牛丼の吉野家がホームラン狙いをやめる理由 短期間で新商品を次々と投入する戦略に

東洋経済オンライン / 2017年4月13日 8時0分

吉野家は今後、新商品の投入サイクルを早めることで客を呼び込む戦略にシフトする(記者撮影)

やはり牛丼単品の商売では競争に打ち勝つことはできないのか。

牛丼の吉野家やはなまるうどんなどを運営する吉野家ホールディングスは4月11日、2017年2月期の決算を発表した。売上高は1886億円(前期比1.3%増)、営業利益は18.6億円(同15.6%増)。はなまるうどんを軸とした積極出店、米国産牛肉の仕入れ価格低減による原価率改善が寄与し、増収増益を確保したものの、期初予想の売上高1930億円、営業利益34億円を大幅に下回る決算だった。

決算会見に登壇した河村泰貴社長は「計画未達となった最大の要因は、吉野家の冬場の売り上げが計画に届かなかったこと」と説明した。主力業態である吉野家の既存店売上高は通期で0.1%増とほぼ前年並みで、会社の期初計画である4.5%増には届かなかった。

■誤算は「牛すき鍋膳」にあった

四半期ごとに見ればチャンスはあった。復活した豚丼の値引きキャンペーン(4月)を実施した第1四半期(3月~5月)、ソフトバンクユーザーに金曜日限定で牛丼を無料提供するキャンペーン(10月)を実施した第3四半期(9月~11月)は前年同期を上回っている。

だが、誤算は「牛すき鍋膳」を投入した後の第4四半期(12月~2月)だった。牛すき鍋膳は2013年に発売しヒットした商品。導入4年目となる2016年は野菜を増量し、持ち帰りもできるようにするなど工夫を凝らした。

加えて、吉野家初となる地域別メニュー「ご当地鍋」を5種類も発売したが「(暖冬の影響で不振だった)2015年度の販売数を大きく上回ることはできなかった」(河村社長)。

そのほか、ステーキのどんやフォルクス、しゃぶしゃぶ どん亭などを運営するアークミールの既存店も、前期比6.1%減と落ち込んだ。

2018年2月期は売上高2020億円(前期比7.1%増)、営業利益44億円(同135.9%増)とかなり強気の計画を掲げる。原材料である牛肉の仕入れ価格が前期比でさらに低下することにより、原価率は1.3%の改善を見込む。

前提となっているのは、やはり既存店売上高が前年を大幅に上回ることだ。吉野家は2.4%増を計画、吉野家以外の主要3チェーンの前提も前期並みと、掲げるハードルは低くない。

既存店をどうやって伸ばすのか。今期は商品の改廃サイクルを早める構えだ。従来、吉野家は半年に1回程度、「麦とろ牛皿御膳」「牛すき鍋膳」といった大型商品を投入する、いわば「ホームラン狙い」の戦略だった。ともに過去のヒット商品だが、前期はそれぞれ導入2年目、4年目を迎え、効果も限定的だった。

■ライバル社は先を行く

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