日米同盟への「過度な依存」は危なくないのか 中東情勢から学ぶ外交サバイバル術

東洋経済オンライン / 2017年9月14日 9時0分

米国は、いざというときに本当に日本を助けてくれるのか(写真:Chip Somodevilla/UPI)

北朝鮮が日本の上空を通過させる形で弾道ミサイルを発射したり、「水爆実験に成功した」と発表したりしたことで、改めて日米同盟の堅持や強化の必要性がクローズアップされている。中東地域と並ぶ地政学リスクとなった東アジアの中で日本が生き残るには、日米同盟が不可欠という点に疑問の余地はない。

だが、はたして同盟関係に絶対的な信頼を寄せても大丈夫なのか。中東の国際政治は、同盟への過信が禁物であることを物語っている。「核保有国」と国際社会で認定される可能性もある北朝鮮や軍事大国化する中国を周辺に抱えた日本が、中東の過酷な現実から学べることもありそうだ。

■イスラエルは同盟関係に安住していない

国連安保理が機能不全に陥り、世界は事実上の無政府状態に近い状態にある。軍事力を背景にしたパワーポリティクスが展開される弱肉強食の国際政治環境の下、自前で軍事力を備えるか、同盟関係に頼るかという二者択一しかない――。

これが国際関係学で今も根強い現実主義派の考え方だ。現実的には軍事力の強化にも限界があるし、同盟も裏切りなど想定外の事態がありうる。第2次世界大戦後も幾多の戦争を経験してきた中東には、軍事力と同盟の双方を強化する折衷型を採用する国が多い。

中東の同盟関係で筆頭に挙げられるのは、米・イスラエル関係であろう。米軍基地はなく「同盟条約なき同盟」といわれる両国の関係だが、米国は巨額の軍事援助を継続しており、イスラエルの宿敵イランの領空への無給油飛行が可能な戦闘機F16Iなどの兵器を供給する特別な関係にある。

だが、イスラエルは米との同盟関係に安住していない。国民皆兵でエリート教育によってサイバー部門など精鋭軍人養成ルートが確立されているほか、軍事技術を持った退役軍人が民間のハイテク部門に転じ、技術力向上に寄与するという好循環を作っている。これは、四国とほぼ同じ面積のイスラエルに約8000社のベンチャー企業がひしめくという事実に表れている。

イスラエルは、占領地のヨルダン川西岸で国連決議を無視したユダヤ人入植地の拡大も続けている。ユダヤ人右派の政治力学を反映したものでもあるが、西岸にある入植地の存在はイスラエルの安全保障の要でもある。

イスラエルの国土は狭隘(きょうあい)で戦略的縦深性に乏しい。最短区間である中部の都市ネタニヤと、西岸のパレスチナ自治区トルカレムの区間は約16kmしかない。入植地の多くは、戦略的な高地に位置している。近隣諸国と一戦を交える場合の戦略的縦深性を確保するためだ。こうしてイスラエルは、米国との同盟関係には過度に依存せず、国民の総力戦で生き残りを模索している。

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