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業績上振れ、配当性向引き上げの両面から増配期待の高利回り銘柄

トウシル / 2021年10月21日 6時0分

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業績上振れ、配当性向引き上げの両面から増配期待の高利回り銘柄

★紹介銘柄一覧は2ページに掲載しています。

不安材料が重なり日経平均は一時大きく調整の場面

 直近1カ月(9月10日~10月15日)の日経平均株価は4.3%の下落となりました。9月14日には一時3万795円まで上昇し、2月につけた年初来高値を更新しました。

 ただ、その後は10月初旬にかけて急落、10月6日には2万7,293円まで下落し、高値からは11.4%の調整となりました。調整一巡後は10月中旬にかけてリバウンドし、下げ幅のほぼ半値戻しとなっています。

 株価が大きく調整した要因は、日経平均高値更新による達成感、中国不動産大手の恒大集団の債務問題への懸念、米連邦政府の債務上限問題に対する警戒感、原油価格上昇などに伴うインフレ懸念の高まり、岸田新内閣の政策が株式市場には逆風になるとの見方などが重なったことです。

 ただ、その後は、中国不動産大手の債務問題が金融市場に与える影響は限定的との見方が広がったほか、米債務上限問題の先送りや米長期金利の低下などで、売り方の買い戻しの動きが優勢となってきています。

 岸田総理が金融所得課税の見直しを急がない姿勢を示したことなども安心感につながったようです。なお、9月末配当権利落ちの再投資による先物買いは、今回は株価の支えにならなかった印象です。

 この期間の個別銘柄の動きとして、下げが目立ったものに商船三井(9104)日本郵船(9101)などの海運株が挙げられます。上半期末配当権利付き最終日を前に、権利落ち後の株価下落を見込んだ売りが優勢となって、権利落ち後も一段と処分売りの動きが優勢な状況です。

 再生エネルギー関連のレノバ(9519)も大きく下げました。再生エネルギー推進派の河野氏が総裁選で敗退したことで、過度な期待感が後退する状況になったようです。

 一方、原油相場の上昇を背景に、INPEX(1605)出光興産(5019)などの石油関連株が上昇しました。ほか、ドル高円安の進行が強まったことで、三菱自動車(7211)SUBARU(7270)など自動車株の堅調な動きも目立ちました。

 期間中には6-8月期の決算発表が本格化しましたが、小売株は高安まちまちの状況となり、注目された安川電機(6506)は実績値のコンセンサス下振れがマイナス視される形になりました。

当面の注目点は、主力企業の7-9月期決算やテーパリング決定後の米株動向

 今後1カ月間の注目イベントは、主要企業の7-9月期決算発表となるでしょう。関心を集めそうなのは自動車関連株になるとみられます。トヨタなどの減産の影響が警戒され、会社計画値や市場予想を下回る決算が多くなる可能性もあります。

 一方、減産がやや長期化する状況にはなっていますが、10-12月期の後半以降は、挽回生産の拡大などもあって、業績も回復に転じてくることが予想されます。決算が嫌気されて下落した局面は、押し目買いの好機になってくる可能性もあるでしょう。

 半導体関連などは引き続き好決算が見込まれますが、出尽くし感の広がりなどは注視したいところです。中国景気の減速の影響などは今後も不透明感が残るため、中国関連銘柄は決算発表前後では手掛けにくくなりそうです。

 米国では11月2~3日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、ここでテーパリング実施が発表される可能性は高いとみられます。

 すでに、来年央でのテーパリング終了、来年後半からの利上げスタートは織り込まれつつある印象ですが、正式発表を受けて、あらためて長期金利の上昇や株式市場の下落といった流れが強まるのかが焦点になります。

 仮にこうした流れが強まるのであれば、半導体関連など含めたグロース株にとっては、年末にかけてのネガティブ材料と捉えられそうです。

 国内では10月31日が衆院選投開票日になります。選挙通過後は、再度、金融所得課税の行方などに警戒感も強まる見込みです。ただ、自民党の議席数の減少度合いでは、この議論は封印されてくる可能性もあるでしょう。

 金融所得課税はもちろん、岸田政権の「分配」政策アピールは株式市場にとってやや逆風な印象を受けます。総裁選後の海外投資家の売買動向からは、改革期待なども高まっていない状況です。

 今後仮に、政策への評価が高まる方向に変化するとしても、株式市場に波及するには相応の時間が必要となってくるでしょう。

 なかでは、目先の対策としてアフターコロナに向けた需要の喚起策が期待されるものとみられ、アフターコロナ関連株などが引き続き有望であると考えられます。

 また、原油相場や資源価格の上昇基調が続いている中ではインフレ懸念も沈静化しにくく、長期金利の上昇をにらむと、全般的にバリュー株優位の状況が想定されます。グロース株に関しては、好決算発表も材料出尽くしと捉えられるケースも増えると考えます。

