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FIREに強いのは「日本高配当株」or「米国高配当株」?初心者にもオススメ長期投資向き日米高配当株10選:桶井道さん

トウシル / 2021年12月7日 12時4分

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FIREに強いのは「日本高配当株」or「米国高配当株」?初心者にもオススメ長期投資向き日米高配当株10選:桶井道さん

FIREに強い日米高配当株は?

執筆:桶井 道(おけいどん)

 こんにちは、桶井 道(おけいどん)と申します。投資歴23年、日米を主に世界17カ国と地域の増配株および高配当株をメインに投資しています。2020年秋、資産約1億円と共に47歳でFIRE(Financial Independence、Retire Early:経済的自立と早期退職)しました。

 この記事をお読みくださる方の多くが、FIREや資産形成にご興味のある方であると思います。そこでまずは、FIREに向かうにはどのような資産形成をすればいいのか、私なりの考えを記述しておきたいと思います。

FIRE達成の条件

 普通に労働して、普通に消費(支出)して、普通に貯蓄して、普通にFIREする、それは100%無理です。人より稼ぐか、人より節約するか、その両方がベターなことはいうまでもありません。

「FIRE」という響きに華やかなイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、そこに至る過程は華やかとは真逆です。非常に地味な道のりを歩むメンタルが必要です。華やかな生活を求めるとしたらFIRE後ということになります。

 そして、FIREには投資が必須です。

 よほどの稼ぎがない限り、貯金だけでFIREすることは難しいでしょう。それは定期預金の利率が実質0%だからです。

 ではどこに投資するべきなのでしょうか。株式投資、不動産投資、FX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨などいろいろとありますが、私が考えるに、会社員には株式投資、それも長期投資がお勧めです。

 不動産投資は素人には難しく、大きな資金が必要であり、かつ流動性の問題(すぐに売買できない)もあります。

 FXはゼロサムゲーム(誰かがもうけると誰かが損する)であり、常に相場に向き合う必要もあって仕事をしながらでは困難です。

 仮想通貨はボラティリティーが高く(値動きの上下幅が大きい)、大きな資産を託すことができません。

 では、株式投資はどうでしょう。株式投資なら小さな額から始めて経験を積みながら、投資額を大きくすることができます。この方法なら、難しい銘柄に手を出して常に株価を見なければならないということがなく、主要銘柄に投資して、ほったらかしでも資産を増やすことができます。一獲千金を狙うのではなく、年月と複利を味方にして、じっくりと資産形成していきましょう。

 ポイントは、難しい銘柄に手を出さない主要な銘柄を選びほったらかし投資するということです。

 難しい銘柄に手を出すべきではない理由があります。まず、日本株の中小株は大きくもうけるポテンシャルがある半面、リスクが高く株価が半分になる危険性を伴います。

 そして米国株では、わざわざマイナーな銘柄を探さなくとも時価総額が大きなメジャーな銘柄でも株価は成長しますし、増配も望めます。

FIRE実現者が高配当・増配株へ投資する理由

 私の投資法は、世界各国の高配当株および増配株をメインに長期投資し、配当金を再投資するスタイルを取っています。

 私が配当金を目当てとした投資をする理由は、FIREの生活費とするためです。成長株に投資して、取り崩しながら生活するというのは、株価が軟調な展開ではメンタル負荷が大きいと考えます。

 また、株価下落局面では配当金が心のクッションともなります。配当金は、四半期ないし半期ごとに、自動的に入金されてきますし、入金額がある程度読めます。このスタイルであれば、生涯にわたり出口戦略を考える必要がなく、FIRE生活にも老後生活にも親和性があります。

 私は現在、世界17カ国と地域に投資しています。その中で、メインとなるのは日本株と米国株です。日米の企業をメインとして、そのほかの国では、主に世界で稼げる企業を選んでいます。

 ここで、2022年以降の長期投資にふさわしいと私が考える日米の高配当・増配株5銘柄ずつを、お勧め理由とともに挙げてみましょう。

長期投資にふさわしい日本の高配当・増配株

長期投資向けの高配当・増配の日本株1:三菱商事(8058)

 5大商社のエース格。世界中でビジネスを展開しています。

 資源高による好業績である面もありますが、非資源事業も育成しています。

 2050年度には温暖化ガス排出量実質ゼロとの計画を発表しました。低炭素・脱炭素への取り組みで、2030年度までに2兆円を投資します。

 減配せず、業績に合わせて増配する「累進配当政策」を掲げていることを評価しています。

 2020年3月期および2021年3月期(予想)のコロナ禍でも増配しています。2021年11月5日の上期決算発表では、2022年3月期の配当金は8円増配(予想)の142円としています。2017年度の110円から約30%増です。

