日産が20年越しで開発した新エンジンの衝撃 圧縮比を可変させる夢の技術が遂に完成した

東洋経済オンライン / 2018年12月6日 18時0分

SUV「インフィニティQX50」を日本の公道で試してみた(筆者撮影)

日産自動車がアメリカで販売するSUV「インフィニティQX50」には、世界初となる「可変圧縮比ターボ・エンジン」(VCターボ・エンジン=Variable Compression Turbo Engine)が搭載される。今回、これを日本の公道で試す機会を得たので早速リポートしていこう。

■燃費もパフォーマンスにも優れるエンジンの実現

日産が可変圧縮比エンジンの開発を始めたのは1998年のこと。実に20年もの時を経て開発してきたわけだ。

エンジンの圧縮比は基本的に固定されている。ピストンの上死点と下死点で決まるシリンダーの容積は当然不変のもの。しかし日産はこの容積を自在に変えることで圧縮比を可変させる技術を実現した。

目的は燃費とパフォーマンスという、相反する要件を両立して将来にふさわしい内燃機関とするためだ。

エンジンの熱効率向上を求めて圧縮比を上げると、燃費はよくなるがパフォーマンスは低下する。逆に圧縮比を下げると、パフォーマンスは向上するが燃費は低下するし、当然熱効率も下がってしまう。そんな相反する要件を両立する……つまり、燃費もパフォーマンスにも優れるエンジンを実現したのが今回の可変圧縮比技術というわけだ。

可変圧縮比エンジンは、通常のエンジンとは違って、ピストン>コネクティングロッド(コンロッド)>クランクシャフトという関係ではなく、ピストン>コンロッド>Lリンク>Cリンク>コントロールシャフトという構成になっている。

そしてこのコントロールシャフトをVCRアクチュエーターが動かすことによって、ピストンの上死点の位置が変わり、ピストンのストローク量が変わり、これによってシリンダーの容積が変わる仕組みだ。

そしてシリンダーの容積が変わるということは、圧縮比が変わるわけだ。「KR20DDET」の型名でQX50に積まれている可変圧縮比ターボ・エンジンは、実際に圧縮比は8から14までの間で変化する。そして排気量も変化するわけで、実際に1970cc(圧縮比14の時)から1997cc(圧縮比8の時)の間で増減する。

つまり圧縮比が14の1970ccエンジンから、圧縮比が8の1997ccエンジンまでの性能が1つのエンジンで賄われる。しかもこのエンジンは過給器を積んだターボ・エンジンでもあるから状況に応じてターボの力を借りているため、イメージとしては1970ccの高圧縮なNAエンジンから、1997ccの低圧縮ターボ・エンジンまでが1台のクルマの中にある感じといえるだろう。

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