増配による一段の配当利回り向上が期待される銘柄群

 今後、3月期本決算企業の7-9月期決算発表が本格化してきます。業績上振れに伴う増配、株主還元強化に伴う増配のアナウンスなども多くなってくる可能性があります。

 米長期金利の先高観が残る中でバリュー株への関心も高まりそうな中、増配に対する反応は強くなってくる公算も大きいでしょう。

 とりわけ、全般的に株主還元向上への意識が高まっている中、配当性向が低水準なままの企業は政策の修正を迫られてくるものと考えられます。

 下表は、配当利回りが2.5%以上と現在でも高水準の配当利回りとなっている銘柄の中で、第1四半期の進捗率が高く、かつ、配当性向の低い銘柄をスクリーニングしたものです。

 配当性向の引き上げによる増配余地、業績上振れに伴う増配余地がともに大きい銘柄といえ、増配による一段の配当利回り上昇が期待できる銘柄と位置付けられます。

増配が見込める業績好進捗・低配当性向銘柄

コード 銘柄名 会社予想配当利回り 株価 時価総額 配当性向 純利益進捗率
9104 商船三井 8.47 6,490.0 7,829 19.7 31.1
5021 コスモエネルギーHD 3.25 2,459.0 2,085 16.7 69.8
8253 クレディセゾン 3.09 1,455.0 2,698 19.3 30.8
3941 レンゴー 2.75 874.0 2,369 19.8 41.1
5706 三井金属鉱業 2.54 3,345.0 1,917 13.1 50.7
注:会社予想配当利回り、配当性向、純利益進捗率の単位は%、時価総額の単位は億円。株価は2021年10月15日終値、単位は円。

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが2.5%以上(10月15日終値ベース)
  2. 3月期本決算
  3. 予想配当性向が20%未満
  4. 第1四半期純利益進捗率が30%以上
  5. 時価総額が1,000億円以上

※純利益進捗率…通期の純利益の予想に対する達成率。

銘柄コメント

商船三井(9104・東証1部)

▼どんな銘柄?

 海運業界で大手の一角です。2021年度末現在、グループ運航船舶規模は721隻で5,300万重量トンとなっています。

 ドライバルク船(ばら積み船)では世界最大規模の船隊を擁するなど強みを持つほか、自動車船は国内で初めて就航させ、LNG船でも世界トップクラスのシェアとなっています。

 2017年7月に、商船三井、川崎汽船と定期コンテナ船事業を統合しています。不動産事業を手掛けるダイビルなども子会社に持っています。

▼業績見通し

 2022年3月期第1四半期経常利益は1,043億円で前年同期比14.2倍と急拡大しています。つれて、通期予想は従来の2,200億円から3,500億円、前期比2.6倍に上方修正しました。

 すでに今期2度目の上方修正となります。コンテナ船における想定以上の荷動きと運賃高騰などを背景にした、持分法適用会社ONE社の収益拡大が好業績の主因となっています。年間配当金計画も期初計画の150円から550円にまで引き上げています。

▼ここがポイント

 コンテナ船事業は目先ピークアウトの可能性もありますが、第1四半期の高い進捗率(純利益は31.1%)からみて、通期計画の一段の上振れ余地は残るとみられます。現在の低水準の配当性向から見て、業績上振れ分は増配に回されると考えられます。

 上半期決算時に増配が発表されなければ、短期的に嫌気材料とされそうですが、その後の増配アナウンスを期待すれば、押し目買いの好機となり得るでしょう。

 なお、2023年3月期は収益悪化の可能性は高いですが、配当性向は30%にまで高まるとみられ、その分、減配余地は限定的にもなります。

コスモエネルギーHD(5021・東証1部)

▼どんな銘柄?

 コスモ石油からの株式移転により、2015年10月に発足した持株会社です。燃料油の国内販売シェアは12%程度と推定されます。現有処理能力は1日当たり40 万バレル程度で、千葉、堺、四日市の3製油所で展開しています。

 石油精製・販売のほかに、石油化学、アブダビ首長国での石油開発事業などを行っています。また、再生エネルギー事業なども手掛け、陸上風力発電の国内シェアは第3位です。アブダビ政府系会社が筆頭株主になっています。

▼業績見通し

 2022年3月期第1四半期経常損益は496億円の黒字で、前年同期比779億円の損益改善となりました。

 在庫の影響が536億円の増益要因となっていますが、在庫影響を除いたベースでも、石油精製マージンの改善や前期に発生した定期修理の影響解消、石油開発事業における原油高メリットなどで増益となっています。

 通期計画の880億円、前期比9.6%減、年間配当金計画80円などは据え置いています。

▼ここがポイント

 在庫影響を除いたベースでの第1四半期経常利益は会社計画を150億円程度上振れたもようであり、上半期決算発表時には上方修正が行われる可能性もあるとみられます。

 財務体質の改善も進むことで、業界内では相対的に劣っている株主還元の強化も期待できるでしょう。配当性向引き上げに伴う増配が見込まれるところです。

 また、再生エネルギー事業における大型案件獲得(由利本荘市沖プロジェクト)の有無なども注目点となります。

クレディセゾン(8253・東証1部)

▼どんな銘柄?

