三菱自動車にのしかかる「日産流改革」の重圧 主要部門の執行役員が軒並み日産出身者に

東洋経済オンライン / 2017年6月20日 8時0分

5月に三菱自動車の愛知拠点を初訪問したゴーン氏。社員との対話集会で叱咤激励した(記者撮影)

軽自動車の燃費不正問題が発覚してから1年強。日産自動車の実質傘下で再出発した三菱自動車は、6月23日、新体制発足後初めての定時株主総会を開く。株主たちはどう評価するのか。

「三菱自動車に欠けているのは、利益ある成長。業績向上のために改革が必要だ」。昨年末に会長に就任したカルロス・ゴーン氏は5月中旬、愛知県の生産・開発拠点を初視察し、約400人の社員たちに奮起を促した。

日産・ルノー連合の一員となった三菱自動車には、収益面での貢献が当然求められる。ゴーン氏は2019年度までの販売目標として、2016年度比35%増となる125万台の達成を課した。

■執行役員の4分の1が日産出身者に

日産は三菱自動車に出資した昨秋以降、主要部門の要職に自社の幹部を次々と送り込んでいる。現在は三菱自動車の執行役員27人のうち、7人が日産出身者だ。

今回の株主総会では、執行役員から社長を選任できるよう定款変更を提案する。日産出身者も社長に就きやすくするためとみられる。

現場には早くも“日産流”が広がる。外国人役員がトップに就いた海外営業部門では「営業目標がロジカルで緻密になった」(若手社員)。根拠の薄い数値目標を「気合い」でこなした以前に比べると、やるべきことが明確になったという。

人事を率いるのも日産出身者だ。透明性に欠ける評価体系を変える。「優秀な人がきちんと昇進できているのか、体質チェックをしているようだ」(日産関係者)。

不正を起こした開発部門でも、従来五つあった部長級以上の階層を三つに減らすなど、組織改善を進めている。日産出身の山下光彦副社長は、「日産の手法を積極的に取り入れた」と話す。

三菱自動車は2000年と2004年に相次いでリコール隠しが発覚し、経営が悪化。多数の技術者をリストラした。慢性的な人手不足が続き、燃費不正問題の遠因となった。会社側は、海外拠点の人材活用や外注により、「ギャップがほぼ埋まりつつある」(山下氏)と説明する。

■日産からのプレッシャーが強い

しかし前出の社員は、「開発現場では不正発覚後に多数の人が辞めたうえ、新体制発足後にやることが増えた」と明かす。現場の負荷が軽減されたとはいいがたい。「早期の業績回復を求める日産からのプレッシャーが強く、社員の意識改革が二の次にならないか」と懸念を示す幹部もいる。

国土交通省は三菱自動車に対し、改革の進捗について四半期ごとの報告書提出を求めている。斧田孝夫審査・リコール課長は「三菱自動車は大きな十字架を背負った。企業文化が変わり、社員の法令順守意識は高まるのか、今後も注視する」と話す。

日産流改革は三菱自動車で本当に機能するのか。業績を引き上げることだけが、成功ではない。

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