トランプ大統領の「本当の敵」は中国ではない 今後のマーケットの鍵を握る重要人物とは?

東洋経済オンライン / 2018年11月9日 8時0分

もちろんトランプ政権も、「基軸通貨国の貿易赤字は健全な世界経済の証明である」といったことくらいは十分承知しているだろう。無理に減らそうとすれば、世界経済を低迷させ、株価も下がり、最悪のケースでは基軸通貨の特権が揺らぐ。だから最初の関門だった中間選挙が終われば、「いったんはリセットする」と診るのが正しいだろう。

そしてここからは、2020年に向けて、トランプ政権がこれまでと同じ「プロレス的駆け引き」を続けるのか、あるいは「場外乱闘」ぐらいはあるのか、の見極めが重要になる(実際の対中貿易赤字は過去最高を更新中だ)。

■カギを握るムニューシン財務長官

ならば、キーパーソンはスティーブン・ムニューシン財務長官になる。これまでも、さまざまな案件でオバマ大統領時代のリベラルエリートが残る国務省や財務省と、トランプ色が強い商務省やUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)の態度は違っていた。

ここで物事を見極める一つのポイントは7月に議会が決議した国防を理由に中国からのアメリカ投資を規制する法案だ。この法案の実際の運用は、国防省でも商務省でもなく財務省が主導している。つまりカギはムニューシン財務長官なのだ。そしてドルの価値と財政を預かるムニューシン財務長官の対中政策への発言は、ピーター・ナバロ氏(国家通商会議委員長)やロバート・ライトハイザー氏(USTR代表)とは一線を画している。

そのあたりを考慮してか、中国もアメリカ国債を売るそぶりを見せるなどの脅しは今のところ見せていない。対中政策がリセットされるのは株式相場には悪い話ではないが、対中強硬派は「もし中国がアメリカ国債を売るなら、トランプ大統領には金融機関を凍結してでもそれを止める権限がある」と言い、どこまでも強気で押し通す構えだ。

恐らく緊急時の大統領権限の拡大を定めた1977年の「International Emergency Economic Powers Act」(国際緊急経済権限法)を指しているだろうが、まあ、アメリカでは大統領の独裁を許すような法案の執行は容易ではないとして、ここからは対中強硬派のライトハイザー氏やナバロ氏と、国際派のマイク・ポンペオ氏(国務長官)やムニューシン氏の露出を比較しながら、トランプ政権のスタンスを読み取るしかない。

そして、この市場の期待とは裏腹に、確実に起こるのがトランプ大統領に対する弾劾への動きだ。その前に中間選挙期間に沈黙を守ってきたロバート・モラー特別検察官が、一連の疑惑で動き出すことは必定だ。7日に選挙後の記者会見で久しぶりにこの問題を突かれたトランプ大統領は、CNNの記者に対しこれまでとは異次元の強い怒りを見せた。それはいつものパフォーマンスではなかった。そして立て続けに、司法長官のジェフ・セッションズ氏の解任を発表した。

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