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トヨタ自動車、2023年3月期減益へ。原材料高響く

トウシル / 2022年5月12日 12時22分

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トヨタ自動車、2023年3月期減益へ。原材料高響く

2023年3月期減益予想を嫌気

 トヨタ自動車は11日、2023年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比19.9%減の2兆4,000億円となる見通しを発表した。販売拡大を見込むが、原材料価格の上昇が大きく響き利益を押し下げる。

 11日の株価は一時5.9%安の2,050円50銭まで下げ、終値は前日比4.4%安の2,082円だった。業績見通しが市場予想を大きく下回ったことが嫌気された。12日始値は2,050円。午前は2,100円前後で推移している。

 2023年3月期の営業収益は5.2%増の33兆円を予想。連結販売台数は、7.5%増の885万台に設定した。日本や北米など全地域で販売を伸ばす。純利益は20.7%減の2兆2,600億円を予想。業績予想の前提となる為替レートは1ドル=115円とした。

 楽天証券経済研究所の窪田真之は「為替レートの前提が保守的」と指摘。現在の為替相場は1ドル130円前後で推移しており、海外事業の収益が大きい同社にとって円安は利益押し上げにつながる。

 同日発表した2022年3月期の営業利益は前の期比36.3%増の2兆9,956億円と過去最高を更新した。営業収益は15.3%増の31兆3,795億円、純利益は26.9%増の2兆8,501億円だった。

 期末配当は1円増配し28円。2021年10月に株式分割を実施しており、年間で実質4円増配となる。2,000億円を上限とする自己株買いも発表した。このうち、1,000億円はより機動的に取得する枠として設定した。

決算会見の一問一答

 トヨタ自動車の近健太取締役副社長、前田昌彦執行役員副社長、長田准執行役員、山本正裕経理本部長は11日、オンラインで決算会見を開いた。会見での主なやり取りは次の通り。

__2022年3月期の営業利益は過去最高を更新した。決算の評価は。

 1年間の実績ではあるが、(リーマン・ショックのあった2009年3月期以降)13年間かけて損益分岐台数を下げてきた成果だと感じている。今日より明日と体質を変えてきたことの積み重ねが表れた決算だった。

__原材料高の影響が収益の大きな負担となっている。

 2023年3月期は、原材料の高騰による営業利益の下押し影響を1兆4,500億円と見込む。過去に例がないレベルだ。2022年3月期も6,400億円と大きかったが、それを倍以上超える。1兆4,500億円の内訳は海外と日本の事業体で半分ずつであり、円安の影響ということではない。

 仕入先と一体となり、どのように対応していくかを考えていく。価格が高騰している材料の使用量を減らしたり、安価な材料に替えるなどの取り組みを進める。引き続き年間3,000億円の原価改善活動などを行い、ぐっと力を入れなければいけないのは事実。危機感を持って取り組んでいきたい。

__2023年3月期の世界生産(トヨタ・レクサス合計)を前期比13%増の970万台に設定した。

山本 昨年は計画に対して減産が度重なった。昨年の状況を踏まえ、安全と品質を守るという原点に立ち戻って見直した。この計画を基準に1年間進めていく。コロナや半導体供給不足の影響など、現時点で分かっていることを織り込んだ。

__原材料価格高騰を受け、海外メーカーでは価格転嫁に踏み切る動きもある。

長田 トヨタはグローバルにフルラインアップで展開する自動車メーカー。地域によっては日常の足としてクルマを使っているお客さまがたくさんいるため、原材料価格が上がったことで商品価格を上げるのは難しい問題だと思っている。(値上げが)できるのか、厳しいのか、ということは各地域とラインアップごとにきめ細かくみて決めていきたい。

__連結子会社である日野自動車の排ガス不正問題について。

 皆さまにご迷惑をお掛けし、信頼を失ってしまったことは残念なことで、本当に申し訳ない。親会社の監督責任として、お客さまやステークホルダーの信頼を取り戻す努力を支援し、一緒に取り組むことが務めだ。

__電動化時代に競争力をどう維持していく。

前田 競争力とは、お客さまに選んでいただけるかがポイント。事業を展開する地域それぞれでお客さまの声を聞き、(世界一ではなく)「町いちばん」を目指す活動に力を入れてきた。現場に近いところでお客さまの声を聞くことで人材育成や体質改善が進み、それがお客さまに選んでいただく競争力につながると思う。

 今後は、ソフトウエアの商品性がより強く加わっていく。多様化したお客さまの価値観や使われ方に寄り添ってクルマづくりを進めることが、将来の競争力にもつながっていく。

__2023年3月期の市場見通しは。

長田 グローバル全体では、コロナからの回復が相当なプラス要因だ。一方、マイナス要因は原材料高やインフレ、インフレが生活に及ぼす影響など。ウクライナ情勢の不安や、半導体を中心とした供給制約もある。プラスとマイナスが混ざりながら進むだろう。

 地域別では、中国と米国の市場が2022年3月期を若干上回っていくとみている。日本とアジアはプラスマイナスゼロの2022年3月期並み。最も難しいのは欧州で、エネルギーや原材料を含めロシア、ウクライナ情勢の影響がかなりある。

 経済や景気に影響が及び、リスクが上回るのでは。欧州マーケットは全体的に下回るとみている。これらは現段階の予想で、刻々と変わる状況に対応していく。

(トウシル編集チーム)

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