長期投資向けの高配当・増配の日本株2:日本電信電話(9432)

 2020年にNTTドコモを傘下に収めて、国内通信最大手の地位をさらに固めました。通信事業は、有線通信および無線通信(携帯)ともに、電気、ガス、水道と同じくインフラ事業であることから、手堅い投資先です。

 菅前政権下では、値下げ圧力がネガティブ要素ではありましたが、岸田政権となり、その逆風が弱まりました。

 また、直近では金融など非通信事業も成長しており、携帯電話の格安プラン「ahamo」も好調です。

 これまで増収増益基調でしたが、2021年10月25日に発表された中期経営戦略は素晴らしい内容でした。数値は記述されていませんが、さらなる増配に期待が持てる内容です。

 なお、コロナ禍でも増配を維持しています。連続増配年数は10年、2021年度も増配予想で11年に伸びる見込みです。2021年度配当予想は110円と2015年度の55円から6年間で2倍です。

長期投資向けの高配当・増配の日本株3:三井住友FG(8316)

 メガバンク3行のなかで効率性はトップとされます。主要事業である三井住友銀行では、店舗を訪れると改革が実感できます。数年前とずいぶん姿を変え、次世代型店舗に生まれ変わっています。

 私は、経営改革、店舗改革、業務改革、意識改革が進んでいることを評価しています。「累進配当政策」を取っており、前年以上の配当を維持することを宣言しています。

 従来から、コロナ禍においても増配予想を出し、2021年11月12日に発表した2021年度上期決算では、さらに増配としています。2021年度配当予想は210円と2011年度の100円から10年間で2倍以上です。

長期投資向けの高配当・増配の日本株4:オリックス(8591)

 リース会社の枠を大きく超えて、リース、保険、環境エネルギー、不動産など10の事業を国内外に幅広く展開しています。コロナ禍の厳しい中、2020年度決算で、全10事業で黒字を果たしました。

 配当は増配基調で、コロナ禍でも一時的に配当性向を上げることで増配しました。故に株主還元意識は評価できます。

長期投資向けの高配当・増配の日本株5:積水ハウス(1928)

「せきす~いはうす~♪」というTVコマーシャルでおなじみの大手ハウスメーカーです。戸建住宅、分譲住宅、賃貸住宅、リフォーム、マンション、都市再開発、ホテル事業、海外での住宅販売などを手掛けています。

 業績は、増収増益基調となっています。配当は10期連続増配(予定)です。コロナ禍においても、2021年1月期、2022年1月期(予想)と連続増配となっています。2022年度の配当予想は88円と2011年度の21円から10年間で4倍以上です。

長期投資にふさわしい米国の高配当・増配株

長期投資向けの高配当・増配の米国株1:プロクター・アンド・ギャンブル(PG)

「アリエール」「ボールド」「レノア」「ファブリーズ」「SK-Ⅱ」など誰もが知る、あなたの家にもきっと商品があるP&G社です。まさに世界中で通用するブランドです。

 世界の人口が増加することから日用品の消費も増えますから、市場拡大が見込めます。日用品ですので、不況に強く業績の安定が見込めます。65年連続増配と圧倒的な増配の歴史を誇ります。かつ株価も成長しています。

長期投資向けの高配当・増配の米国株2:BCE(BCE)

 カナダの通信大手BCE社です。固定電話、携帯電話、メディア事業をしています。インフラ事業のため景気に左右されず安定し、高配当かつ増配株です。

 M&A(合併・買収)を背景に規模を拡大して成長しており、それが増配の源泉となっています。つまり、無理な増配ではなく裏付けのある増配です。

 長年、株価は40~48ドルのボックス相場でしたが、2021年初夏以降に少し上振れしていますので、それをどう読むかです。13年連続増配です。株主還元意識が高い企業であると評価できるでしょう。

長期投資向けの高配当・増配の米国株3:トロント・ドミニオン銀行(TD)

 カナダの5大銀行の一つ、トロント・ドミニオン銀行です。カナダおよび米国にて事業をしています。

 純資産ではカナダ最大、北米では6位の地位と大手です。これまで増収増益でEPS(1株当たり利益)もきれいに伸びていますリーマン・ショックでも増配した実績があり、長年にわたり増配基調であることを評価しています。

長期投資向けの高配当・増配の米国株4:タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)

 TSMC社の日本進出報道でにぎわったことは記憶に新しいと思います。

 世界時価総額ランキング11位(2021年11月末日現在)の巨大企業です。世界トップの半導体製造技術を有し、半導体受託製造の世界シェアが半数以上を占める企業です。あなたのiPhoneにも同社の半導体が入っており、意外と身近な企業といえます。

