体制を保証?トランプの「譲歩」はヤバすぎる 「個人崇拝のカルト国家」の存続を許すのか

東洋経済オンライン / 2018年6月2日 7時0分

6月1日、ホワイトハウスでの会談を終えた北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長(左端)とドナルド・トランプ大統領(写真;REUTERS / Leah Millis)

「全て金正恩将軍様のお力添えです」「敬愛する金正恩同志元帥様の真の子供になろう」――。

6月下旬より劇場公開されるドキュメンタリー映画『ワンダーランド北朝鮮』では、こうした金正恩朝鮮労働党委員長を礼讃する言葉や標語、さらには歌がこれでもかこれでもかと嫌になるほど登場する。映画は、異様なまでの個人崇拝の国家体制の実態を映し出す。

地方の保育園では、まだしっかりと立つこともおぼつかない幼児たちに「金日成大元帥様に朝の挨拶を致します」と歌うお遊戯までも教え込むシーンがある。いたたまれない思いになる。

映画の冒頭、チョ・ソンヒョン監督は「私は行く先も撮る人物も決められません。地元の協力者に従うだけです」と率直に明かした。もちろんカメラの前に登場し、指導者礼讃を繰り返す人々には、言論の自由など与えられていない。

■非核化の見返りとして北の「体制保証」を明言

金日成国家主席の時代から3世代にわたる独裁国家の北朝鮮。この全体主義国家に対し、アメリカのドナルド・トランプ政権は6月12日に予定される米朝首脳会談に向け、5月17日、非核化の見返りとして北の「体制保証」を明言した。このため、米朝首脳会談ではアメリカが求めている非核化と、北朝鮮が求めている体制保証について、実際にどのような合意があるかどうかに注目が集まる。

ただ、もともと「自由の国」アメリカがこのような個人崇拝のカルト国家の体制を保証していいものなのか。北の体制を保証することで、逆に人権弾圧や自由なき社会で抑圧されている北朝鮮の庶民を虐げることにならないのか。

トランプ大統領はいまだ体制保証の具体的な中身について触れていない。

そもそもトランプ大統領自身は昨年9月の国連演説で、北朝鮮の非人道的行為を列挙した。「日本人の13歳の少女」(横田めぐみさん)の拉致や金委員長の異母兄・金正男氏の暗殺にも触れ、北朝鮮を「ならず者政権」と批判した。

さらには、昨年11月の韓国国会演説では、「北朝鮮は、あなたの祖父が思い描いた楽園ではない。誰にとってもふさわしくない地獄だ」と非難。独裁体制下で進む人権侵害の実態を訴えるのに約35分間の演説のうち10分近くを割いた。

北朝鮮を相手に、そんな猛烈な体制批判を繰り広げた張本人が北の体制を保証するとはいったいどういうことか。

また、韓国情報機関の国家情報院傘下のシンクタンク、国家安保戦略研究院によると、金委員長が最高指導者となってからの5年間で、粛清された幹部らは叔父の張成沢元国防副委員長をはじめ340人に上った。党幹部を次々に処刑し、恐怖政治の手を緩めていない残忍性あふれる金正恩体制の安全をはたしてアメリカは本当に保証する気なのか。いや、保証していいのか。

■アメリカ国内で反対の声が出る

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