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日本株は要らない?米国株&日本株「ダブル積立」が資産形成に良いと考える理由

トウシル / 2022年8月4日 7時47分

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日本株は要らない?米国株&日本株「ダブル積立」が資産形成に良いと考える理由

 私は、米国株も日本株も長期的に良い買い場を迎えていると判断しています。短期的な下値不安は払しょくできませんが、時間分散しながら投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると思います。投資方法として、米国株と日本株両方に積み立て投資していくのが良いと思います。

米国株をグロース投資のコアに

 いつもは日本株の投資判断を中心に書いていますが、今日は最初に米国株の投資魅力について私の考えをお伝えします。米国株は、グロース(成長株)投資のコア(中核)として投資していくべきと考えています。これには五つの理由があります。

【1】米企業が世界のITインフラを支配

 GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック<メタ>・アップル・マイクロソフト)など世界のITインフラを支配する企業は、米国に集中しています。今後、世界でAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)による技術革新が加速するに従い、米IT大手の成長が続くと考えられます。

 GAFAMと比較すると、日本のIT大手の業績はさえません。世界標準を取ることができず、狭い日本で過当競争に陥り、収益が悪化している例が増えています。

 中国には、アリババやテンセント、バイドゥなど、中国市場を支配して巨大化したIT企業があります。ただし、米IT大手のように、世界のインフラを支配する力はありません。

【2】シェール・オイル&ガス革命の恩恵が米国に大きい

 米国はかつて、世界最大の原油輸入国でした。ところが、シェール・オイルの増産が続き、2018年には世界最大の産油国となりました。かつて採掘することができなかったシェール層から大量のシェール・オイル&ガスを産出するようになった効果はとても大きく、米国経済の競争力を高めました。その恩恵が、今も続いています。

【3】移民パワーが、米国の成長力を高めてきた

 ドナルド・トランプ元大統領が「移民拒否」を打ち出し移民が入りにくくなる懸念が一時出ていました。それでも米国が世界でもっとも移民を受け入れてきた国で、これからも移民無しでは成り立たない国であることに変わりはないと思います。

 移民は当初、低賃金の労働力として米国経済を支え、一定の貯蓄をつくると有効需要(消費)の拡大に寄与します。また、米国発の巨大ITベンチャーの創業者に移民が多いことからもわかるように、米国経済の発展に移民は多大な貢献をしてきました。

【4】資本主義、民主主義を重視する国であること

 トランプ元大統領が「保護貿易、反グローバリズム」を打ち出したことで、米国が資本主義から遠ざかっていく懸念が一時出ていました。それでも、世界中の資本主義国と比較すると、米国がもっとも規制が少なく自由な競争経済を実現している事実に変わりはありません。

 資本主義・民主主義は、株式投資でパフォーマンスを得ていくのに必要な仕組みです。それを守っている国である米国は、グローバル投資のコアとして外せないと思います。

【5】米国には世界中の成長企業が上場している

 米国に投資するだけで、世界中の成長企業の多くに投資することが可能となります。なぜならば、米国には世界中の成長企業が上場しているからです。例えば、中国のIT大手アリババも、米国で最初に上場して時価総額を大きく伸ばしました。

 米国上場は、世界中の成長企業が目指してきたことです。米国が世界の金融の中心で、成長企業に潤沢な成長資金を提供できるからです。

NYダウは過去32年日経平均を上回るパフォーマンスを実現

 日経平均株価がバブル相場で最高値(3万8,915円)をつけた1989年12月末から比較すると、日米の株価パフォーマンスには圧倒的に大きな差がついています。

<日経平均・NYダウの動き比較:1989年末~2022年8月(2日)>

(出所:1989年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成)

 上のチャートを見ると、ダウ工業株30種平均(NYダウ)がバブルのように見えますが、そうではありません。バブル相場では、利益を無視して夢だけで株価が上昇しますが、NYダウは利益を無視して上昇してきたわけではありません。1株当たり利益の増加を反映して、上昇しただけです。

 株価の割安度をはかる代表的な指標にPER(株価収益率)があります。1株当たり利益の何倍まで株価が買われているかを示します。世界各国の主要株価指数は、だいたいPER10~20倍の範囲で評価されてきました。米国株のPERは、だいたい13~22倍の範囲で推移してきました。現在17~18倍で評価されているので、割高感はありません。

 ただ、よく見ると、NYダウも32年間継続して上昇相場だったわけではありません。株価が大きく上昇したのは、1990~2000年までの10年と、2010~2020年までの10年です。その間の10年(2000~2010年)はほぼ横ばいで上昇していません。2回の暴落(ITバブル崩壊とリーマンショック)に見舞われたことが影響しています。

 ただし、2010年以降、米国株は利益も株価も継続的に上昇してきました。シェール・オイル&ガス革命、世界のITインフラ支配、大型減税などによって、米国企業は利益を拡大させ、それに伴って株価が上昇してきました。

米国株&日本株両方に積立が良いと思う理由

 ここまでの話を聞くと、「日本株に投資しても仕方ない、米国株だけでいい」という印象を持たれた方もいるかもしれません。

 しかし、私は日本株と米国株両方に分散投資した方が良いと思います。バブル崩壊を乗り越え、構造改革を経て、財務・収益力が格段に改善して割安になった日本株は、ここから投資妙味が高くなると考えています。

 日本株と米国株に対する、私の基本的な考えは以下の通りです。

◆日本株 バリュー(割安)株の宝庫。今後はアジアで成長するグロース(成長)株が増えると予想。
◆米国株 グロース株の宝庫。今後も世界の成長をけん引。バリュー株もあるが少ない

 株式相場では、バリュー優位、グロース優位が歴史的に交互に繰り返してきています。バリュー・グロースに分散、国別では日本株・米国株に分散投資することが、長期的に安定的な資産形成につながると考えています。

 さきほど、日経平均とNYダウの1989年以降の比較をお見せしました。日本株のバブル崩壊期を含むため、日本株は米国株に大きく負けています。ただし、日本株がバブル崩壊を経て復活した2013年(アベノミクス開始)以降で比較すると、日米ともほぼ同じ上昇率です。

<日経平均・NYダウの月次推移比較:2012年末~2022年8月(2日)>

(出所:2012年末の値を100として指数化、QUICKより作成)

 厳密にいうと、日経平均の方が少しだけNYダウより上昇率が高くなっています。ただし、NYダウは近年は米国を代表する指数と言えなくなっています。構成銘柄が30銘柄しかなく、米国株をけん引しているハイテク株の組み入れが少ないからです。

 米国の主要大型株で構成されるS&P500種指数の方が、より米国株全体の動きをよく表しています。アベノミクススタート後の日経平均をS&P500と比較すると、S&P500の方が少しだけ上昇率が高いことがわかります。

<日経平均・S&P500の週次推移比較:2012年末~2022年8月(2日)>

(出所:2012年末の値を100として指数化、QUICKより作成)

 このように、2013年以降で見ると、日本株と米国株の上昇率に大きな差はありません。私は今後10年で見ても、大きな差はつかないと予想しています。

 したがって、特徴の異なる日米2カ国の株式に、ダブルで積み立て投資していくことが、長期で安定的に資産形成をはかっていくのに有効と考えています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2022年8月3日:NISAとつみたてNISA、どちらが良い?徹底比較
2022年4月19日:S&P500・日経平均、荒れ馬を乗りこなす「積み立て投資術」、ドルコスト平均法が効く

(窪田 真之)

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