年金の支給要件緩和に喜ぶ人、心配が募る人 「財源なき前倒し」に勝算はあるのか

東洋経済オンライン / 2017年8月13日 8時0分

公的年金をめぐる枠組みに大きな変化が起きています(撮影:今井 康一)

日本の年金制度にとって画期的な改革がこの8月から実現した。受給資格期間の短縮(以下、資格短縮)だ。金額的には微々たるものだが、法施行によって加入期間10年以上25年未満の高齢者約64万人に8月以降、公的年金が給付されることになった。

これまで日本の公的年金制度は受給資格を得るための最低加入期間が、国際的にも最長レベルの25年と長期にわたっていた。25年に1日でも足りなければ、年金は一切もらえなかった。

むろん、そんな悲劇を避けるために「納付期間延長」や「免除制度」といったさまざまな救済制度は設けてあるが、それでも25年の最低加入期間に達せずに、無保険者になる高齢者は後を絶たない。

そんな人を救うために実施されたのが、資格短縮だ。実際の振り込みは10月以降になるが、わずかであっても収入増は歓迎すべきことだろう。

■いくら支給されるのか?

実際に現時点で加入期間が10年間を上回っていて、25年に達していない人には、原則として「年金請求書(短縮用)」もしくは「年金請求書(事前送付用)」が届くはずだ。10年以上の加入期間があるはずなのに書類が届いていない、という人は年金事務所に問い合わせてみるといいだろう。

問題は、どの程度もらえるのかだが、2万~3万円という人が多いと思われる。たとえば国民年金だけの人の場合、満額となる40年間の加入期間がある人で月額6万5000円。25年の加入では約4万1000円。10年の加入期間の人は約1万6000円となるためだ。

ただ、今回の資格短縮によって、現在の国民年金の未納問題などの解決に役立つのかといえば、残念ながらその可能性はほとんどない。あくまでも、高齢者の貧困問題を解決するセーフティネットのひとつといった位置づけだろう。

というのも、年金制度に対して国民の多くが将来の制度崩壊を心配している状況では、とりあえずは10年間納付して受給資格だけ確保。後は自助努力で老後資金の形成をしたいと考える人が出てくるだろう。

本来、自営業者などの国民年金の場合、40年間の加入期間があるのだが、10年の加入に抑えておけば、公的年金制度のリスクを回避できることになる。これでは、国民年金の保険料納付率65%(2016年度)が、上昇する可能性はあまりない。50歳前後の人で、まったく年金に加入していないような人は新たに加入するかもしれないが、20~30代の人には逆の作用が働きかねない。

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