 流通系のカード会社ではトップの実績で、セゾンカードが主力です。2021年度は、カード総会員数は2,575万人、カード取扱高5.1兆円、新規発行枚数168万枚など計画しています。

 2004年にみずほFGと戦略的業務提携を行いましたが2019年には解消。同年、大和証券グループ本社と資本業務提携を行っています。ウォルマートや高島屋など提携カード発行先約200社などとなっています。

▼業績見通し

 2022年3月期第1四半期事業利益は188億円で前年同期比16.5%増益となりました。主力のペイメントやファイナンス事業は減益になりましたが、前年度に営業縮小を余儀なくされた不動産関連事業が回復して、全体をけん引しています。

 通期計画は520億円、前期比7.5%増としています。経済活動の再開などによって、下期には主力事業の回復も見込めるでしょう。年間配当金は前期並みの45円を計画しています。

▼ここがポイント

 経済活動再開でこれまで抑えられてきた個人消費の反動増も想定されるほか、Go To トラベルやGo To Eatなどの政策も同社などカード会社にはポジティブに作用するとみられます。政策関連銘柄として浮上する余地はあるでしょう。

 また、会社側では、余剰資本の配分として、適切な株主還元も挙げています。配当性向の引き上げとともに自己株式取得などの資本政策に対する期待も高めたいところです。

レンゴー(3941・東証1部)

▼どんな銘柄?

 国内製紙業界第3位で、段ボールでは国内シェア30%のトップ企業です。原紙から一貫生産していることが強みとなっています。フィルム系包装材料など軟包材事業、重包装用段ボール事業などが成長分野と位置付けられます。

 8月にはインドネシアにおける段ボールメーカーの株式を取得したほか、9月にはベトナムにおける段ボール原紙新工場建設を発表など、海外展開を積極化させています。8月には西日本で最大の物流拠点を開設しています。

▼業績見通し

 2022年3月期第1四半期営業利益は113億円で前年同期比18.1%増益となりました。段ボールや板紙の数量増効果が2ケタ増益決算の主因です。固定資産売却益44.8億円を計上したことで、特別利益はかさ上げされる形になっています。

 通期営業利益予想は420億円で前期比5.2%増の見通しです。エネルギー価格や古紙価格など原材料費上昇が懸念されますが、需要が旺盛な中で、値上げによる転嫁も想定されるため、下振れ余地は限定的でしょう。

▼ここがポイント

 今期は特別利益の計上もあるため、実質的な配当性向は20%を超える水準ではあります。ただ、この分を考慮したとしても配当性向は30%を大きく下回っており、配当性向の引き上げ余地は残るとみられます。

 原材料の大半が資源循環型である古紙である点など、ESGの観点では高評価がなされるでしょう。タイミングはやや早いかもしれませんが、今後の株価下落場面では、段ボールの値上げを見込んだ押し目買いも妙味になりそうです。

三井金属鉱業(5706・東証1部)

▼どんな銘柄?

 非鉄金属大手の一角となります。亜鉛精錬などの金属事業、銅箔やITO(酸化インジウムすず)ターゲット材などの電子材料、二輪車向け触媒を手掛ける機能材料事業、ドアロックを生産する自動車部品事業が主力です。

 極薄銅箔で世界シェア90%を占めるほか、二輪車用触媒でも世界で過半のシェア、MLCC(積層セラミックコンデンサ)用銅紛、ガラス基板用酸化セリウム系研磨剤、ハイブリッド車用水素吸蔵合金、ITOターゲット材なども世界トップシェアとなっています。

▼業績見通し

 2022年3月期第1四半期経常利益は212億円で前年同期比231億円の損益改善となりました。主力3セグメント全てが大幅増収増益となりましたが、とりわけ、価格上昇により金属事業の収益貢献が大きくなりました。

 通期経常利益は従来の350億円から520億円、前期比1.6%増に上方修正、金属セグメントの見方を大きく引き上げています。年間配当計画は前年度並み水準85円を据え置いています。

▼ここがポイント

 上方修正後の配当性向は13%程度に過ぎず、会社側では連結配当性向20%をメドに利益を還元する方針としていることもあって、増配の余地は大きいように感じられます。

 また、全固体電池向け固体電解質を手掛けており、今後も注目テーマになり続けるだろう全固体電池関連銘柄であることも注目点です。

 より短期的には、5Gの市場拡大によるスマホ向け極薄銅箔の拡大が期待されるところです。

(佐藤 勝己)

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