その成果で、2003年から2007年まで日本企業の復活が続きました。「ようやく失われた10年を脱した」と言われました。

 ところが、それは、甘い期待でした。2006年から、「構造改革疲れ」という言葉がブームになり、合併破談・買収防衛策の導入が相次ぎました。その頃から、少子高齢化が一段と進み内需企業が疲弊してきました。

 さらに、力をつけたアジア企業(韓国・台湾・中国)がエレクトロニクス産業で、日本企業を追い詰めるようになりました。2008年にリーマンショックが起こると、日経平均は再び、大きく下がり、バブル崩壊後の安値を更新しました。

 平成が始まってから、リーマンショックに苦しむ平成20年まで、日本は「失われた20年」を経験したと言われました。

構造改革の成果が結実し、復活が始まる

 リーマンショックを経て、復活の10年が始まりました。今、日経平均が29年ぶりの高値まで戻ったのは、失われた20年で行った構造改革の成果と考えています。その内容は、以下の通りです。

<1998~2005年の構造改革>
◆金融危機を克服:不良債権処理を完了。
◆業界再編:金融・化学・鉄鋼・石油精製・セメント・紙パルプ・医薬品・小売業などで、生き残りを賭けた合併・リストラが進む。
◆財務体質を改善:日本中の企業が借金返済にまい進。借金過多のバブル時より財務が大幅改善。
◆省エネ・環境技術をさらに進化:日本は1970年代以降、省エネ・環境技術で世界をリードしてきたが、2000年代の資源バブルでさらに技術優位を広げた。

<2006~2013年の構造改革>
◆内需産業が海外で成長:内需産業(小売り・食品・サービス・化粧品・金融・陸運など)が海外(主にアジア)進出。
◆サービス化・IT化:ITを駆使した成長企業が増える。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)の普及始まる。製造業でも、サービス化・IT化に対応した「脱製造業」のビジネスモデルが広がる。
◆海外M&A:日本企業が大型M&A(合併・買収)を次々と実施し、海外企業を買収。海外進出を加速。
◆働き方改革・ガバナンス改革:まだ道半ばだが、労働生産性を高める働き方改革、ガバナンス改革が、進んでいる。コロナ禍で、リモートワーク・リモート会議が広がっていることも働き方改革の進展に貢献。

令和でコロナ・ショックに見舞われたが、コロナ収束すれば「飛躍の10年」に

 令和に入り、世界はコロナ・ショックに見舞われました。2020年(令和2年)4~6月の世界景気は「戦後最悪の落ち込み」となりました。ただ、7月以降、経済再開により、日本および世界の景気は回復期に入っていると考えられます。

 ワクチン普及が進む米国では、景気過熱が懸念されるほど、景況は一気に改善しています。ワクチン普及が遅れる日本も、いずれ米景気回復の恩恵をうけて、回復色が強まると予想されます。

 20~30年の長いタームで見ると、コロナ・ショックですら後から振り返って「一時的なショックだった」とレビューされることになると考えています。その「一時的」が2年なのか3年なのか、現時点では明確にわかりません。ただ、いずれ人類はコロナを克服し、世界経済を正常化に向かわせると思います。

 令和に入って最初の10年、私は平成の構造改革の結実によって日本株が飛躍する時期になると予想しています。いずれ、日経平均は史上最高値(3万8,915円)を更新すると予想しています。割安な日本株にしっかり投資していくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。

NISAで利回り5%を稼ぐ高配当投資術

 最後に、著書出版のお知らせです。6月16日、日経BPより拙著「NISAで利回り5%を稼ぐ、高配当投資術」が出版されます。

 私が25年の日本株ファンドマネージャー時代に得たバリュー(割安株)投資のノウハウを初心者にもわかりやすく解説しています。NISAを使って高配当利回り株に長期投資して資産形成を行っていくことを考えている個人投資家にぜひお読みいただきたい内容です。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年6月8日:総合商社の決算まとめ:伊藤忠・三井物産は今期最高益の予想
2021年5月26日:NISAで利回り5%を稼ぐ高配当投資術:利回り4.3~5.0%、3メガ銀行の投資判断

(窪田 真之)

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