ナイキがマラソン"新記録"を引き出せたワケ "亀田劇場"以上にすごかった「BREAKING2」

東洋経済オンライン / 2017年5月20日 8時0分

左から、レリサ・デシサ(エチオピア)、エリウド・キプチョゲ(ケニア)、ゼルセナイ・タデッセ(エリトリア)(写真:ナイキ公式ホームページより)

インターネットTV「AbemaTV」の1周年記念企画「亀田興毅に勝ったら1000万円!」が大きな盛り上がりを見せた。元プロボクシング世界3階級王者の亀田興毅氏に一般公募で選ばれた4人が挑むという企画だ。純粋なスポーツとは違うが、筆者も興味深くネット観戦させていただいた。純粋にドキドキしたし、面白かったと思っている。

だがGW中には、“亀田劇場”以上にすごいスポーツイベントが開催されたのをご存じだろうか。それが、スポーツメーカーのナイキが仕掛けた「BREAKING2」だ。

■フルマラソン「2時間切り」を目指すプロジェクト

フルマラソンで「2時間切り」を目指すプロジェクトで、リオ五輪男子マラソン金メダリストのエリウド・キプチョゲ(ケニア)、ハーフマラソン世界記録保持者のゼルセナイ・タデッセ(エリトリア)、ボストンマラソンで2度優勝しているレリサ・デシサ(エチオピア)の3人が、科学的サポートを受けながら、“未知なる領域”にチャレンジしたのだ。

フルマラソンの世界記録は2時間2分57秒。2時間切りは無謀な挑戦かと思われたが、筆者の想像を上回る走りを見せた。それも、すべてが規格外ともいうべき“特殊環境”のなかで。5月6日にイタリア・モンツァで開催されたレースのもようはネットやナイキのフェイスブックページで世界中に公開。ツイッターの投稿を見るかぎり、日本人の視聴も多かった。

涼しい時間帯を選び、レースは現地時間の朝5時45分にスタート。スピードダウンを抑えるために鋭い曲がり角の少ない1周2.4kmのサーキット場(17周)で行われ、周囲の木々が風を防いだ。わずか3人の挑戦者に対して、ペースメーカーは合計30人ほど。通常のレースとは真逆ともいえる“グループ構成”が組まれた。

レースは常時、黒のランニングシャツ(ランシャツ)姿のペースメーカー6人が誘導。3人が横1列で引っ張り、他の3人が2列目を走る。最後尾に挑戦者という隊列だ。ペースメーカーは入れ替わるが、独自の隊列は変わらない。常時、時速20kmを超えるスピードで進むため、風の抵抗も大きくなるものの、6人のランナーが向かい風をガードした。

先頭が変わることもあり、ペースが安定しない場面もあったが、2列目の3人が“緩和剤”の役割を果たす形で、挑戦者のペースが一定になるように調整。さらに自転車に乗ったスタッフが給水ボトルを手渡すなど徹底的にサポートした。

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