トヨタが「製造業」から大転身を迫られる意味 輸送サービスを確立しなければならない事情

東洋経済オンライン / 2018年8月9日 10時0分

トヨタ自動車が抱く危機感の正体に迫ります(撮影:風間 仁一郎)

「5年後には、自動車メーカーの主要なビジネスが変わっている」というと、驚く人も多いかもしれない。では、具体的にどう変わるのか? その方向性は「モノづくりからサービス業へ」のシフトである。実はそうした動きが現在、急速に進み始めている。

2018年の1月にラスベガスで開かれた、エレクトロニクスや家電などを中心とした先進技術の見本市「CES(コンシューマエレクトロニクスショー)」で、トヨタ自動車の豊田章男社長は、MaaS(マース)専用次世代電気自動車「e-Palette Concept」を発表した。

■トヨタの構想に近いのは、実は鉄道会社!?

「MaaS」というのは聞き慣れない言葉かもしれないが、これからの自動車産業を占う重要キーワードだ。

「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略で、要するに「移動サービス」のプラットフォームである。このプラットフォームを、タクシー会社や物流会社、あるいは小売業などがサービスを展開するのに活用する。そしてそのプラットフォーム運営をトヨタ自動車が担うという構造である。

言葉としてはとっつきにくいものの、実は私たちにとって、MaaSはすでに身近な業態だ。たとえば、JRや東急といった鉄道会社、第一交通グループや日本交通グループなどのタクシー会社、JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)といったエアラインだ。利用者がA地点からB地点に移動したいときに、その移動を「サービス」として提供・サポートする企業がMaaSの担い手といえる。

拙著『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』でも詳しく解説しているが、今回のトヨタ自動車のケースに最も近いのは鉄道会社だ。なぜか?

たとえば、JR東日本は鉄道輸送サービスを行っているだけではなく、新潟県の新津事業所で鉄道車両を製造している。JR東海は新幹線車両の技術開発は社内で行っており、製造は連結子会社の日本車輛が行っている。つまり、鉄道会社は「移動サービス」を提供するとともに、その移動に必要な「ハードウェアの製造およびシステム開発」も担っているのだ。

トヨタ自動車のe-Palette構想においても、ハードウェアの開発から製造、またプラットフォームの運用まで関わろうという構造が見て取れる。トヨタ自動車はすでに2016年10月にこうしたプラットフォームを「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」という呼び方で発表している。ちなみに、筆者は2014年12月に上梓した『Google vs トヨタ』(KADOKAWA)の中で、今後、自動運転が進む中での「サービスプラットフォーム」の重要性を指摘した。そうした流れが具体的にサービスの構想として出てきたといえる。

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