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米国企業決算を受けて日本株はどう動く?「後追い」上昇か「先取り」下落か

トウシル / 2021年10月18日 13時21分

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米国企業決算を受けて日本株はどう動く?「後追い」上昇か「先取り」下落か

日経平均は2万9,000円回復

 先週末10月15日(金)の日経平均株価終値は2万9,068円となり、週足ベースでは4週ぶりに反発して取引を終えました。

 前週末終値(2万8,048円)からの上昇幅が1,000円を超える大きなものとなったほか、前の週につけた安値(10月6日の2万7,293円)を下回らなかったこと、そして、週末15日(金)に見せた一段高によって、国内株式市場のムードは再び上方向を目指しそうな印象です。

 果たして、今週の日本株はこのまま順調に戻りをうかがう展開が続くのでしょうか?

 早速、いつものように足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)とMACDの動き(2021年10月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて、先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初11日(月)の取引で、一気に75日移動平均線のあたりまで戻す展開となりました。

 ただ、そこからの上値は重たく、週の半ばはこの75日移動平均線が上値を抑制しました。その一方で、下値は上向きに転じた5日移動平均線がサポートとして機能するなど、比較的堅調だったと言えます。

 そして、週末の15日に、「窓」空けで一段高となり、75日と200日移動平均線を上抜けたほか、節目の2万9,000円台を回復してきました。さらに、年初来高値(9月14日の3万795円)と直近安値(10月6日の2万7,293円)の下げ幅に対する「半値戻し」も達成しています。

 目先のポイントは、25日移動平均線や上値ラインを突破できるか、下段のMACDがシグナルを上抜けるかになりますが、とりわけ、25日移動平均線との絡みが重要になります。

 前回のレポートでは、「75日・200日移動平均線の攻防が焦点になる」と指摘しましたが、週末の一段高によって見事にクリアしてきました。

 そして、次のハードルとして控えるのが25日移動平均線なのですが、10月に入ってからの日経平均は、この25日移動平均線を下抜けてから下げが加速していただけに、25日移動平均線の上抜けは、相場に勢いをもたらすスイッチとして働く可能性があります。

 反対に、跳ね返されてしまった場合には、「リターン・ムーブ」となり、もうしばらく株価の調整が続く可能性が出てきます。

引き続き次の下落局面に注意

 同じく、前回のレポートでは60分足のチャートを紹介し、「上昇推進のリズムから、下落推進のリズムに移った可能性がある」ことについても述べましたので、こちらについても先週の値動きでどうなったのかを確認していきます。

■(図2)日経平均(60分足)のエリオット波動(2021年10月15日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2では、8月20日の年初来安値を起点に、9月14日の年初来高値まで、ピンク色の上昇推進の波を描いていましたが、修正の第4波が株価の下げ過ぎによって上昇1波の高値を下回ってしまい、上昇推進の波が崩れてしまいました。

 その代わりとして、9月14日の年初来高値を起点としたオレンジ色の下落推進の波を描き始めていると思われます。

 先週の日経平均は戻り基調となったため、足元の状況は下落推進の第3波(オレンジ色の線)から上昇修正の第4波が続いている状況です。

 引き続き、この上昇修正第4波が終了した後に下落推進の第5波が訪れることが想定されるため、目先の相場で気を付けなければいけないのが「次の下落局面」になること自体は、前回の見方と変わっていません。

 このまま4波の上昇が継続して、下落1波の安値(2万9,573円)を超えた場合には、今度は下落推進の波が崩れ、上昇が加速する可能性があります。

値動きの目安

 ちなみに、図1で注目した25日移動平均線ですが、15日(金)時点は2万9,310円ですので、2万9,500円を挟んだ価格帯が勝負のポイントになりそうです。

 となると、25日移動平均線乖離(かいり)率のボリンジャーバンドが値動きの目安として使えそうです(下の図3)。

■(図3)日経平均移動平均線乖離率(25日)のボリンジャーバンド(2021年10月15日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡのデータを元に筆者作成

