赤字の都バス、「稼げない路線」は何が違うのか 収支で見る、知られざる都バスの正体

東洋経済オンライン / 2017年7月17日 8時0分

品川の入国管理局に向かう「品99」路線は年間2億円もの黒字を稼ぎ出す、高収益路線だ(記者撮影)

東京都バス、最長路線の「梅70」。都バスファンなら1度は乗ったことがある長距離路線だ。青梅駅にほど近い青梅車庫前から、東京都小平市の花小金井駅北口まで約30キロメートルを、2時間弱をかけて走っている。

実際に乗ってみると市役所や病院など一部の停留所は乗降客でにぎわうものの、大半の区間では空席が目立つ。この路線は都バスでは最も赤字が大きく、2015年度で2.1億円もの赤字となっている。

■運賃だけでは長距離路線を支えられない

都バスを運行する東京都交通局が昨年10月に公表した資料によると、区から委託されている2路線を除く127路線のうち、7割以上の93路線が赤字だ(2015年度)。

東京都という日本最大の人口密集地を走るにもかかわらず大半の路線が赤字なのは、23区内ならどこから、どこまで乗っても一律210円(ICカードは206円)という料金体系にある。

そのため、赤字路線の上位に営業キロ数の長さが際だっている。これは距離が長いほど、利用者の少ない区間を抱えるという理由に加えて、コストに見合った乗降客が確保できず、運賃収入では路線を支えられないことが大きい。

「梅70」はコスト回収のため、始発から終点までの運賃は540円(ICカードは536円)。1日当たりの利用者は2237人にとどまる。沿線の小平や青梅など4市1町が赤字額の3分の2を肩代わりして、何とか存続させているのが現状だ。

■儲かるのは鉄道の"空白地帯"

一方、黒字路線は首位の「東22」を筆頭に、同2位の「新小21」、同4位の「都07」など、江東区や江戸川区など都内東部を走っているのが特徴だ。この地域は横の動きである東西にJRや地下鉄が通っているが、縦をつなぐ南北の路線に乏しい。そのため都バスの利用者が多く、高い収益につながっている。

特に、朝方の錦糸町駅には、3分に1本ものペースで都バスが現れる。だが、停留所にはそれ以上のペースで乗客が次々と列を成していた。年間2億円もの黒字を稼ぎ出す「東22」はここから出発する。

朝方は通勤・通学客で混み合うほか、日中でもショッピングモールや運転免許試験場を目指す客が乗りこみ、車内は乗客の体が触れ合うほど混み合う。

■入国管理局へ向かうバスは満員状態

黒字路線には「短い距離でしっかり稼ぐ」路線が多いのも特徴だ。黒字7位の「田87」や同10位の「都01」は短い営業キロ数ながら、沿線には学校や企業、病院をはじめとする施設が建ち並び、全区間にわたって利用者が一定数存在する。

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