 世界一の微細化技術を有するため価格競争に巻き込まれず高収益で、2020年12月期の決算で営業利益率は42.3%です。そして、世界的に半導体需要は拡大していきます。

 従い、高利益率×寡占シェア×市場拡大という計算をすると、株価成長のポテンシャルを感じます。

 配当金は2003年から出し始めて増配を重ね、これまで減配したことはありません。数年前まで高配当株でしたが、株価成長により配当利回りは下がってはいるものの、長期保有で高配当化を期待したいところです。

長期投資向けの高配当・増配の米国株5:SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF (RWR)

 米国REIT(リート:不動産投資信託)です。私は、株式のみではなくアセット分散としてREITにも投資しています。不動産といえば、家賃(=分配金)でもうけるイメージがありますが、株価も上がっています。

 米国不動産から家賃(=分配金)をいただきながら、物件価格(=株価)も少しずつ上がっていくというイメージで投資しています。

FIRE生活には日本高配当株、米国高配当株、どちらが魅力的?

 いかがでしょうか。魅力を感じる銘柄はありましたでしょうか。これら銘柄に共通する魅力は増配です。

 長期保有によって、配当利回りが上がっていくことが期待できます。また、株価上昇が期待できる銘柄もあり、増配と株価上昇で二度おいしい投資になります。

 日本と米国の高配当(増配)銘柄を5つずつご紹介しましたが、FIRE生活には「日本高配当株」or「米国高配当株」のどちらが魅力的なのでしょうか。私は、一長一短あると思います。

日本株のメリット・デメリットは?

 日本株は、配当金に対して税金面が有利で、確定申告で配当控除を受けると、多くの税金が還付されます(所得額による)。

 これは、これから与党の税制調査会で議論が始まろうとしている、金融所得課税の見直しによって30%に増税された場合、より存在感を増すでしょう。大型株で高配当株、増配株があることは魅力です。

 残念な点は、日本は少子高齢化による人口減少国であるところです。経済発展においては不利です。

 しかしながら、海外で稼ぐ企業が増えており、コロナ禍が明ければ再びインバウンド景気も戻るでしょうから、そういう銘柄を探すことがポイントだと思います。

 あとは、単元株制度により、投資にまとまったお金が必要になるケースが多い点が不満です。

米国株のメリット・デメリットは?

 それに対して、米国株は、優れた成長率と株主還元を持ち合わせています。経営者が、株価を上げようとする努力、自社株買いや増配しようとする努力は世界一といえるでしょう。

 また、米国は、人口増加国であり、それが国の成長につながります。通貨、最先端技術によるイノベーション、軍事、経済などで世界の覇権を握っている強さもあります。

 それらが、素直に株価にリンクしているといえます。

 また、日本株のような単元株制度がなく、少額から投資できるのは魅力です。

 ただし、税金面では不利なことは否めません。配当金には、米国において10%課税され、会社員には外国税額控除による節税効果がありますが、FIREすると限定的です。かつ、日本においても約20%課税され、配当控除は適用外です。金融所得課税がもし30%になれば、さらに不利になります。

高配当・増配の日米大型株メインの長期投資で賢いFIRE生活

 私の結論としては、日米をメインとする高配当株および増配株で、中でも大型株を選ぶということです。

 日米以外では、世界で稼げるビジネスモデル、もしくは、その国の中でビジネスシェアが1位である銘柄を選びます。日本にも米国にも偏らず、ひとつの銘柄を多く持たず、世界にバランスよく投資することでリスク分散するということです。

 冒頭にも記述したように、自分独自の銘柄を、中小型株の中から発掘しようとする必要はありません。そういうことをして当てれば楽しいです。テンバガー(10倍株)になれば快感です。しかし、一度それを経験できたとしても再現は厳しいでしょう。

 私も日本の中小株に投資してもうかることもありましたが、やけどをすることもありました。米国小型グロース株で1日にして焼かれたこともあります。投資に射幸性は求めないことです。

 主要銘柄に長期投資して、ほったらかす、年月を味方にして複利で運用する、これに尽きるといえるでしょう。

イラスト:いぢちひろゆき

桶井 道(おけいどん)さんプロフィール
会社員生活25年間で約1億円の資産を築き、2020年秋にFIRE達成。投資歴23年の現在は、投資家兼執筆家としてブログ「おけいどんの適温生活と投資日記」のほか、各種メディアにも寄稿。投資先は日米を主に、世界17カ国・地域の増配株および高配当株、一部成長株にも投資する「地球儀投資」。父親の介助、子ども食堂のボランティアもしている。初の著書『今日からFIRE! おけいどん式 40代でも遅くない 退職準備&資産形成術』(宝島社刊)が好評。
Twitter:@okeydon

(トウシル編集チーム)

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