セイコーの時計から「SEIKO」ロゴが消えた日 高級ブランドの育成に本腰、スイス勢に対抗

東洋経済オンライン / 2017年5月14日 8時0分

だが今回の戦略変更で、グランドセイコーは高級品に特化したブランドとして、他のセイコーブランドから切り離された。「セイコー」ではない独立ブランドの証しとして、グランドセイコーの文字盤から「SEIKO」のロゴが取られたというわけだ。

以前はクレドールやガランテとの重複を懸念して手を出していなかったドレスウォッチやスポーツウォッチにも、「グランドセイコー」として進出する。用途という縛りがなくなっていく。

グランドセイコーとしての具体的な収益目標は明らかにしないが、東京五輪が開催され日本ブランドへの注目が集まるであろう「2020年までに結果を出したい」(萩原副本部長)という。現在、グランドセイコーの売上高の多くは国内で稼いでいる。ゆくゆくは「海外の売上高比率を半分以上にするのが目標だ」(同)。

海外での存在感を高めるため、グランドセイコーなどを販売する専門店「セイコーブティック」を今後増強する。2017年4月現在では33ヵ国で75店舗を開いているが、2~3年以内に海外を中心に出店し100店舗まで拡大する方針だ。

特に重視するのが米国と香港。米国では現在ニューヨークとマイアミに2店舗を構えるが、新たに2店の新設を計画する。香港ではすでに5店舗を持つ。現地の人のみならず、香港に来る中国人観光客の需要も見込める。

一方、ライバルのシチズン時計は、自社の「シチズン」ブランドにはない商品ポートフォリオをM&Aで拡充する「マルチブランド戦略」を打ち出す。自社ブランドで高級品の割合を高める、というセイコーの戦略とは正反対だ。

■競合・シチズンは正反対の戦略

シチズンは2008年に米国の中価格帯ブランド「ブローバ」を、2016年には20~50万円程度の価格帯で展開するスイスメーカー「フレデリック・コンスタント」を買収するなど、製品群の拡大に力を入れる。

同社の戸倉敏夫社長は「ブランドにはそれぞれに適した価格帯がある。背伸びをするとすぐに売れなくなる」と話す。各々の立ち位置ですでにノウハウを持つブランドを取り込むほうが得策、というのがシチズンの考え方だ。普及価格帯のスウォッチから高級品のオメガまで持つスウォッチグループのような形といえよう。

対照的な海外戦略を進めるセイコーとシチズン。両社ともまだ道半ばだ。軍配はどちらに上がるのか。

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