実は超難しい「乳がん診断」、スゴイ新技術 死亡者ゼロを目指す、ある研究者の野望

東洋経済オンライン / 2018年11月18日 13時0分

従来のX線マンモグラフィでは発見が難しいとされている乳がん。その改善のために開発されたマイクロ波マンモグラフィとは(写真:HILLS LIFE)

女性の死因の上位を占める乳がん。日本でも乳がんの患者は年々増え続けており、その割合は先進国の中でも最悪のレベルだ。一方で乳がんは、早期発見で治りやすいがんでもある。しかし一般的な「X線マンモグラフィ」は、何かと問題があるという。その問題を打ち消すと期待される、新たなマンモグラフィとは?

■乳がん検診を受けている女性は少ない

女性の死因の上位を占める乳がん。全世界で毎年160万人以上にあらたな乳がんが見つかり、50万人以上が亡くなっている。日本でも乳がんの患者は年々増え続けており、その数は1万4000人を超えた。これは、日本の女性の11人に1人がその生涯の中で乳がんを患うことに相当する。先進国の中でも最悪のレベルだ。

一方、乳がんは、早期発見で治りやすいがんでもある。早めに見つけることができれば治療できる可能性は高い。しかし、残念なことに、乳がん検査を受けている女性は、まだ少ないのが現実だ。乳がん検査が比較的普及している欧米でさえ検診率は約70%しかなく、日本にいたっては40%強の女性しか乳がん検診をうけていない。

乳がん検診率が向上しない一因に、X線マンモグラフィの「人気のなさ」がある。微量ではあるがX線による被ばくの問題があるし、検査時に乳房を板で強く挟み込むため、かなりの痛みが伴う。これらのネガティブなイメージから、乳がん検診を敬遠する女性は多い。

イメージの問題だけではなく、実はX線マンモグラフィには、より本質的な問題がある。X線による透過撮影では、がん細胞だけでなく、正常な乳房に存在するコラーゲンも「白い影」となって写ってしまい、がん細胞と区別がつかないのだ。

とりわけ、日本人を含むアジア系の女性には、「デンスブレスト」と呼ばれる、コラーゲンを多く含む乳房が多い。そのような乳房をX線マンモグラフィで検査すると乳房全体が白く写ってしまう。その中にあるがん細胞を見つけ出すのは、熟練した医師にとっても「雪山で白ウサギを見つける」ように難しい作業、というより、原理的に不可能な作業だといわれる。

このようなX線マンモグラフィの問題を解決すると期待されているのが、神戸大学数理・データサイエンスセンターの木村建次郎教授が開発した、マイクロ波マンモグラフィだ。

「マイクロ波は携帯電話やWiFiで利用されいる電磁波です。X線に比べて扱いやすく、被ばくの心配もありません。なにより、X線と違って、乳房内のがん細胞だけを明瞭に識別できる特性があるのです」。木村教授は、マイクロ波に着目した理由をそう説明する。

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