NYダウ、S&P500、NASDAQともに上昇

 また、先週末にかけての株価上昇は、米国株の動きがきっかけとなっています。米長期金利の上昇一服をはじめ、堅調な経済指標、企業決算の好調な滑り出しを背景に、米主要株価指数は週間でNYダウ平均株価が1.58%上昇、S&P500が1.82%の上昇、NASDAQが2.18%の上昇となっています。

■(図4)米NYダウ(日足)とMACDの動き(2021年10月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウは上の図4をみても分かるように、50日移動平均線で上値が跳ね返される「リターン・ムーブ」の傾向が続いていましたが、週末にかけて、14日(木)には、25日と50日移動平均線の「2本上抜け」を達成し、翌15日(金)には「窓」空けで一段高となり、上値ラインも突破しています。

 下段のMACDを見ても、微妙ながらも「0ドル」ラインを超えてきており、チャートの形がかなり良くなっています。

 気になるのは、50日移動平均線水準を回復するまでの期間で、6月の時は7営業日と短い期間で回復していたのですが、足元は26営業日もかかりました。

 この期間について、「時間と価格の調整が十分に進んだ」という見方と、「すでに、相場の地合いが変化しており、足元の株価上昇は一時的」という見方のどちらの受け止め方をすべきかで意見が分かれるかもしれません。

 もっとも、先週末にかけての50日移動平均線の突破の仕方が強いこともあり、現時点では強気のスタンス判断が良いかもしれません。

■(図5)米NASDAQ(日足)とMACDの動き(2021年10月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNASDAQもNYダウと同様に、50日移動平均線を突破しましたが、15日(金)の小さいローソク足にも表れているように、50日移動平均線からの上放れに勢いがなく、上値ラインも突破できてはいないので、NYダウと比べてまだ弱々しさもうかがえます。

 下段のMACDも、MACDがシグナルを上抜けしましたが、水準自体はまだ「0p」ラインよりも下に位置しています。

 とはいえ、直近の安値水準は図5にもあるように、4月末の高値がサポートとなる一本の水平ラインが描けるように、下値の堅さが感じられます。

 ハイパーグロース株がひしめくNASDAQは引き続き米金利の動向に敏感に反応しそうですが、ひとまず上方向への意識を取り戻しつつあるように感じられます。

米決算動向次第で日本株の下落シナリオが残る

 最後に、今週の株式市場は日本国内が選挙戦モードに突入する中で、海外では中国の7-9月期GDP(国内総生産)をはじめとする9月の主要経済指標(工業生産や固定資産投資、小売売上高など)が発表されるほか、米国ではテスラやインテル、ネットフリックス、J&Jなど、注目企業の決算発表が増え始めます。

 先ほども触れたように、先週の米株市場は、堅調な企業業績と米金利上昇の落ち着きの「合わせ技」によって、株価が反発する場面が見られたこともあり、今週も引き続き、業績と金利の組み合わせが焦点になります。

 さらに、国内の「衆議院解散から総選挙の投開票日までのあいだは株価が上昇しやすい」というアノマリーも追い風となれば、もう一段階の高い戻りを試す展開も想定されそうです。

 反対に、金利の再上昇やインフレ懸念、サプライチェーン(供給網)の混乱、中国の景気減速などの影響が、業績見通しに反映される企業が目立つようになると、再び株価が下落に転じる可能性があります。

 特に、米国では今週テスラとインテルの決算発表が予定されていますが、中国景気や半導体不足の影響を見極める材料として注目され、企業の業績期待が不安材料を払拭(ふっしょく)できるかがカギを握ります。

 米決算動向が良好であれば、日本企業の決算期待につながり、米国株の「後追い」で上昇することが見込まれる一方、業績への警戒が高まった場合には、これから本格化する国内決算シーズンを前に「先取り」で下落する展開もシナリオとしては残されているので、一応注意しておく必要がありそうです。

(土信田 雅之)

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